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グランパスの非保持で優位を取る設計 2024年J1リーグ第5節 横浜F・マリノス戦マッチレビュー #グランパス #grampus #fmarinos

某監督の言葉を借りれば「This is,This is,This is football!!」

とはいうものの、xGは1.54 VS 1.75だったり、シュート数や枠内シュート数の差は5本以内だったりと各々のスタッツを比較するとそれほど印象は悪く無い試合となりました。

参考:

非保持で優位を取る名古屋と保持で優位を取るマリノスの一戦。

真逆のアイデンティティのぶつかり合いがどうなったのか振り返る。

試合情報

1.名古屋グランパス・横浜F・マリノスのスターティングメンバー・ベンチ
1.名古屋グランパス・横浜F・マリノスのスターティングメンバー・ベンチ

マリノスの保持と名古屋の非保持

マリノスのボールの動き出しは2センターバックからスタート。

マリノスのサイドバックとウイングは名古屋の大外を押し込む為に高い位置を取る形。

同時にインサイドハーフに人を置く事で「名古屋を外に引っ張って中に渡る」が軸となった。

2.名古屋を外に引っ張って中に渡るかたち
2.名古屋を外に引っ張って中に渡るかたち

名古屋の中盤の配置デフォルトが2-3(セントラルMF-インサイドハーフ・フォワード)の試合では、相手の外(サイドバック)にインサイドハーフがコンタクトするのかしないのか?が曖昧になる試合が昨シーズンから多い中で、今回は3-2(セントラルMF-フォワード)の形を取る。

3-2の配置にした事でビルドアップのスタート時の自由は与えるものの、スペースを消す事を優先し、「後からズレない」が明確になった。(内田が絞るような形もスペースを消す事が最優先)

それに加えて、マリノスの「人をズラそうと試みるサイドバック、ウイング、インサイドハーフがローテート」に対する策として大外の“場所”を守る選手を固定した。(久保:エウベルと河面:水沼)

この辺りの手札の刺さり方は2センターバック+喜田でビルドアップスタート部隊に対して前線から人が足されていった所を見ると思った以上にマリノスは嫌だったのだろう。

3.久保:エウベルと河面:水沼で大外を固定し、ズラせなくする
3.久保:エウベルと河面:水沼で大外を固定し、ズラせなくする

マリノスは永戸を下げて加藤を絞らせる。加藤を下げて永戸を上げる事で水沼、エウベルの1vs1を作りたい狙いがあったがここも名古屋の選手の配置がかなり効いた。

森島、内田といった非保持の時間に外と後ろに矢印を向けられる選手をハーフスペースに置く事で大外の管理をする選手達が守備時に前に矢印を向ける必要性を無くした。

久保がラインの受け皿の役割に対して、永戸が前へのランニングで優位をとるタイプだった事も名古屋的には助かった。森島(インサイドハーフ)の周りでワンテンポ優位を取るような展開にされ、ウイングバックやセントラルMFを引っ張り出してから!が名古屋の攻略として定番化されていた中で、中継地点を減らしたマリノスの形は名古屋を“崩壊させる”までには至らなかった。

4.名古屋を崩壊させることができなかったマリノスの攻め
4.名古屋を崩壊させることができなかったマリノスの攻め

前半終了間際には保持局面で喜田まで参加して選手間を攻略しようとする場面も見られたが後述する切り替え時の緩さによって人数を足すアドバンテージより、後ろに居ないディスアドバンテージの方が目立っていた。

プレッシャーを掛ける意味

名古屋の保持に対してマリノスは前線3枚当てをベースにインサイドハーフ(ナム・テヒと渡辺皓太)が セントラルMFに食いつく形を取る。ほぼマンツーマンでの守備だったがプレッシャーを交わされた時のチームの動きには不自然さを感じた。

プレッシャーをかわされたり運ばれたりした時のマリノス側のレスポンスがかなり鈍かった。(ネガトラ後の守備の局面)

ウイングバックを採用する名古屋に対してインサイドハーフとウイングがプレスバックをしない場面や、アンカー脇を放置する場面が目立ち、プレッシャーをかける意味が「ボールを奪取する」事に繋がっていない様に見えた。

マリノス側に見られるネガトラ後の守備の局面の問題は守備陣形の前後分断に繋がり、名古屋の選択する分断された後ろに直接アプローチする長いボールはある程度効果的だった。

ネガトラ:ネガティブトランジション:守備への切り替えのこと

5.マリノスの前後分断と、久保藤次郎の裏取り
5.マリノスの前後分断と、久保藤次郎の裏取り

後半の変化

とはいえ、前半は2センターバックを放置した事で「攻撃の局面」を与えすぎた名古屋は後半から勇気で対抗する。

パトリックをアンカー見張りに置き、永井と森島のプレスで当たりにゆく。リスクはあるものの、前後に分断されているマリノスとしては高い位置で守備局面が続く事はストレスになっていただろう。

前半は上下動を担当するウイングバックが右の久保で森島を落としていたのに対して和泉を入れて内外の対応をさせる事で森島の前に出る部分のサポートと同時に運動能力のある三國を大外係に。一方で左は上下動係の山中を設置。河面を外対応から外して最終ラインからのフィード役に切り替えた。

6.後半名古屋の打った手
6.後半名古屋の打った手

森島の1点目はマリノスは基本構造としてネガトラやボール奪取の局面ではプレッシャーをかけていたマリノスが明らかに守備局面!と一息ついた場面。ラインを上げてから局面を切り替えたいギャップを吉田と森島がついた。

2点目も吉田のマリノスのギャップ察知でほぼ勝負あり。「取る為のアプローチ」を切り替えの局面に組み込めないと必ず起こる空白の時間がポイント。

名古屋も「整備する局面」なのか「取るアプローチ」なのかはっきりしない試合が多い中で、解説の林さんが話していた「名古屋は非保持で優位を取る設計」を選択した事が効いていた。

歓喜の輪と、脱げたスパイクを拾うツカサ
歓喜の輪と、脱げたスパイクを拾うツカサ

試合雑感

  • 勝ったからヨシ!
  • この勝ちがアナリストチームの若い皆さんの自信に繋がってくれれば。
  • 内田じゃないと出来ない役割。内外の立ち方の変化を飄々とやってくれる所が職人肌を感じる。
  • 覚悟した選手。努力した選手は強い。
  • マリノスとしては守備局面の着地点の未設定が目立つ形となり、プレッシャーが掛けられなくなった後半は苦しい展開のように見えた。逆に言えばこの試合でしっかりと「どうたえるか?」「耐えた後の敵はどうなっているのか?」を理解していた名古屋が生んだ必然の2点でもある。

さいごに

シーズンはまだ始まったばかり。

炎

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