今回は記念試合ということで、外部の方にも寄稿いただきました。分析ブロガーのさかりーにょ さんです。
※本記事はさかりーにょさんのブログとのマルチポストになります。是非お読みください!
はじめに
絶賛優勝争いを繰り広げる2023シーズンの健太グランパス。決して派手さはないが堅実な守備をべースに確実に勝ち点を奪いに行くそのサッカースタイルは名将ジョゼ・モウリーニョの哲学と酷似しているように感じます。この前の鹿島アントラーズ戦を見て優勝するためには改善点が多いように感じました。具体的にどのような課題を抱えているのかを知りたいのですが・・・
どうもさかりーにょです。
本記事は名古屋グランパス推しのこんな悩みを解決するために2023J1第13節・30周年記念マッチ鹿島 vs 名古屋のスタッツを基に分析したいと思います!
本記事の信頼性
- 年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」を開発
- JFA公認指導者ライセンスB級
- IFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了
- AEFCA公認マッチアナリストコース修了
- 元海外プロサッカー選手&指導者
~2023 J1 第13節 鹿島アントラーズ vs 名古屋グランパス~
グランパスが悲願の優勝を果たすために改善すべき4つの課題とは?
2023年J1 第13節 鹿島アントラーズ戦を分析した結果、名古屋グランパスの課題は以下の4つだ。
- 【攻撃面】
- 課題➀:ラスト30mにおける崩しのパターンの少なさ
- 課題②:ビルドアップパターンの乏しさ
- 【守備面】
- 課題➂:守備への可変時に狙われるSB背後のスペースへの対応
- 課題④:コーナーキックの守備
課題➀:ラスト30mにおける崩しのパターンの少なさ
堅守速攻が代名詞の2023年の名古屋グランパス。基本的なスタイルは守備時に低いラインを設定し、5-2-3のブロックを敷いてこの能力の高い前線3枚で一気にロングカウンターで仕留めるというものだ。一方で、カウンター主体のスタイルであるが故に、リーグ戦13戦の中で先制された試合の勝率は僅か25%。前に出てこない相手に対しての戦い方に課題を抱えていることは明白だ。その中でも特にラスト30mの崩しのパターンが乏しい。ユンカーがサイドに流れるシーンが多かったが本来はエリア内にいるべき選手であるし、相手のブロックの外でボールを回し、単調なクロスに終始するシーンが多かった。
解決策としては3-4-1-2の配置であれば、中央に人数を割いている分中央突破という選択肢をより多く入れることで打開できる場面は増えると分析。攻撃時には両WBが高い位置を取る3-2-5のような配置に可変する傾向があるので、WBからもっと効果的な斜めの楔をいれて3人目を走らせる崩しを組み込むことで相手に恐怖を与えることができると分析。
課題②:ビルドアップパターンの乏しさ
グランパスの後方からのビルドアップはパターン化されているがその引き出しは非常に少ない。
具体的にはディフェンスライン3枚から両WBにボールを出し、ボランチにダイレクトで落としてから前線にボールを送るというパターンだ。
しかし、鹿島のボランチへの強い強度の守備で、ボランチでボールを失うシーンが多く見受けられた。
鹿島アントラーズが3CBに対して2トップ+1SHの3枚でプレスをかけてきた際にはユンカーへのロングボールを選択すればよい。一方で、相手2トップで3CBにプレスをかけてきた際にはドライブしてボールを運び、対角へのボールをWBへ通すことで一気に活路を見出すことができたはず。
鹿島のディフェンス組織は4-4-2のゾーンディフェンスであるために、ボールサイドに人をかけて追い込む特徴がある。だからこそサイドチェンジに弱い。スライドが間に合わないからだ。
このビルドアップを遂行するためにはやはり左CBに左利きの選手を置く必要がある。今回のメンバーであれば河面選手を左に、藤井選手を右CBに配置することでビルドアップ時に優位に立てた可能性が高いと分析。
課題➂:守備への可変時に狙われるSB背後のスペースへの対応
名古屋グランパスは攻撃時に3-2-5に可変する。鹿島アントラーズはこのシステム上の弱点を巧みについてきた。
名古屋グランパスが守備時の5-2-3に可変する前にSBの背後のスペースへ侵入するというものだ。
この試合では右サイドの17番森下龍矢選手の背後のスペースを狙われ続け、カウンターの起点とされてしまった。
解決策としては、ボランチの1人にSBの背後のカバーを担当させることだ。2CHで横の広範囲をカバーしなければならずに非常に負担が大きくなるがWBが戻り切れない際にカバーする選手を忌めるなどスペースを埋める役割をこなす選手を明確にすることで格段に守備組織が改善されると分析。
課題④:コーナーキックの守備
本試合では1点目は幸運にもゴール取り消しとなったが、同じ形でその後失点をしてまった。
その原因は、ゾーンとマンツーマンを併用する名古屋グランパスが採用する守備戦術にある。
グランパスはCKの守備時にヘディングが強い植田選手と関川選手をマンツーマンディフェンス。その他の選手をゾーンディフェンスという以下のようなシステムをとった。
しかし、セットプレーのゾーンディフェンスが持つ「ボールウオッチャー」、「守備の役割が不明瞭」という2つの欠点がそのまま表れ、失点となった。特に、ファーへのボールの対応が非常に悪く、ボールにチャレンジに行けない対応が目立った。グランパスは11人全員をペナルティエリア内に配置していたが7人の鹿島アントラーズに負けた。この事実と向き合い、特にファーサイドへの対応を入念に練る必要がある。また、サッカーにおける得点の30%を占めるセットプレーをもっと丁寧に扱う必要があることは明白である。
さかりーにょEYEs
今回優勝を勝ち取るために必要な課題を分析し、可能な限りの解決策を提示した。
この分析が1人でも多くのグランパスファンに届き、その波がグランパススタッフ、強いては長谷川健太監督の基まで届けば名古屋グランパスはもっともっと高みへ行けると確信している。
この分析を通して1でも多くのグランパス関係者がシーズン終了後に素敵な笑顔になることを祈って。
さかりーにょ。