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0トップの効用とリソース管理の難しさ 2024年J1リーグ第29節 アルビレックス新潟戦マッチレビュー #グランパス #grampus #albirex Y0188

10083人という少し寂しげなスタジアムとは思えない声量のゴール裏の応援と歓喜の声。チーム全員がしてやったりだった新潟戦。この試合を振り返る。

試合情報

1.名古屋グランパス・アルビレックス新潟のスターティングメンバー・ベンチ
1.名古屋グランパス・アルビレックス新潟のスターティングメンバー・ベンチ

東京戦の復習&新潟戦開始時の状況

前回苦しかったのはプレスの整理。東京の2センターバック(以降CB) +アンカーポジションの選手。そして左のIHの位置をコントロールするSBの選手により前線3枚と2CMFが誰にチャレンジに行くのか?を迷わせた。

用語解説:「アンカー」とは、サッカーのフォーメーションにおいて、CBの前の中盤の底に位置し、攻守に貢献するMFのポジション・役割のことです。日本では、アンカーは中盤に位置する守備的な選手を指すことが一般的です。

迷った事が失点の原因では無く、その後の前線の守備選択が混乱を産んでしまった。アンカー+CMFという中盤の2段構造における奥行きの長さに対して、前線が割り切って最終ラインに走り込んだ。

それによって中盤から後ろの選手達に数的優位や空間の広さによる負荷(ストレス)がかかってしまった。

判断基準が無かった東京戦は一度崩れたら修正が効かなかった。

東京戦のまとめはこちらのツリーを参照してください

守備の負荷を考えてプレスに行く

前節東京戦の状況を踏まえて、振り返る。

相手のセットは4231(442)

新潟のトップ下と1トップが最終ラインに張り付く事もあり、中盤はボランチ2枚となる。名古屋は外側から人と人を合わせていく。

サイドバック(SB)にはウイングバック(WB)を当て、2CBにフォワード(FW)+インサイドハーフ(IH)、ボランチにはIH+椎橋、2トップにはCB+稲垣

キャスパーやパトリックを採用する際のアンカーを見張りながらと言う相手の状況とは全く違うセットと言う事もあり、マンツーマンの約束を敷いた。

用語解説:サッカーにおけるマンツーマンディフェンスとは、特定の相手選手を1対1でマークし、その選手の動きを徹底的に封じる守備戦術のことです。この戦術は、相手のキープレイヤーを無力化することを狙いとしています。
メリット
・守備能力の高さが生きる: 選手一人一人の守備能力が高ければ、ボールが自陣ゴールに近づく可能性が低くなります。
・戦術がシンプル: あらかじめ決められた選手にひたすらついていくだけなので、戦術がシンプルです。
・適材適所: 身長やスピードに応じて適切な選手を配置できる1。
デメリット
・体力的に厳しい: マーク対象の選手が動き回るとずっとそれについていかなければならないため、体力的に厳しいです。
・対人守備で負けるとピンチに: 一人でも対人守備で負けると状況が不利になり、一気にピンチに陥る可能性があります。
・攻撃に移るのが難しい: 相手の攻撃フォーメーションに合わせて陣形を崩すため、ボールを奪っても攻撃を立て直すのが難しいです。

ただ闇雲にプレスに行くだけで無く、永井と森島の押し引きを最優先とし、そこを見ながらIHが戻れない状況では和泉が降りて対応する。

この形のサポートとして左サイドで徳元が河面と永井の距離感を見ながら、河面の負荷を第一優先としてプレス連動の舵を切ったのが印象的。最終ラインの守備の負荷状況を事前にチェックした上で、前とすぐに連動しなかった。

2.プレスの構造と基準点
2.プレスの構造と基準点

森島、永井、和泉がプレスをかけるタイミングやスペースを埋めるタイミングはWBが「連動をしない事」でプレー指針を出した。最終ラインは意思決定がWBにあるので連動に困らない。

最終ラインの吸収は時に悪ではない

ボール回収にあたり、稲垣が最終ラインに吸収される形も功を奏した。東京戦で苦労した1.5列目と2列目の2つのラインが新潟には無い(新潟は中盤は2ボランチだけ) 

