もはやサッカービジネスにおいて、無視することが出来ない存在がいる。それがサッカーエージェント(仲介人)と呼ばれる者たちだ。彼らはクライアントとなった選手の為にプレイするクラブを探したり、時にはパートナーと協力したり、クラブを欺いたりと世界中の市場で実際に行われている。
そんな中でJリーグに黒船的存在が移籍市場に現れた。それが日本代表「吉田麻也」等をマネジメントしている「CAA Base」だ。彼らの介入がここ数年Jクラブに多大な影響を与えている。
ということで今回は「CAA Base」の概要とJリーグとの関連性、そして名古屋グランパスとの繋がりについての考察を述べていきたいと思う。
CAA Baseとは
「Base SoccerAgency」は1997年イギリスでが設立され、本社はロンドンに構えている。エージェントは約60人在籍し、ヨーロッパ、南アメリカ、そして日本等に拠点がある。クライアントは日々増加傾向にあり、その数は400人ともいわれている大規模なサッカー代理人事務所だ。
2019年アメリカのタレントマネジメント事務所「Creative Artists Agency(CAA)」に買収され、現在では「CAA Base」として活動するようになった。
なぜ勢力を伸ばしているのか
日本にBaseが注目されたきっかけは、やはりフェルナンド トーレスのサガン鳥栖加入だ。この移籍を仕掛けたのがCAA Baseだったのだ。それまでサッカー関係者界隈では吉田麻也が所属している事務所として、知れ渡っていた。しかし”黒船来航”の如く、世界トップ選手が日本にやってきたことには誰もが衝撃を受けたことだろう。
2018年からBaseスタッフとなった「(21-059)富永 雄輔」によると、Baseは17年頃から日本での事業拡大を計画しており、パートナー探しに最終的に彼が選ばれたとのこと。彼は受験塾を経営していることでも知られているが、彼が本格的に活動するようになると、それ以降、Jリーグ選手が徐々にBaseの門を叩くようになり、現在で日本人だけで約10人のクライアントが所属している。
- 板倉 滉 ※シャルケ04
- 吉田 麻也 ※サンプドリア
- 武藤 嘉紀 ※ヴィッセル神戸
- 田中 碧 ※フォルトゥナ・デュッセルドルフ
- 齊藤 未月 ※ルビン カザン
- 西村 拓真 ※ベガルタ仙台
- 藤本 寛也 ※ジル・ヴィセンテFC
- シュミット ダニエル ※STVV
- 田川 亨介 ※FC東京
- 内田 宅哉 ※FC東京
- バングーナガンデ 佳史扶 ※FC東京
- 町田 浩樹 ※鹿島アントラーズ
- 荒木 遼太郎 ※鹿島アントラーズ
- 山田 大樹 ※鹿島アントラーズ
- 安藤 瑞季 ※水戸ホーリーホック
- 半田 陸 ※モンテディオ山形
- 平川 怜 ※松本山雅FC
- 阿野 真拓 ※東京ヴェルディ
参考:CAA Base Ltd – Player agency – Player Agents
またJクラブを指揮している監督の中にも元横浜F マリノス「アンジェ・ポステコグルー」や松本山雅FC「名波 浩」など、Baseと契約するケースが増えていることから、そこにも力をいれていくようだ。
今後Jリーグにどんな影響を与える可能性があるのか
より日本人クライアントの海外移籍が活発になることが予想される。過去を振り返ると田中 碧、齊藤 未月もBaseと契約して、数年のうちに欧州でプレイしている例がある。
また鳥栖フェルナンドトーレスのように海外クライアントをJクラブに加入する動きも加速している状況。各Jクラブも親しいエージェントが存在し、そこから外人を獲得する傾向が強いので、クライアントの結果次第で移籍市場が変化するのではないか?と予想する。
最後に名古屋グランパスとの関係性を追求してみよう
クラブとエージェントとの関係性(名古屋グランパス/2021編)
U18出身である三井 大輝、昇格予定の豊田晃大ら3選手以外の殆どの選手はエージェントを付けており、現時点ではBaseとの契約について確認されていない。
21年8月に加入したポーランド代表「ヤクブ・シュヴィルツォク」に関しては日本人クライアントが多い「ジャパン スポーツ プロモーション(JSP)」の「(21-058)西真田 祥志」が協力していたようだ。
噂によると既に他クラブの某選手にオファーしている情報もある。また、CAA Baseは若手代表クラスの選手に狙いを定めていると言われており、グランパスが獲得しようとする若手選手に影響がある可能性がある。
ただし、忘れてはいけない人物が名古屋グランパスにはいる。それが「吉田麻也」だ。吉田麻也はグランパスの出身であり、現時点で日本代表の主将であるとともに、サンプドリア(イタリア)で活躍中であり、それはまだ続くと思われる。しかしどうだろうか?2022年にカタールワールドカップが行われる。そこでキャリアの区切りをつけることも十分に考えられる。そうしたらグランパスに帰ってくる可能性もある。
その点も含めてCAA Baseの動向をチェックしながら、これからも素敵なサッカーライフを過ごしていこう。