現在5試合負けなしの鹿島アントラーズとの試合。前回の対戦では劇的なゴールで勝利をおさめたものの、アントラーズは雪辱を果たすことに燃えていると思われる。この試合をプレビューする。
鹿島アントラーズの状況
- 出場停止なし
- 鹿島アントラーズは中2日とメンバーの入れ替えが必要
- FC東京戦で出場したディエゴ・ピトゥカが圧巻のパフォーマンス
- 上田綺世が復帰。攻撃面での一番の脅威
- エヴェラウドが練習開始もこの試合には間に合わないか?
- ファン・アラーノは復帰
- 和泉竜司が負傷離脱中
鹿島アントラーズの戦績
相馬直樹監督の就任後、3勝2分と、まだ敗戦がない。
「解任ブーストはない」という言葉がある。
アントニオ・ザーゴ監督の退任後負けなしということは不自然ではない。鹿島アントラーズはもともと地力があるチームである。最悪の状況を脱したのだから、あとは上がるしかない、というだけだ。(解任が理由で本当に調子が上がるときは、選手と監督の信頼関係が崩壊しているときだけだ)
順位は9位だが、「昨年ギリギリまで3位を争った相手」と考えて準備をするべきだ。
鹿島アントラーズの強さ
監督交代でも鹿島アントラーズのサッカーはコンセプトは変わらない。ザーゴ以来の自分でアクションして攻めきるサッカーである。
鹿島アントラーズのチームスタイル
データ引用元:鹿島アントラーズ 2021 チームスタイル[攻撃セットプレー] | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB
カウンター系の値が高く、ボール奪取からフィニッシュまでの時間をあまりかけない攻撃であることが想像できる。右サイドの攻撃が高いこと、フィジカルコンタクトが高いことなどが注目できる。
左で作ってDFを寄せ、右で刺す
FC東京戦では試合経験の少ない蓮川選手が先発ということもあって、左サイドでの組立てが目立った。
- センターバックとサイドバックの間のスペース(ハーフスペースと呼ぶ)をアントラーズサイドハーフ(白崎)が突く
- サイドバックは中に絞らざるをえない。
- 空いた外側のスペースを左サイドバック(永戸勝也)が蹂躙する。
- サイドに枚数をかけられるとセンターバックやセントラルMFがサイドに引き寄せられる
- 中央が空くと、鹿島の中央の選手が躍動するスペースが空く
- 中央の荒木が前を向いてボールを持てばシュートもできるし、もっとスペースの空いている逆サイド(グランパスの左サイド:鹿島から見た右サイド)も活用できる
鹿島アントラーズはこちらの良いところを消そうとするプレーはあまりしてこないが、1つのキーワードとして「こちらのバランスを執拗に崩そうとする」ということを覚えておきたい。
プチ川崎的なスタッツ
また攻撃から守備への切り替えの速さも特筆すべきだ。
守備から攻撃への切り替えは遅いものの、攻撃から守備への切り替えはサガン鳥栖に匹敵する値になっている。「即時奪回」が鹿島アントラーズのもう1つのキーワードと言える。この数値の傾向は川崎フロンターレに近い。川崎フロンターレとの試合が良い経験として活かせるはずだ。
鹿島アントラーズのチャンスビルディングポイント
鹿島アントラーズ 2021プレビュー | 5月12日名古屋 vs 鹿島 | データによってサッカーはもっと輝く
守備の指標はあまり高くないが、ドリブル以外の攻撃系指標は比較的上位になる。シュート意欲の高さも光る。
グランパスの状況
- 金崎夢生が全治8ヶ月の重傷
- リハビリは順調そう。膝の機能回復のフェーズまで来ている。
- https://twitter.com/kobakatsumi/status/1391409355623321602?s=20
- 負荷の高い右サイドバックなので、組立てが必要な鹿島アントラーズ相手には成瀬竣平の先発を予想
- 敢えて攻撃的にいくために森下龍矢という選択もあり得る
- 山﨑凌吾がいるときは1トップ、柿谷曜一朗・シャビエル・齋藤学らの組み合わせのときは昨年も上手く行っていた0トップで臨む
- 柿谷曜一朗の疲労が心配なため、齋藤学の出場もあり得る
- 出場停止はなし
鹿島アントラーズ対策
ピトゥカに自由を与えるな
FC東京戦で圧巻のパフォーマンスを見せたピトゥカ。わずか10分の出場にもかかわらず、ボールタッチ数は22。パスは20本中19本成功という技術の高さが目立つ。
ドリブルなどはないが、単なる地蔵ではなくすごくよく動き直す。パスが貰える位置に常にいるので自然とパスが集まる。素晴らしい司令塔タイプである。
彼に自由を与えないことが重要だ。
セットプレーに気をつけろ
セットプレーからのゴールは9ゴールと、全ゴールの半分を占める。
中でも注目したいのが実に今シーズン既に4ゴールを挙げている町田浩樹。空中戦デュエルでも7回中4回勝利など、圧巻のパフォーマンスを見せている。特にコーナーキックでのヘディングに得点の形を見いだしつつある様子が伺えるので、セットプレーでは彼をフリーにさせないことが重要になる。
相手サイドバックの裏を突け
先発を予想する広瀬陸斗にしても永戸勝也にしても、守備よりも攻撃に特徴のある選手だ。
どちらの選手も、自陣のペナルティエリア内についている色は少ない。重心はかなり前寄りと思って良いだろう。
参考までに成瀬竣平のヒートマップは、ペナルティエリアの角まで濃いめの色が付く。
重心が高い両サイドバックの裏のスペースは使えるスペースになりそうだ。
いつもの試合でそのスペースを埋めているアントラーズの特別製ルンバとも言えるレオ・シルバの出場はどうなるかわからない。
攻撃では怖いピトゥカだが、守備にはそれほど積極的ではなさそうだ。
アントラーズサイドバックが上がれなくなればそれはそれでよし。スペースを空けてくれるならそれはそれでよし。
グランパスの両サイドハーフとの駆け引きが楽しみだ。
良い試合になりますように