書き出しに困るぐらいには何とも言えない試合となってしまいました。
リーグ戦では中々勝利がもぎ取れず。
変化の狭間でもがいている部分を中心にピンポイントレビューで振り返っていきます。
試合情報
名古屋の選択
名古屋の選択は稲垣を囲ませてインサイドが下りてくる形
囲んだところからインサイドが降りて囲みを剥がすことで稲垣が前を向いて受けるスペースを作る(02:36~)
名古屋のインサイドの動きで広島のボランチが動くことでスペースが生まれる。
試合開始直後には左サイドで稲垣を囲ませて和泉が外に顔を出して満田を釣りだしたシーンが典型的な形(01:46~)
インサイドが自由に動けるのは、試合映像には映りにくいが大外の森下と野上が広島のWBを押し込んでいる為。
名古屋が3142にした理由はWBというポジションに意味を出したかったからだと考える。
前述した稲垣を囲ませてインサイドが降りる形はこの手札を使う以上中央がかなり絞られる。
中央が絞られて降りることができないのであれば外回しで広島のボランチの裏にボールを入れてしまおうという算段。
外を見せることで、中央を絞る広島のブロックを外側に広げる。その結果中央のゲートが開くことに。
この2つの手札に加えて、前田が入る時に採用する中盤のダイヤモンドの形も手札とする。
広島の選手が名古屋のセンターの動きを制限したときは前田に預けて相手の目線を変える動き。
この手札を使うときの難しさとしては「手札選択」と「手札の効力を発揮できる技術力」。
手札選択に関しては外に広げてから中を通す。など、手札をだすタイミングの練度。
技術力に関しては06:51~などに見られた「ボールの扱いの部分のエラー」
この難しさは自分達だけの問題ではない。
広島を褒めるべきなのは、名古屋が用意した3通りの基本的な形に対して、回答があった事。
外と中を使うことに関しては最終ラインへの圧力のかけ方や、中央と大外の両方をケアするような中間ポジションでのブロックの組み方。
名古屋のインサイドの選手に対しての守備の選手達の圧力のかけ方。
これらは名古屋の選手達の技術の最大出力を防ぎ、手札の意味を薄めた。
広島の選択
名古屋がボール配球をスムーズにするためにWBをあげる関係上、名古屋の最終ラインに対してのプレスと、名古屋の受ける選手に対して縦向きにつぶしに行く形を取る広島
最終ラインに対するプレスで浮いてくる名古屋の選手に対しては逆サイドのインサイドハーフの選手が中央に絞って対応する形。
攻撃に関しては、名古屋が構える状況に追い込むと、大外からのクロスと外側からの崩しを多用した。
ドウグラスではなくソティリウということもあり、外からも殴ってしまえることが広島としては割り切りにつながっていたのかもしれない。
試合雑感
- 試合開始直後に和泉のボールが引っかけられてショートカウンターを喰らったシーンなど、他の試合でも結果をみると間違いだったといわれるようなミスがほかの選手に出たときに何試合も味方の尻を拭いてきた河面。
今シーズンコンディション不良が続く丸山に代わり、厳しい季節に何度もチームを救ってきた。当然PKになったプレー自体は本人が改善すべき部分もあるが、あのシーンは河面1人の完全責任なのだろうか?稲垣のアプローチの仕方は?ターレスや藤井の立ち位置とプレー選択との関係性は?先制点からの試合運びの選択は? - 2センターに変更直後、山田と内田が相手に対して詰め被りをしたシーン。ここに河面のPKにつながった意識的な原因があるように見えた。
「いつもの約束でやらないなら投入された選手がきちんと新しい約束やプレーの選択を他の選手に伝える」“やりたいことを伝える”という作業がここ最近ホームゲームでも少なく、各々が個別に役割をこなす事だけを考え、自分の役割が、敵味方関係なく“どんな状況で、どこの誰に”作用しているのか?を考えている余裕がないように感じた。 - プレーの損益分岐点を各選手が見極めていきたい。明らかにチャレンジの域を超えて分岐点を見誤って失点のきっかけになってしまっている選手もいるので、各状況で選択するプレーの意味を追究していってほしい。
- 地味に3センターの守備時の出し入れに関してはとてつもなくスムーズに回っていた。森島も徐々に逆のインサイドの動きを守備時にかなり気にできるようになっているので、何とか意識だけでも名古屋の守備基準に合うようになってほしい。
- 後半、永井が鬼の形相で守備に戻るシーンがあったが、あのぐらい「やばくなったらみんなで走って戻ろう!」ぐらい割り切って選手たちが自由に顔を出したりしてもいいのではないか?と思う。前目での自由な顔出しは前田が担っていたが、もう一人ぐらいリスクを取れると変わって来るのではないか?(稲垣がFWを追い越す動きをしていた頃のように)
- 前後半含めて無だったのか?といわれると全くそうではなく、名古屋の手札がかなり効いた時間もあった。
変化に対する努力や工夫が見られ、自分達の時間もあっただけに後半に一撃一撃、1秒1秒で喰らうダメージも大きかった。
さいごに
全選手が変化の狭間でもがいてる。
最後に選手と笑って終わるための時期だと信じて。