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熾烈な右サイドバックのポジション争い #grampus #喋る机 出張版

熾烈な右サイドバックのポジション争い #grampus #喋る机 出張版

右サイドバックのポジション候補者

編集A:今、名古屋グランパスの右サイドバックのポジション争いがアツい!ということで、今回は喋る机シリーズの出張版です。

編集A:現在、名古屋グランパスの右サイドバックの候補者としてはこの3名が挙げられます。

  • 宮原和也
  • 森下龍矢
  • 成瀬竣平

デスク:吉田豊が右サイドバックに回っていた昨年と異なり、今年は宮原和也がCOVID-19と怪我の影響から脱し、成瀬竣平が成長を見せ、そしてサガン鳥栖から超攻撃的サイドバック森下龍矢が加入をした。今現在も熾烈な争いを繰り広げている。実に面白いな。

データで見る3人の比較

編集A:football labのデータで3人と、加えてフィッカデンティにとって理想的なサイドバックなのであろう吉田豊のデータと比較してみました。

宮原和也

森下龍矢

成瀬竣平

(吉田豊)

パスレスポンス

3

9

6

4

ドリブル

4

10

4

5

クロス

5

13

9

7

パス

2

8

6

5

ビルドアップ

8

5

8

8

自陣空中戦

6

6

3

3

守備

9

9

6

8

ボール奪取

7

9

7

6

カバーエリア

3

10

4

1

データ引用元:名古屋グランパス 2021 シーズンサマリー | データによってサッカーはもっと輝く

デスク:面白いのは、ほぼ全ての値で森下龍矢がトップの値をマークしていることだ。それなのに、右サイドバックとしての先発は2試合しかない。その謎を紐解いていこう。

フィッカデンティ監督のサッカーにおけるサイドバックの役割

デスク:フィッカデンティ監督のサッカーにおけるサイドバックの役割と思われるものは、優先順位順に並べてみると、以下のようになる。

  1. 守備時に4-4ブロックを作るサイドの担当者=守備時に必ずそこに戻らなければならない
  2. 相手のサイドアタッカーを封じ込める
  3. 攻撃時のボールを受けて、前線に繋ぐ
  4. 攻撃時にサイドハーフのサポートをする
  5. オーバーラップして、前線にクロスを入れる

編集A:役割そのものは、ほかの監督と変わらないんじゃないですか?

デスク:フィッカデンティ監督の場合は、その優先度が通常と異なる。

グランパスはブロックを作ることが最優先
グランパスはブロックを作ることが最優先

編集A:たしかに攻撃から守備に切り替わったときに、すぐに所定のポジションに戻って、西岡さんが「もうグランパスはブロックを作っています!」って驚いてましたね。

デスク:名古屋の堅守の秘密は、そこなんだよ。風間監督時代によくあった、気がついたら敵3:味方はゴールキーパーだけ、みたいなことを絶対に起こさない。

編集A:普通の監督だと、サイドアタッカーを封じ込めることと、クロスを入れることを重視してそうですもんね。

グランパスのサイドバックが低くなってしまう指標

デスク:そうなると、影響を受ける数値があることに気づくかな?

編集A:え!ブロックを作ることで影響を受ける数値・・・なんでしょう、わかりません。

デスク:それは「カバーエリア」なんだ。

編集A:カバーエリアは、フットボールラボさんによると、一定以上のスピードで移動した距離と、総走行距離から作った数字ですよね。

デスク:吉田豊の数値は「1」だ。

編集A:え!前線にも積極的に上がっているイメージがありますが・・・?

デスク:この指標は、一定以上のスピードで移動しているほうが評価が高い。逆にブロックを敷いて守っているときは、選手のスピードはどうだ?

編集A:あ、かなり遅いし、そんなに移動距離が出ません

デスク:そこなんだよ。グランパスは一定時間攻めを受けに回る時間帯が長くなる。だからグランパスのサイドバックはカバーエリアの数値が低くなる。

編集A:わかった、サイドバックよりもサイドハーフでスピードに乗って攻めまくっている森下龍矢の数値が高いのはそのせいなんですね。

デスク:そうなる。もちろん、ピッチの上でどこにでも現れる「稲垣祥」がチームでもナンバーワンの数値になるのもうなずけるな。

編集A:リーグで行くと、攻めているイメージのあるエミル・サロモンソン選手が「2」、これも受けに回る時間帯が長いから、なんですね。

デスク:そうなんだ。サイドバックとしては川崎フロンターレの山根視来選手や、鹿島アントラーズの常本佳吾選手は攻撃参加が多いためにスピードに乗って移動するため、数値が高くなっているんだ。

編集A:「守備的なチームのサイドバックのカバーエリアは低くなる。」「攻撃的チームの攻撃的サイドバックのカバーエリアは高くなる」覚えました!

グランパスのサイドバックのキモは?

編集A:先ほどの優先順位がフィッカデンティ監督の想定だとしたら、どの数値が高いと起用されるんでしょうか?

デスク:それはズバリ「ビルドアップ」だ。

編集A:え!守備の項目じゃないんですか?

