ルヴァンカップ決勝に向けて、サポーター・ファミリーの皆さんのコラムをお送りします。1本目は 時雨さん @Shigurain_voice から!お読み下さい!
今年のルヴァンカップ決勝が、もうすぐそこまで迫っている。
思い返せば、今季はリーグ戦開幕から3連敗スタート。
勝ったり負けたりしながらのチーム状況ではあったが、ルヴァンを勝ち上がってきた。
次がいよいよ最終決戦である。
わたし自身、今季はルヴァンカップに不思議な縁を感じている。
ホームタウンからは離れた遠方に住んでいることもあって、普段はアウェイを中心にちょこちょこと見に行くのだが、今季は近くでやるアウェイも含めて、なかなかリーグ戦を見に行く機会に恵まれずにいた。
ちょっと予定が入っていたり、バタついていたりして、どうにも上手く予定に入れることが出来なかったのである。
しかしルヴァン2回戦 vs大宮アルディージャ戦、3回戦 vs横浜FC戦、そして先日のvs横浜F・マリノス戦(1st Leg)は、都合がついてそれぞれ現地で観戦することが出来た。
激闘だったサンフレッチェ広島との試合こそ見に行くことは叶わなかったが、名古屋グランパスのここまでのルヴァンの勝ち上がりを、しっかり追いかけることができたのである。
さあそしていよいよ国立決勝。
2度目の大一番を前に、やはり思い出すのは2021年10月30日。
せっかくの機会なので、ルヴァンカップを初制覇したあの時のことを、いちファンとして思い返してみたいと思う。
2020年最終戦、公式で発表になった2021年シーズンのユニフォーム。
学生だったこともあり試合観戦になかなか行けず、好きと言いつつ、グッズにもなかなか手を出せずにいたわたしは、そのデザインのかっこよさにやられた。
試合をいつ見に行けるかも分からなかったし、その時点で既に8年ほどリーグ戦の現地観戦からは遠ざかっていたが、『凄くかっこいい、これを着てまたスタジアムに、グランパスを見に行きたい!』と思った。
そう思ったその当時も決して財布の状況がいいとは言えなかったが、シーズン開幕直後に意を決して購入。
初めて買った、名入りのユニフォームだった。
この当時のグランパスは堅守の名古屋と言われ、リーグ戦開幕から6連勝。
その後も好調さは続き、GKのミッチことランゲラックのクリーンシート記録は823分間で、リーグ記録更新となった。
しかし、ルヴァン決勝直前まで争っていた天皇杯は、準々決勝で奇しくもルヴァン決勝の相手と同じセレッソ大阪に0-3で敗戦。
一抹の不安を抱えながらも勝ちを見届けたい一心で、2021年10月30日、付き添いという形で来てくれたサッカー好きの親友とともにチケットを持って、そして初めて買った名入りのユニフォームを着て、埼玉スタジアムへと足を踏み入れた。
それまでわたしのグランパス観戦経験はアウェイの試合しかなかったが、ルヴァンは今までのそれとは違っていて、
浦和美園の駅に到着した際には既に赤黄のユニフォームを着たグラサポの皆さんも、桜色のユニフォームを着たセレッソサポの皆さんも、どちらも多くいらっしゃった。
ゴール裏座席には赤黄、桜の模様が描かれ、これが決勝か……!!とテンションが上がったのを覚えている。
そうして興奮している間に時間が経って、両チームのスタジアムDJさんによるホーム仕様のそれぞれの選手紹介などが終わり、13時05分、14年ぶりのタイトルがかかった試合は快晴のなかキックオフ。
両者ゴールマウスをこじ開けることは出来ないまま、前半が終了し、ハーフタイムへ突入した。
両者0-0、まだまだ得点の可能性はあるし油断もできない。
もちろん楽しかったが、キックオフからずっと妙な緊張でハラハラしっぱなしだった。
さて、そんな緊張感の中のハーフタイム。
わたしがハーフタイムの休憩を利用して席を立ち、戻ってきたのと入れ替わりに友人が席を外した。
だが、まだ混雑していたのか、戻ってくるよりも先に後半がキックオフ。
……そうしてまもなくCKの混戦から訪れた1点目の歓喜の瞬間、彼はそこにいなかった。
(あっ、入った!!! 入ったのにいない!!!(笑))
と思ったことをよく覚えているし、いまだに笑い話として彼と話題になることがある。
以前、彼にこの時のことを改めて聞いてみたが、
「あの日の後悔はあれだけだ」ということらしい。
……脱線してしまったが、こうしてグランパスは前田直輝選手のゴールで先制した。
この時期のグランパスは先制するととにかく強く、先制すると負けないジンクスがあった。
自分の中では、いけるのではないか?という期待感が高まっていった。
しかし前半からセレッソもすごかった。
とにかくグランパスのゴールに迫る迫る。
何度ヒヤヒヤしたか分からないくらいヒヤヒヤしたが、
名古屋のゴールマウスにはミッチ。
幾度となくスーパーセーブでグランパスを救ってくれた彼は、ここでも華麗なセービングでピンチを救ってくれた。
そうしたギリギリの攻防の中で、後半から出場の”クバ”こと、シュヴィルツォク選手が走って、抜けて、シュート!
惜しくもそのシュートは弾かれた。
が、後ろから稲垣選手のシュートが突き刺さった!!
『シュヴィルツォク、シュヴィルツォク、シュヴィルツォク!! そして後ろからー!!!!』
(2021 ルヴァンカップ 決勝 実況より)
2点目は稲垣祥選手。
あのシーンはとにかく鮮明に、すごく強烈な思い出として頭に残っている。
このあとも、セレッソの猛攻は続いた。
個人的な記憶のなかの印象では、ひと息つく間もないすごい試合だった。
しかしヒヤヒヤしながらも、そこは堅守の名古屋だったな、と思う。
守備の選手ではないが、いまはサウジアラビアのアル・ターウンで背番号10をつけているらしいマテウス選手の素晴らしいプレイも、しっかり目に焼き付いている。
そうして、90分+ATが経過。
埼スタのピッチに長い笛が確かに吹かれた。
14年ぶりのタイトルにして、ルヴァンカップ初制覇の瞬間。
そして来年のユニフォームに14年を経て星がひとつ増えるその瞬間の目撃者に、わたしはなった。
選手たちがトロフィーを掲げた瞬間、泣きそうになったことを昨日のことのように思い出す。
あれから3年。
エンブレムが変わり、そのセービングと、ルックスと、人柄で我々を魅了し続けてきたミッチの退団と時を同じくして、もう一度あの舞台へ進むことになったグランパス。
あの時は声が出せなかった。チャントが歌えなかった。
でも今は歌える。声で応援することが出来る。
今度はゴールに大声で喜んで、グランパスの選手たちが、キャプテンになったミッチが、トロフィーを掲げて喜ぶその瞬間を、もう一度、大声で喜びあいたい。
その瞬間を見届けたい。
11月2日、勝ち獲れ、この胸に輝く星を。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
お粗末さまでした。