名古屋は前線がボランチを見張る必要がある為に中盤との奥行きを圧縮したい。(和泉や森島が椎橋の周りまで出入りしやすいような距離感にしたい)

その中でトップ下が前線に居る事で、稲垣を押し込むので、中盤の空洞化に対してラインを上げて守備がしやすい距離感にしたい。

3.空洞化した中盤の活用方法
3.空洞化した中盤の活用方法

この圧縮が結果的に新潟を苦しめたが、そのカラクリは新潟のビルドアップ方法にもある。

新潟から学ぶリソース管理の難しさ

基本的に新潟が球を前に運ぶ、または勝負する際は「選手がスイッチ」する事が多い。(ボランチとトップ下が入れ替わるetc…)

一般的には相手に「ズレ」を作らせる常套手段である。但し、ポジションを入れ替えて出来るズレというのは「空間の創出」が目的の場合が多い。空間が出来た所で相手の守備のブロックや守備の約束の穴を突いているわけでは無い。

この日の新潟は綺麗な442のような立ち位置で選手が立ち、球が刺し込まれる場所とタイミングで選手の配置がスイッチしていた。名古屋からすればマンツーマンで見張りをつけている中で、選手がスイッチする場所だけ見ていればいいわけで、スイッチが分かって居るからこそ稲垣もトップ下に張り付いて最終ラインに吸収されていても問題がなかった。

要は名古屋の最大の苦手である数的優位の創出をしてこない新潟のビルドアップが稲垣の最終ラインの吸収や名古屋の守備の出足の良さ、中盤が椎橋一人でも問題がない事に繋がった。

4.新潟の攻めの2つのセット
4.新潟の攻めの2つのセット

広島のようにトルガイと加藤が絡んだ数的優位を作る個別の戦術であったり、WBに対して中島、東の2枚で優位からのCMFから松本が絡むといったポジションを外れた設計が無かった。と考えると分かりやすい。

(後半小野が入ってようやく中盤の深くまで降りて来て数的優位を作ったり、WBとIHの間に立つような形が増えてきた。)

この新潟の配置の綺麗さは新潟の守備にも響いてくる。とにかくライン間にボールが届く。特に森島が左右のWBの前後で受ける形が多く見られたと思うが、名古屋の「ポジションの捨て」を想定していないような構え方になっていた。

デフォルトで配置されている選手に対するプレスは設定しているものの、場所で考えている為に数的優位を作る為に受ける場所を変えるようなイレギュラーなリソースの吐かれ方をすると対応が出来ない。

スカウトチームの仕事の賜物かは分からないが、ライン間で受ける事を苦にしない前線3人をチョイスしたのはドンピシャの采配だった。

5.前線0トップ3枚の活用
5.前線0トップ3枚の活用

試合雑感

  • ビルドアップで言えば名古屋や広島がやられる時の「リソースを吐きすぎて守備設計の穴ができる」とは真逆の道を行く新潟。リソースを吐かないので相手がミスするまでボールを持ち続けて待つ。野上が早々に一点いれたおかげて向こうの「ミス待ち技術担保勝負」にひびが入ったのが大きかった。
  • 最終ラインのボールの手放す時間の均一差は東京戦に比べて良くなった。三國も早く出し手動きなおす!を意識しているようでGOOD
  • 徳元の「どこと基準を合わせないといけないのか?」を分かっている感が存分に出た試合。攻撃のWBのカットインのローテーション等はこれから。
  • 後半の遅い時間まで弾けて無くなりそうなぐらいパンパンにハードワークしてくれた野上。昨日は野上様々
  • 和泉のゼロトップは流石。キャスパーやパトリックは比べられるが、試合の性質が違うので時期尚早。
この日0トップでMVP級の働きを見せた和泉竜司
この日0トップでMVP級の働きを見せた和泉竜司

さいごに

名古屋は今週で気温のピークは終わりとの予報。日曜日は名古屋の夏を勝ちで締めくくりたい。

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