日本人監督のインタビューは、使っている言葉がわかるので、あとは表情などを見ればニュアンスも合わせていろいろ理解しやすいということがあると思います。ところが外国籍監督の場合は同時通訳という、極めて難易度の高い作業によって翻案された言葉を聞くことになります。その結果、微妙に言っていることが異なることもあります。
ちなみに一度、専門領域の講演で同時通訳をチャレンジしたことがあるのですが、喋ってから、「アレ?これで言ってること合ってるかな?」ってなっても、次の言葉が来ちゃって・・なんて経験をしました。本当に大変なお仕事です。
さて、今回はサッカー界の俊英で外国語に堪能な、schumpeterさん @milanistaricky から、「フィッカデンティ監督が言ってることと通訳が言ってることが微妙に違うよ」ということを聞かせていただきました。そこでインタビューの全訳をお願いしました。許可を得て転載させていただきます。
マッシモ・フィッカデンティの試合後インタビューを(おそらく)全訳した。通訳と言っていることが違うねんなあ……笑 https://t.co/6sDCMfCdqG
— schumpeter🍣 (@milanistaricky) September 9, 2020
横浜F・マリノス戦フィッカデンティ監督インタビュー
Embed from Getty Images
平山雅「試合終了直後、大きくガッツポーズしていましたが、どんなお気持ちだったんでしょう?」
マッシモ・フィッカデンティ「嬉しかったです」
田山景太郎通訳「本当に幸せだったので自然と出ました」
平山雅「90分にわたって攻守の名古屋の組織的な強さを見せましたが、振り返っていただけますか?」
マッシモ・フィッカデンティ「うまくプレーできました。難しい試合でした。横浜F・マリノスは強くていいチームですから。開始数十秒に失点してそこから取り返さなくてはならかったですが、チームはとてつもない決意と強さで何としてでも勝利をもぎ取ってくれました」
田山景太郎通訳「ご覧になってわかるように、皆さんわかったと思うんですけど、ものすごく強いチーム相手で、しかもあんな試合の始まり方をしてしまいましたので、すごいキツイって言うのはあったんですけど、なによりも皆さんが驚くくらいだったと思うんですけど、選手たちは本当に勝ちたいっていう気持ちを今日の試合にこめてくれましたので、もうそこに尽きると思います。」
平山雅「去年の王者をホームで下し、優勝を目指すうえで大きな1勝となりましたよね?」
マッシモ・フィッカデンティ「1試合1試合プレーしなくてはなりません。我々は強いチーム、すなわち、昨年、この素晴らしいリーグをふさわしい形で優勝した日本のチャンピオンを倒しました。今は誇らしくありますが、繰り返し言えるのは、我々の目標はできるだけ上の順位に到達するために毎試合着実にプレーすることです」
田山景太郎通訳「去年のチャンピオンのチームですから、本当に先ほどもいったようにその強さを感じましたし、そういうチームに勝ったということは誇りに思いますけど、我々はだからどうといった変な計算をしないでまた次の試合に勝てる確率を少しでもあげられるようにまた次に向けてだけ頑張っていきたいと思います」
平山雅「連戦の中ですが、奪ってからの素早い攻撃やカウンター等、名古屋らしい攻撃力を見せました。その手応えは?」
マッシモ・フィッカデンティ「高い位置で攻撃できましたし、今夜のチームは高い位置のプレッシングも行いました。時には後方で守ることも余儀なくされましたが。横浜のようなチームと対戦するのは簡単ではありません。我々はすべてののことをうまくやれたのです。開始30秒後にビハインドを背負った後にそれを跳ね除けたことは過小評価するべきではありません。メンタル面で大変難しくなりえましたから。しかし、こうして逆転してくれたことは我々により力を与えてくれます」
田山景太郎通訳「ほぼグラウンドに入った選手がどういった姿を見せるのかをコントロールして、ずっと試合を闘うことはできませんので、選手がどういう姿を見せてくれるのかと私もある意味そういった見方もするんですけども、この始まり方は不味いなって思ったなかで、あ、大丈夫だと、すぐそういう姿勢を見せてくれたので、そのなかでそういった部分が試合のなかで勝ちきるなかで一番大事だったのかな、と思っています。」
平山雅「次節は中3日、アウェイ横浜FC戦です。意気込みをお願いします」
マッシモ・フィッカデンティ「別の違った試合になります。簡単ではありません。彼らは最近、調子がいいです。FC東京相手に僅差で負けたのを先ほど見ましたので、我々は横浜FCの誰も見くびることはしません。我々は1試合1試合、様々な点で難しくなると思いながらプレーしています。我々は勝たなければなりませんが、それは横浜FCも同様ですから、きちんと準備しなければなりません」
田山景太郎通訳「もうとにかく最高の準備をしなければなりません。結果だけしか見ていないんですが今日も東京相手にすごく惜しい試合をしたんじゃないかと、結果しか見てないんですがそう思うんで、ここ最近ずっと横浜FCはいい時期を過ごしてきていますので、そういった彼らが一番良い状態というのを想定して準備をしていかなければならないと思います。」
平山雅「ありがとうございます」
マッシモ・フィッカデンティ「アリガト」
以上です。いかがだったでしょうか?
実は負け試合のときのほうが皮肉たっぷりで、おそらく通訳の人が翻訳に苦しむようなことを言っていたりするらしいのですが、今回は面白そうな言い回しはありませんでしたね。それでも少しニュアンスは通じましたでしょうか?
わたしはこの原稿を通じて、イタリア語、勉強したくなりました!
【豆知識】なにか褒めてたりするときは
molto bene:日本人発音的にはモルトベーネって聞こえる感じです。「とっても良い」みたいなイメージです。コレ入ってるときはホントに褒めてます。
アイロニー表現は難しいので、schumpeterさん(川崎フロンターレサポですが!)に聞いてみましょう
例文:
吉田豊はとても良いプレーをした。
Yutaka ha giocato molto bene.
(リード文、まとめ、豆知識は グラぽ編集長記)