はじめまして。フルゐ @gra_senki と申します。
フルゐという、ひらがなとカタカナのミックスはグラぽの影響です(嘘です)。2018年8月、あの15戦勝ちなしのどん底の時からブログを始めました。細々と書き続けていたのですが、今回グラぽ先生のお誘いで書かせていただくことになりました。
よろしくお願いします。
と、自己紹介も早々に、FC東京戦のプレビューという名の妄想・虚言をしていきたいと思います。(編注:記事内に専門用語が使われていますが、末尾に解説を用意しています)
長谷川監督の心の声
FC東京のチーム、そしてサポーターにとっても悲願であった初優勝を、昨季あと少しで逃してしまったことは記憶に新しいと思います。今年こそは初優勝を、と願っているであろう長谷川健太監督にはかなりのプレッシャーが掛かっていると思われます。その心情を想像してみましょう。
「セレッソ大阪(3位)に続いて、名古屋グランパス(4位)ってきついわーー。」
どのチームでもそうですが、上位との連戦は鬼門。しかもセレッソ大阪も、名古屋グランパスも、関西風に言えば「渋ちん」です。昨年までの名古屋グランパスみたいに、とにかく攻めてくる、押し込んでくるっていうようなFC東京にとっての「お得意様」ではありません。
恐らく長谷川健太監督はこんなことを考えているのではないでしょうか。
「試合のペース落として、FC東京のポジティブトランジション減らしてくるやん。すぐ守備ブロック作って、背後のスペースも消してくるやろし。しゃーないから、ボール保持攻撃ガンバるため4-3-3に戻すか。」(※関西弁なのは、私の妄想だからです。長谷川健太監督は静岡出身ですし。)
この妄想が、FC東京戦プレビューのサマリーになっています。現在6位(勝ち点15)のFC東京にとって、現在4位(勝ち点17)の名古屋グランパス戦は勝てば順位をひっくり返すことができる重要な試合。東京サイドがなにを考えているのか。
名古屋サイドから言うと、FC東京vsC大阪戦と柏vs名古屋戦がベンチマークになります。FC東京vsC大阪戦から名古屋の攻撃について、柏vs名古屋戦から名古屋の守備について考えていきたいと思います。
ということで、以下の点について書いていきます。
- FC東京の4-3-3
- 縦に速い攻撃対策
- ゲームの主導権はIHの周囲で決まる
両チーム前節のスタメンをベースにしてくると予想しました。
FC東京の4-3-3
FC東京は、お家芸の縦に速い攻撃を封じられて、惜しくも優勝を逃した昨年の苦い経験を糧に、ボール保持攻撃にも力を入れているようです。その一環として、今季は、9試合中4試合(1,5,6,9節)を4-3-3で戦っています。(データ引用元:football-lab:以下同様)
前節(9節)の強豪セレッソ大阪戦は、内容を伴った0-0だったので、名古屋戦も4-3-3を継続してくると予想します。
しかし、セレッソ大阪戦を見る限り、4-3-3へのシステム変更は守備に主眼を置いたものに見えました。というのも、守備時に4-1-4-1に変形して、両WGの守備負担を両IHが減らすことで、守備を安定させる効果の方が大きいように見て取れたからです。つまり、前々節の鳥栖戦で、守備に強みを持たないレアンドロの位置を突かれてピンチを迎えたため、その点を修正したようです。
IHに入ったアルトゥールと安部が、C大阪のセンターバックに寄せるなど、広範囲に上下動をしており、ハーフスペース(上図の上から2番目と4番目のブロック)の防衛に主眼を置いた布陣になっています。その分、WGは大外(サイド)のレーンの守備に専念できて、縦に速い攻撃をするための準備としても余力を残しやすいと思いました。
FC東京の強みは「縦に速い攻撃」です。4-4-2から4-3-3にシステム変更したとはいえ、その強みは変えたくないように見えました。ボール保持攻撃は、システム的には4-3-3の方が”やり易いはず”です。しかし、練度が高く、注意が必要なのはやはり縦に速い攻撃と考えた方が良さそうです。
名古屋側からすると、IHが前に出てきた背後、アンカー高萩の脇に上手くパスが通せるか否かが、攻撃におけるポイントになると思われます。セレッソ大阪戦では、SHの清武と坂元がこの部分に侵入してチャンスを作っていました。
