数字を見ると3-0だったが、ランゲラックのセーブがなければ充分に敗戦の可能性もあった試合。しかし、リーグ戦でもあった「流れは持ってるけど点が入らない」ような状態ではなく、自分たちの時間帯をものにできたのはポジティブな材料だった。
参考:sofa scoreが出している、どの時間帯にどのぐらい押し込んでいたか?を可視化した図↓
(上が名古屋、下がラチャブリ)
スタメン
稲垣をアンカーにしてマテウス、長澤を前に配置した。前田よりも単純に前方向に勝負が出来るマテウスを取りあえず内側に置き、実際には柿谷と長澤、齋藤に彼の奔放の部分を経験値でフォローしてもらう意図だったのかもしれない。
結果的には前半32分にマテウスを右サイドにし長澤と稲垣が2センターになり最前線に柿谷と前田といういつもの形に戻すことになる。
ひたすらに持てる名古屋
前半から危なげなくボールを持てる状態だった。後ろは稲垣とセンターバックの3人に対して相手の守備は2人。それに加えて、相手のセンター3枚はラインを崩さずに中央で構えて待つ状態に。
名古屋としては吉田か長澤の二択。宮原とマテウスの二択を相手のセンターの選手に背負わせて敵を引っ張り出し空いたスペースから崩していきたかったが、相手が付き合ってくれなかった。
そんな中で個人の「ボールの受け方」や「スペースを見つける能力」、「ボールを扱う技術」でなんとか打開策を見出していった。
最初の得点は相手が中央のラインを整える事を意識しすぎたことでクロスを入れられるスペースが出来て、名古屋の得点につながった。
縦の幅を活かす
中々、崩せない前半を過ごすが着実に攻略法は見出していった。中央にいるマテウス、長澤が縦幅を上手く使いながらワンツーでサイドの前田、齋藤を内側に誘導させる。
「そこでパスを出してあげれば・・」といったマテウス気分チャレンジはあったものの、サイドの選手の侵入の為にマテウスが支点になってボールを落とす。ようなシーンもいつもよりあったので、驚きが大きかった。
名古屋の癖とピンチ
65分のシーン。相馬は味方のセンターの位置を確認して、ボールを外へ誘導して遅らせる事を選択する。「遅らせらばいい」ので、相手が一番推進力がつく選択肢を優先的にケアすべきところを自分たちから複数の守りの選択肢を突きつけられる位置へ移動してしまった。結果的にその選択肢の読みが外れ、一個ずつチームにズレが生じてしまった。
相馬が一番先にチームの守り方を提示し、それに準じて準備をする選手と、あくまでチームの理想の守り方(枠組み)を忠実に守った選手とでズレが起きてしまい。そこを突かれてしまった。
この問題は国内のリーグ戦でも名古屋の守りの時の「癖」として以前のレビューでも言及した課題であり、「体力」「運動量」でカバーできなくなった時のチームの方針は今後の課題かもしれない。
おまけ:絞めのフォーメーション
編記:柿谷曜一朗をサイドに出すくらいなら、柿谷曜一朗インサイドハーフ、石田凌太郎右サイドハーフのほうが機能しそうな気がするんですが・・・どなたかこのあたりの意図の予想をグラぽで書きませんか?
まとめ
名古屋の生命線である先制点はマテウスの綺麗なシュートから。いわゆる「個人技」からアドバンテージを取った。
「結局、個人技じゃないか」という感想もあるかもしれない。しかし、ACLの裏で行われている欧州最強国を決めるEURO2020の試合で発生する得点も意外と「組織と枠組みで完璧に崩した得点」は多いイメージはない。
どちらかというと「個人の技術の結晶」での得点が多い印象なので、そこまで目くじらを立てる事でもないのかな?と感じる事もある。
最後のパスが合わないなどの声もちらほらSNSで上がったが、チャレンジするパス(攻撃のスイッチ、ラストパス)を出していた選手の中でパス成功率最低値の選手でも80%を記録している。チームとして普段より圧倒的にチャレンジが多かった為、「見た目上」悪く見えてしまったのかもしれない。
良かった点
- あの大雨の中、怪我人が出なかった事。
- ありがとうランゲラック
- さあ、オルンガを超えるんだ山崎よ!(得点王狙おう!)
- ちょっとずつ若い選手の出番が増えてるかな?と
- 石田の何でも出来ちゃう感じが帰ってきた!(詳しくはグラぽのこの記事で→鯱の秘密兵器 石田凌太郎)
心配な所
- IH石田&森下、マテウスは絶対ACL中に思いついてますよね?(準備してないよね・・・)
最後に
柿谷選手のお子さんへのゆりかごパフォーマンスは国際大会という事でやりづらいのかもしれないですね。
なんとか怪我無く4試合終わりました。残り2試合も怪我無く過ごしてほしいですね。