突然の試合中止。
心理的動揺はゼロではないと思われるが、実は中2日3連戦を避けることができる、という意味では悪くはない。特に今年の北海道コンサドーレ札幌は選手層を厚くし、開幕戦でも横浜FCを5-1で破るなど、絶好調だ。そこに万全の体制で臨めるのは悪くはない。
この試合をプレビューする。
北海道コンサドーレ札幌の状況
- 新加入選手ガブリエルはまだ合流できず
- 荒野拓馬が怪我で欠場中
- 進藤亮佑・白井康介が移籍
- 選手一覧に松山光とチッチがいるのはご愛敬
- 俊足のチッチが出場したら怖い 震
- 開幕戦5-1で勝利して意気軒昂
- ルヴァンカップはほぼ全員ターンオーバーしていて、選手は中6日状態。
北海道コンサドーレ札幌の戦い方
開幕戦を見る限り、基本的に昨年の戦いかたと大きな変化はない。ただし、メンバーが変わり、コンディションは大幅にアップしている。そこに注意が必要だ。
得点パターン
引用元: 北海道コンサドーレ札幌 2020 シーズンサマリー | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB
コンサドーレといえば「オールコートマンツーマン」。
激しいプレスからのショートカウンターというところが怖い。実にその割合25%。チャンスの4回に1回がそれだ。
オールコートマンツーマンなので、どこかに人を寄せて数的優位を作るというフィッカデンティ監督のサッカーとは対極的だ。基本的にはデュエル(1:1)に勝って、そこからショートカウンターを仕掛けるというのが基本。
また田中駿汰と福森晃斗という左右のバックスは、前のポジションでもできるほどの足下を持つ選手で、安易に1:1をしかけてもかわされてしまい、相手の組立てを邪魔するのが難しいというのもポイントだ。
攻撃時には枚数をかけ、畳み込む戦い方がその強み。
アンデルソン・ロペスは運動量豊富で、センターバックに何度もチャレンジをしかけ、自由にさせない。ゴールこそ開幕戦では1だったがシュート数はチームナンバーワンだった。
グランパスのような4バックを相手にした場合は、両ウィングバックがほとんどFWのように高い位置を取り、ビルドアップの出口になりがちなサイドバックからのボールの前進を防ぐ。
サイドバックがライン際に押し広げられていると、どちらかのセンターバックとサイドバックの間に大きなスペースができる。
そこをシャドーが突くと相手セントラルMFは付いていかなければならない。
空いたスペースを開幕戦では小柏剛や駒井善成が使い、ボールを配給したり、クリアを拾ったり、シュートしたりする。そこに開幕戦ではウィングバック起用だった金子拓郎まで入り込んでくるのだから右サイドは手厚い。
基本的には押し込むサッカーなので、完全に受けに回ったときというのは昨年のホームでの試合のように難しくなる。前監督の風間八宏さんのときのグランパスと一緒で、「押し込み切る自信と、確信が必要」。逆にグランパスとしては意気軒昂なコンサドーレの自信をへし折る速い時間の先制点がマストになる。そうしないと大敗の可能性もある。
グランパスの状況
- 金崎夢生が全治8ヶ月の重傷
- 中5日なのでコンディションは問題なし
- 出場停止はなし
- ターンオーバーしていたと思われるガンバ大阪戦のメンバーを使うか、それともアビスパ福岡戦のメンバーを戻してくるか。
北海道コンサドーレ札幌対策
絶好調金子拓郎の裏を突け
開幕戦でも2得点を挙げて、絶好調と言える金子拓郎。
しかし今年の起用はなんとウィングバックになっている。横浜FC戦では小柏剛と良いコンビネーションで右サイドを崩していた。
しかし本来はFWの選手、そこに少し歪みが出ている。
彼のヒートマップがこれだ。
引用元: Takuro Kaneko Hokkaido Consadole Sapporo videos, transfer history and stats
同じ右サイドの成瀬竣平がこう
引用元: Shumpei Naruse Nagoya Grampus Eight videos, transfer history and stats
なので、金子拓郎のヒートマップの特殊性がわかるだろう。
走行距離11km、スプリント29回というデータが、彼をウィングバック起用の理由だろう。田中駿汰の献身も見逃せない。
アビスパ福岡戦でもエミル・サロモンソンの裏を執拗に突いたが、今回も同じことが発生するかもしれない。
福森晃斗・宮澤裕樹・ルーカス・フェルナンデスの3角形を攻略しろ!
相変わらず左サイドのバックスとは思えない福森晃斗のヒートマップ。
引用元: Akito Fukumori Hokkaido Consadole Sapporo videos, transfer history and stats
福森晃斗と言うとロングフィードを想像するかもしれない。実際味方に繋がったロングボールが10本(/24本:成功率42%)あるが、それ以上に注目したいのが敵陣内パスの多さと正確さだ。味方に繋がった敵陣内パスは31本(/51本:成功率63%)になる。この成功している相手が宮澤裕樹やルーカス・フェルナンデスになる。ここの組立てがうまく行っている間はコンサドーレは盤石だ。このトライアングルを崩したい。
相手の研究に定評のあるフィッカデンティ監督なら、ここは成瀬竣平よりも宮原和也や1:1の前の守備に強い森下龍矢を起用してくるのでは、と予想する。
どこにでもいる駒井善成に注意
本来はサイドのウィングだったはずの駒井善成だが、北海道コンサドーレ札幌では実に気の利いた中盤に成長している。やんちゃな選手が多い北海道コンサドーレ札幌だが、実は駒井善成・宮澤裕樹の2セントラルMFが全体のバランスを取っている。運動量があるので、どこでも数的優位を作られやすいのだ。
逆を言えばバランスを取って動いているということは、中盤は宮澤裕樹1人になっている可能性が高いということでもある。そこを稲垣祥や米本拓司にうまく活用して貰えれば、中盤を制することができるかもしれない。
良い試合になりますように