図のようなシミッチー吉田ーマテウスのパス交換のように、効果的なポジショニングと素早い連携に期待しましょう。
縦に速い攻撃対策
名古屋の守備は、柏戦がベースになると思います。オルンガとディエゴでは、特徴が違うので全く同じわけではありませんが、以下のような部分は共通していると思います。
- ネガティブトランジションの局面を減らす。そのため、自陣で無理なつなぎをするぐらいなら、ラフでもロングボールを多用する「ムウに頼む」
- FC東京のロングボール供給源への寄せを徹底する「マテの守備意識高くね?」
- CBとCHでゴール前に要塞を立てる「マルナカシミの新名古屋山脈」
以上のような対応をすることで、FC東京のポジティブトランディションの局面を減らし、永井、ディエゴ、レアンドロの3本の槍に良いロングボールが入らないようにすることでカウンターを遅らせ、ゴール前へのクロスに対しても自由を与えないことが、名古屋の守備にとっては大切だと思います。
江坂はいませんが、レアンドロも中間ポジションで受けてアクセントになれる選手です。
また、室屋と小川の両SBからのクロスは高精度です。ほぼ完璧だったのに1回の江坂ーオルンガホットラインに沈んだ柏戦の追試としてFC東京戦を位置づけ、合格することに期待しましょう。
ゲームの主導権はIHの周囲で決まる
FC東京が、得意なポジティブトランジション局面に移るためためには、当たり前ですがボール奪取が必要です。そのボール奪取のキーパーソン、橋本と東を次々に欠く状況を傍目にみると、チームの構造を考え直さないといけないようにも見えます。しかし、その役割をIHのアルトゥールや安部柊斗が補って余りある戦いをセレッソ大阪戦では披露していました。
IHがボールを刈り取れば、ショートカウンターに移行し、FC東京のペースになります。ぜひ、IHの2人にデュエルで勝って、主導権を渡さないようにしたいものです。「稲垣、元気かー?」
IHが高い位置でボールを狩れば、FC東京のペース。IHの出た背中のスペースでチャンスを作れば名古屋のペースと言えると思います。
最後に
以上のように、FC東京はやはり”堅い守備をベースに縦に速い攻撃”を主体としてくると思います。そして、名古屋はFC東京のストロングポイントを出させない事をベースにゲームプランを立ててくると予想します。
自分のブログ(柏レイソル戦レビュー)にも書いたのですが、今年の名古屋の戦い方とは、『5局面(保持、非保持、ポジトラ、ネガトラ、セットプレー)を高次元で両立させていて、それに伴い対戦相手に合わせて相手の得意局面を減らす戦略でゲームを進めても、残る局面の差で勝てる』というものです。そう、名古屋が目指しているサッカーは、全局面コンプリートなのです!
相手のストロングポイントを消すために相手に合わせる戦略を取っても、攻撃3局面(ボール保持、ポジトラ、セットプレー)のどこからでも得点ができるのが今年の名古屋の強さだと思います。そして、守備2局面(ネガトラ、ボール非保持)の強さは、平均0.8失点の数字が証明してくれています。
どこかで聞いた、”攻守一体の攻撃サッカー”って、こういうことだったんじゃないかと最近思っています。みなさん”攻守一体の攻撃サッカー”は、取り下げてないみたいですよ。次節のFC東京戦が楽しみです。
ちなみに、今回のプレビューの回収はしません。書き逃げですw
編注(用語解説)
- ボール保持攻撃(ボールポゼッション攻撃):相手にボールを奪われるリスクを最小限に抑え、細かいショートパスでボールを保持しながら相手陣形を崩してゴールを奪う攻撃。対になる攻撃手法がカウンター攻撃(ボールを保持させておいて奪い、手数少なくゴールを奪う攻撃)。
- ポジトラ(ポジティブトランジション):守備から攻撃への切り替えのこと。ボールを奪った後にどうやってチームとして攻撃を組み立てるのか(ポジトラ)を整備していると、相手の守備組織が整う前に攻撃の組み立てを進めることができると言われている。
- ネガトラ(ネガティブトランジション):攻撃から守備への切り替えのこと。ボールロストしたチームの対応の仕方(ネガトラ)を整備すると格段に失点が減ると言われている。