デスク:おそらく守備は2番目に重視する項目になる。今季、成瀬竣平が最多の17試合先発をしている理由はそこにある。

編集A:意外ですが、たしかに成瀬竣平の先発は多いですね。

デスク:グランパスは、中央のセンターバック2枚+吉田豊+セントラルMFの稲垣祥らで中央を固めるケースが多い。しかし、その中央からのパスコースを塞(ふさ)がれるケースが多くなってきていた。

編集A:いわゆる下平システムですね。

デスク:そうなると、ボールの出口はサイドになる。サイドバックはパスの受け出しが優れている必要がある。

編集A:あ、確かにパス:6、パスレスポンス:6、そしてビルドアップ(前の方向へのパスの成功率などの合成指標):8と、すべてにおいてバランスがいいですね。

デスク:中盤を塞いでくるチーム相手には成瀬竣平、サイドに個人技のある選手がいるチーム相手には守備に優れ、ビルドアップでは成瀬竣平とほぼ同格な宮原和也を起用する、という違いが予想される。

編集A:成瀬竣平と宮原和也のビルドアップは、数値は一緒ですが、同じレベルでしょうか?

デスク:平均的なポジションが違う。

成瀬竣平のプレーエリア
成瀬竣平のプレーエリア
宮原和也のプレーエリア
宮原和也のプレーエリア

編集A:本当だ。宮原和也選手のほうがペナルティエリアの脇まで含めて色がそれなりに付いています。成瀬竣平はペナルティエリアの脇でのプレーが少ないですね。逆に前線での色がついている面積は大きい。

デスク:どちらも組立てはそれなりに行えるが、前で受けることが上手な成瀬竣平と、低い位置でポジションを守りながらパスを出す宮原和也、特徴がよく出ているな。

なぜルヴァンカップ準決勝FC東京第2戦で森下龍矢が先発だったのか

編集A:そうなると、ルヴァンカップ準決勝1stレグでは成瀬竣平が先発だったのに、2ndレグでは森下龍矢が先発だったのは何故なんでしょうか。

デスク:まず、第1戦は、FC東京がハイプレスをかけてくることを想定して、攻撃の組み立てが死ぬことを想定していたのだろう。だから高い位置でパスを受けられる成瀬竣平を起用した。

編集A:ところが実際にはハイプレスは最初の10分くらいで、そのあとはカウンター狙いで執拗に成瀬竣平のところを狙ってきましたね。

デスク:本来なら、そこで宮原和也を起用したかっただろう。

編集A:怪我ですかね?

デスク:ベンチにもいなかったことを考えると、サンフレッチェ広島戦で軽い怪我をしたのかもしれないな。ACLでは宮原和也の出番が必要そうだから、敢えて治療に専念させたのだろうと思う。

編集A:そこで投入したのは森下龍矢でしたが、第1戦の評価はいかがでしたか。

デスク:相当強く言われて入ったのだと思うが、アダイウトンにやられたあのシーン以外は、ほぼ完璧だったと思う。森下龍矢はなによりも走力が高い。それが存分に活かされていた。

編集A:そのシーン以外では、アダイウトンを自由にさせなかったシーンがほとんどでしたからね。

デスク:失点シーンは、マテウスが囲まれたのを見て、「パスを受けられるコースに行かなきゃ!」とサービス精神を発揮したんだろう。アダイウトンを離してしまった。パスレスポンス意欲の高さが逆目に出てしまったな。

編集A:驚きだったのは、第2戦、森下龍矢が先発だったことです。

デスク:アダイウトンが最初から出てくることは、確定的だった。それだけに成瀬竣平では守り切れない、と思ったんだろうな。低い位置では森下龍矢の得意な機動力はそれほど活きない。パスレスポンスが命と言って良い選手だからな。それを飲み込んででも、森下龍矢の機動力に賭けたんだろう。

編集A:アダイウトンからの失点シーンはトリックの入ったセットプレーで、森下龍矢の責任ではありませんでした。

デスク:よく守れていた。これは彼の評価がしっかり上がったことだろう。

もう1つの価値を示した森下龍矢

編集A:しかし、ディエゴ・オリヴェイラの個人技から2点目を割られて、グランパスは攻めるしかなくなりました。

デスク:ここで実は3バックになっていたことで、森下龍矢がポジションを上げ始めた。実質、3-5-2の形だな。恐らく練習は一切していない形だ。

編集A:まず、シャビエルが入ったことで、右サイドでボールを前に運び始めました。

デスク:ボールが前に行けば、森下龍矢もポジションを上げられる。

編集A:トータル勝ち越しゴールはシャビエルからの組立てでした。

デスク:このビデオを見て貰うとわかるが、森下龍矢はこのとき、ヤクブ・シュヴィルツォクの真横にいる。高い位置にいることを許されたことで、あのズレてしまったクロスを拾い、決勝ゴールへの道筋をつけた。

編集A:本当だ。これサイドバックのポジションではないですよね。

デスク:3-5-2のウィングバックだとしても高すぎる。3-5-2はおそらくやっていない形だから、整備されていないんだろう。でもそれが結果的に功を奏した。機動力のないクバをカバーする役割がやはり必要なんだ。前田直輝といい、森下龍矢といい。

編集A:なるほど。ということは、新たに3-5-2、あるいは3-4-3というオプションがうまれましたね。攻めなければならないときには森下龍矢という起用が増えそうですね。

デスク:3バックのウィングバックならば攻撃も守備も絡むことができる。今回はアシストにはならないが、得点に繋がるプレーができる選手で、その気になれば守れる選手でもある、ということはフィッカデンティ監督にインプットされたはずだ

編集A:アダイウトンを抑えた、ということで宮原和也もうかうかしていられませんね。

デスク:高いレベルの競争があるところでは、全体のレベルが上がっていくことになる。3人で切磋琢磨して、グランパスをタイトルに導いて欲しいな。

編集A:ACLの試合が楽しみになりました!

3人の活躍を楽しみに!

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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