福岡との3試合の1戦目は敗戦となりました。9月とは思えない暑さの中での試合。
次の試合の変化、修正を理解するためにも振り返ります。
試合情報
福岡の形
福岡はシャドーがウイングバックを押し込み、名古屋のシャドーを外に引っ張って中央を開けるのがスタンダード。特に名古屋の右サイドは野上を押し込んで森島を外に引っ張る事で稲垣を縦に釣り出して外からセンター裏に。という形が基本。
14分の左サイドの攻防の様にウイングバック同士で当たる判断を名古屋がすれば、福岡はシャドーとセンターがウイングバックと脇のセンターバックの裏に走る手札を用意していた。
ビルドアップの阻害についても工夫が見えた。名古屋の最終ライン3枚に前線の3を当てるフリをして、そこで取らない。比較的左右にボールを振らせるような形を取り、前線3枚の裏がアプローチのポイントとする。
稲垣が3-2のブロックに囲まれに行く展開があったが、それを作ってる時が福岡の狙った守備の仕方だ。
16分のように3枚が最終ラインに当たりに行かない時間は名古屋がすんなりボールを前進させる。
名古屋の形
名古屋はボールだけ動かす時間帯では福岡のプレスの「守備の網」を崩すことができない。
17分には内田、中谷が網に向かって運ぶ事で福岡の目を中央に向け、外から2センターの脇を絡めて前進する。
1列目を突破する際に中に絞ることを強いられた福岡は、名古屋が2列目を攻略する際に外に広がる。名古屋は外に広がったら中へ、中へ絞られたら外へ。で対応する
この試合は稲垣の、「網が組まれていない時はセンターの脇に上がる」、「網が組まれている時はその中で中継ポイントになる」動きをどう使うかが最大のポイントだった。
中谷や内田のように運んだ後の中継地として使うのか?藤井のように稲垣を生贄にチャレンジを通しにいくのか?
27分を過ぎると運ぶ選手達に対するアプローチがキツくなり始める。アプローチがきつくなった内田はすぐに外に逃げて広がる選択をした。それにより稲垣のプレーエリアを広げて、稲垣にボールを引き取ってもらって福岡の守備の目線を変えさせる事を試みた。
この場面では内田が手で「受けに来い」と稲垣に指示して、河面が稲垣のサポートの寄りが遠い事を察知して目線変えさせるなら「一つ前行ける」と言う視野サポートのジェスチャーを入れた。
恐らく、この瞬間に福岡は「稲垣を囲んで、内田を潰すと最終ラインまで潰しに行ける」事を確信する
名古屋は手詰まりを解消する為にこの形を続ける。内田が攻撃の第一波では必ず中盤の底に入って相手を引き付け稲垣を押し出す形を作る。
詰まれば内田が逃げて稲垣に降りてきてもらって、福岡の守備網にズレができるのを待つ形を選択した。
サッカーの性
後半にはいると、押し込む為にどうするか?を考えた形を取る。最終ラインを押し上げ、福岡を押し込む為に森島が大外を取る回数が増える。この展開は浦和戦などで見た光景。
リスクを取って押し込む事で何度かチャンスは訪れた。
失点シーンに関して、河面も中谷もニア側にステップを踏んだ福岡の選手が2人いた事を考えたら守備者側のプレー選択は間違いではない。
森下はハイボールの場面では競り合いに入る高さではない為に彼の前のスペースを空けていた。そこにピンポイントで落としさえすればワンチャンスある。と踏んだ相手が上手かったとしか言いようがない。
上げられる側の対応をした久保は、ゴール方向に対して斜め方向を向かれて球を止められた時点で縦か内の守備サポートがない限りはあの選択も間違いではない。
藤井との距離が空いていて、吉田もハーフスペースを埋める為に爆速で戻る素振りもない中でもう一つ奥に侵入されるor内側のゴールに近寄らせるプレーを最優先してケアするのは当たり前の事。
(参考文献:「サッカーのドリブル突破に関する運動学的研究-借問分析による動感素材の解釈を通じて」 )
クロスを上げられた瞬間、相手選手もあげる直前にもフェイントを入れており、縦抜きのフェイントもかけられた久保にあれよりキツく最後制限に行け!と言うのは酷。
サッカーと言うスポーツは“その瞬間の選択は間違いではないが、結果を見た後だと正解ではなかった”と言う事が当たり前に起きる。
試合雑感
- 前半は福岡に名古屋のポイントを抑えられてしまった。人とボールが一緒に動いていないとボールの終点にアプローチすればいいだけになってしまうので、ボールを受ける時に反転といったボールの終点でプレーを始めるのではなく、旋回を使うなどのボールと一緒に動く作業を和泉や内田以外の選手でもう少し増やしたかった。(実際、いなくなったマテウスが狭い局面でボールを受ける事が出来たり、彼で相手の守備構造が傾いたのは、技術だけの問題ではなくてこういった意識やプレー選択の部分も大きい。)
- 見た目ではボールに対するアプローチで負けていた印象がある人もいるかもしれないが、デュエル勝利数は名古屋が上。スタッツを見ると両チームほぼ似たような数字が続いており、名古屋側についている“ビックチャンスミス”1の数字が悔やまれる。
- 攻撃の渋滞に関する改善は森島、内田を中心にピッチで行なっていた印象があるが、その二人が交通整理に入らないといけない。というのが単純にディスアドバンテージになっている感覚。交通整理で楽になる選手達の試合の絡み方が良くなれば。
最後に
今のチームと一緒に歩ける時間も長くありません。
日常にサッカーがある感謝とやり残した事が無いように。
満員の豊スタで選手達を迎え入れてもう一度ここから。