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二律背反するコメントの裏側 2025年J1リーグ第7節 横浜FC戦ピンポイントレビュー #グランパス #grampus #yokohamafc Y0203

2025年、Jリーグ開幕!

開幕から約40日が経過したところで、ついにリーグ初勝利をつかみました。(あと一枚カードで罰金…というヒヤヒヤの場面もありましたが…!)

今週は横浜との連戦が続くミッドウィーク。今回は、簡潔なワンポイントレビューで振り返ってみましょう。

試合情報

名古屋グランパス・横浜FCのスターティングメンバー・ベンチ
名古屋グランパス・横浜FCのスターティングメンバー・ベンチ

3421のミラーとなった試合

この試合は、鏡合わせの1対1を受け入れた名古屋と、できる限り個人対個人の状況を避けたい横浜の構図となった。その結果、名古屋がボールを保持しながら状況を探る展開で試合が始まった。最終ラインの組み合わせを変更したことが、横浜の戦術と噛み合う試合となった理由になった。

CMFの性質の違いが目立つ

この試合では、両チームのCMFの選手たちの性質の違いが顕著だった。名古屋の稲垣と椎橋は、言うまでもなく、積極的に相手にプレッシャーをかけるタイプの選手である。一方、横浜の2人(駒井と小倉)はどうだったのか? ここから詳しく見ていく。

名古屋が最終ラインでボールを保持する場面で目立ったのは、後方の3人(野上、佐藤、河面)にアプローチする櫻川の動きである。裏を返せば、彼以外に最初の守備のアプローチに入る選手はいなかった。

では、同じく最前線にいる横浜FCのIHの選手たち(山田・駒沢)は何をしていたのか? 彼らは稲垣と椎橋の監視を担当していた。CMFの選手たち(小倉・駒井)は、名古屋の前線が降りてボールを受けるスペースを埋める形で立っていたのだ。

横浜FCはIHを意識することで守備の重心を後方に置き、結果としてDF+CMF(5枚)VS CF+IH(3枚)の人数的不利を受け入れた。この形が事前に準備されたものかは定かではないが、前線の選手が積極的に守備を行わない状況では、自然とこの形に収まるのが特徴であった。(15分頃までは特に顕著だった)

横浜FCの守備の重心
横浜FCの守備の重心

名古屋のプレスと横浜のプレス

名古屋が実際にプレスを受けたタイミングでは、どのような状況が起きていたのか。それは横浜FCがプレスを仕掛けてきた局面となる。

具体的には横浜が長いボールを選択した後、またはIHが櫻川のポストプレーを受けたり、自ら奥行きを作ろうとした後の切り替え直後に、プレッシャーをかける場面が目立っていた。

このような状況を踏まえると、名古屋としてはIHを前に走らせにくい展開を攻撃の中で作る必要がある。具体的には、IHをビルドアップに参加させることである。そのためには、横浜FCとは異なり、CMFまで同数で当たる“可能性”を作ることが重要になる。

割り切った戦術を採用するチームであれば、「長いボールを使う」もしくは「IHがボールを受けに来る」といった段階でプレスを決め、素早いプレー選択でプレスを回避することも可能である。

しかし、横浜FCのIHが最終ラインにプレスに行かない守備の立ち位置では、攻撃でも櫻川を起点に前へ走る決断をするには低い位置取りとなり、結果的に素早い選択肢にはつながらなかった。良い意味で状況に対応して動ける一方で、プレーを割り切れず迷う部分が見られたのである。(11分47秒付近では、プレスに対して山田が降りて対応し、プレスを回避している。この状況は、能動的な攻撃手段を複数持つ強みの裏返しとして、守備においてそれが足かせになるパターンを示している)

櫻川にボールが出たときのIH(小倉・山田)の動きの影響
櫻川にボールが出たときのIH(小倉・山田)の動きの影響

☝️ポイント

横浜FCがプレスにいけない状況の典型例として、13分07秒付近の場面が分かりやすい。この場面では、名古屋がプレスを試みたが、完全なマンツーマンには至っていない。選手間の距離感は横浜が良好であり、山田は前に走る動きを見せておらず、駒沢はプレスを地上で回避するため、一度降りてボールを受ける姿勢を取った。しかし、GKがロングボールを選択した結果、IHはその対応に間に合わなかった。

