21683人が来場した試合。声出し可能エリアの入場口前では緊急の時の為にクラブが不織布のマスクを販売していたり、観戦エリアと応援エリアの横断や接触対策の為に普段より厳重に入場口を指定したりとクラブも声を出しての応援の為の準備を最大限にしてくれていました。
コロナ禍の夏の夜に響き渡った3年ぶりの声。色んな想いが込み上げて来ましたね。
試合も選手が声援に後押しされたのか、沢山のチャンスを作り勝利しました。
試合情報
磐田はグラッサ、松原などが入らない状況となり、キーパーは前節の梶川から三浦へ変更。そして大津が入る形となった。中盤の3人は試合中はポジションを入れ替えながらプレーする場面が多く見られた。(磐田を3421表記にしてる媒体があるが、磐田の中盤の3枚のプレイヤーがローテーションしており、3センターの形で表記する。)
名古屋はレオナルドと内田が戦列に復帰した。
磐田の攻撃の形と名古屋の対応
磐田は3バックでスタートするがボールを持っている時間は小川と鈴木がかなり高い位置を取り、最終ライン2枚と上原で攻め時を探る。遠藤はチームの状況に応じて自由な位置で顔を出し、ボール保持のサポートをする形。おそらく磐田は左での攻めは森下に松本を当てた上で小川と伊藤でマテウスの守備での選択肢を発生させてプレスを無効化し、顔を出しにきた中盤と金子で名古屋のセンターに対しても守備の選択肢を突きつける。右に関しては重廣のプレスを最終ラインで誘った上で鈴木や山本に最短でボールをつけて前進する算段だったのだろう。
これに対し名古屋はいつもより追い回すのを控えて構える時間を取った。前線3枚(重廣、永井、マテウス)で上原の前に壁を作り山本と金子が降りてくる事に対してレオシルバと稲垣が対応する。
12分付近の攻防が分かりやすい。磐田ボールになりすぐに遠藤を囲みながら中央で蓋をした名古屋。打開に困る遠藤に対して山本がサポートに降りてくるが稲垣が張り付く。遠藤と上原が場所を代わりつつ、サイドから見張られている山本ではなく鈴木へ楔を打つ底は丸山が対応し、再びやり直しに。やり直しでも名古屋は蓋をし続けるが磐田は鈴木が重廣の近くに寄ることで重廣をサイドに広げて蓋をこじ開ける。あいた守備の蓋に対して山本がボールを受けに入りチャンス。鈴木を見張っていた相馬が内側に絞ることで守備の入れ替えは成功した。しかし、相馬のいた位置に大津が流れてフリーで待っていた。名古屋のプレスの掛け方が良かった為に逆へ流れ事なきを得たが、この一連の流れが12分からの1分間の攻防。磐田としてやりたい形と名古屋の守る形の攻防だった。
名古屋のプレスのかける基準は磐田がボールを回すために陣形を整え直すタイミング。ボールを逆サイドへ逃がして選手配置をリセットし、陣形を整えようとする磐田に対してプレスをかける。プレスをかける基準と引く基準はかなり整理されていた印象があった。
名古屋の持ち方
名古屋にとって誤算というより「まさか」だったのはレオシルバに対する磐田の対応だった。レオシルバにプレスにいかずに、レオシルバのパスコースを絞る判断をしたのか、磐田の541のブロックの真ん中の4枚がかなりコンパクトに構えて待つ展開となっていた。レオにプレッシャーをかける為かブロックがレオに寄っていくので中盤の4枚の壁の裏のスペースがかなり空く展開となった。レオや中谷がブロックの隙間にガンガン楔を通す形を前半の磐田は許すしかない展開に。
後半になって
磐田は攻めるしかなくなったが、鈴木、山本で重廣をサイドに引っ張り、金子が頻繁に逆サイドから侵入してレオを引っ張る。空いた斜めのスペースに侵入していく形が増えた。
名古屋が持つ場面では最終ラインに対してのプレスと稲垣に対してのプレスも厳しくなり、稲垣と丸山がかなり狙われる展開となった。
磐田のプレスがきつくなった事、中央から人をずらす為に人をサイドに使ったことにより磐田は中盤が空き、カウンターのチャンス!という後半になった。
試合後感想
- あまりに相手とのプレー強度の差が出ていた。
- レオナルドは「俺が入れてやる」というよりは周りとの調和を重視してるように見えた。ボールを受けた時も最初に周りの人数を確認してるような様子が見られていた。
- プレスをかける場面の相手のプレーを制限するプレスの精度はかなり良くなっている。マテウスの追い方などは見違えるようだった。
- さすがにここまでチャンスの形を具現化できたのに入らないと少しスタッフは気の毒におもう。
- 中々入らない展開になってしまったが、そこに顔を出せる形が出来た事。顔を出せる事を評価していきたい。
- 最後に永木が入った時の安心感とともに、1-0で変えづらい展開となったとはいえ、稲垣のガソリンが無くなった時のベンチワークが気になるところ。
- ミッチに転がされてた藤井と、ベンチからこの日キレキレでドリブルで抜きまくっていた相馬をみて「あんなん追いつけねえ」と梶川に言っていた杉本が印象的。
最後に
チェルシーFCの監督であるトーマス トゥヘルは、ゴールが取れないストライカーに対し
「女性を夕食に誘おうとする時、彼女に無理強いをしてはいけない。一歩下がって、彼女が誘ってくれるのを待つべき時もある。同じように、ゴールも向こうから来るんだ。もちろん、何かやるべきことはある。でも、最善のことは、考え過ぎず、努力を続けることだ。」
と助言した。
磐田戦で惜しくもゴールネットを揺らすことが出来なかった選手達もピッチで他のやるべきことは充分に果たしていた。ガンバ戦ではゴールが向かってきてくれることを祈って。