その後、名古屋がプレスにいかず、IHが即座に撤退したことから、守備のスイッチがIHの高さ(攻撃で前に走れたとき)に依存していることが明確である。この一連の流れは、11分でのプレス成功と13分での失敗が名古屋の先制点のきっかけとなった新保から福森へのパスを生んだ要因となっている可能性がある。

“違い”が産んだもの

横浜がプレスに来づらい状況とCMFの性質の違いが名古屋にどのような影響を与えたかを考察する。

最終ライン対櫻川の有利が形成された時点で、櫻川から両脇のCBが広がる(ワイドに開く)動きが生じる。この状況では、どう足掻いても櫻川の脇を経由してボールが展開されるため、IHが守備に出ざるを得なくなる。IHが稲垣、椎橋を監視する役割を担うことで、中央のスペースを横浜のCMFが埋めていた状況が変化し、IHがCBへ対応する必要が生じる結果、CMF同士のマッチアップにズレが生じる。これにより、横浜のCMFは前に出ざるを得ない立場となり、埋めていたスペースを放棄するか、名古屋のCMFに自由な動きを許すかの2択を迫られる。

この選択肢のプレッシャーにより、駒井と小倉は一列前の選手たちの動きによって守備基準を変えられる状況が続く。この守備基準の変化に適応して前線に立つ浅野、森島に加え、守備の矢印の裏を取る形で稲垣、椎橋が横浜のCMFの脇に位置する場面が目立つ。これらの2人が一列前に位置することが可能であった理由は、最終ラインがしっかり幅を取り、IHを引き剥がし、椎橋や稲垣に広いスペースを確保させたことにある。

横浜FC CMFに突きつけられた「二択」
横浜FC CMFに突きつけられた「二択」

自分達で工夫してボールを持つ事で稲垣と椎橋を高い位置に置く事が可能になる。たとえ保持の局面のチャレンジが失敗しても先制点のように守備で高い位置にアプローチ出来る“形”を準備する。ボールを安心して持てる。工夫して持てる事は結局の所、次の局面の準備になっている。健太さんのアグレッシブに守備に行くというコメントと持つ事もチャレンジしたいという相反するコメントの真意はこういう事なのかもしれない。

☝️ポイント

41分22秒の場面では、IHが広がって出てくることでCMFが引っ張られる様子が見られる。具体的には、マテウスが引きだされた裏に選手が入る動きが確認できる。このシーンでは、和泉が抜き去った場面が注目されるが、よく見ると和泉にボールが入った時点で小倉は椎橋を外している。このため、和泉が無理をしなくても椎橋から攻撃を開始できる状況であった。また、椎橋が外れた結果、山根は内側を意識せざるを得なくなり、和泉に抜かれる原因となった。

23分22秒付近では、佐藤が櫻川の脇を通してパスを出したシーンが見られる。この場面では、IHが広がる前に脇からパスが展開された。よく観察すると、横浜のIHとCMFの両選手が稲垣と椎橋を警戒している様子が分かる。この時間帯では、横浜が名古屋の開いたCB陣とCMFへの対応を曖昧にしている傾向が見受けられる。特に前半の終盤では、相手のCBと中盤の間のスペースに上からのパスが入る場面が目立った。

つぶやき

  • 練習試合にはほとんど出場していなかったという小野が、「出力は50%」とコメントしていた。復帰を祝いつつ、ここからどれだけ強度を出せるかが試される正念場である。
  • 後半、鈴木を投入して4バック気味にシフトした名古屋に対し、横浜はマンツーマンで挑んできた。しかし、正直なところ、横浜FCが腹を決めるタイミングがもう少し早ければ危うい展開になっていた可能性がある。後半の約30分間は明らかに苦しい時間帯だった。その時間帯において、個の力で押し込んできた横浜を相手に、シュミットがしっかりと守りきってくれたことには感謝したい。
  • 宮崎戦での苦境が嘘のような活躍を見せた佐藤。大局を見る役割よりも、個々の選手をフォローするような役割の方が適しているようだ。そして、セントラルでの高さと強度をどのように担保するかが課題となる。宮崎戦に続き、裏返されて服を引っ張り、ファウルを犯した場面が次への宿題として残る。
先制点の和泉竜司。左WBがあそこに入り込める価値がある
先制点の和泉竜司。左WBがあそこに入り込める価値がある

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