![このキャスティングの狙いはなんなのか 2025年J1リーグ第7節 横浜FC戦 [マクロ] レビュー #グランパス #grampus GR660](https://i0.wp.com/grapo.net/wp-content/uploads/2025/04/%E3%81%93%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E7%8B%99%E3%81%84%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F.png?fit=1013%2C487&ssl=1)
1日に3本というとかなり胃もたれがするかもしれませんが、短めですのでよかったら
配置に注目した試合の振り返り
ルヴァンカップの勝利をなんとかリーグ戦に繋ぎたい名古屋。DF陣では三國ケネディエブスが「コンディション不良」(おそらく足首の軽い怪我)で欠場、右に野上をいれて中央に佐藤を入れる布陣。
横浜FCでは櫻川ソロモンと交代で入ってくるであろうルキアン・鈴木武蔵が脅威です。櫻川ソロモンの相手を1人で行うと危険という判断で、3CBをかなり狭い間隔で配置しました。(※ポイント1)
これで一番割りを食うのはWBで、CBが狭くなると、サイドががら空きになります。高い位置に中山は高い位置を取っていましたが、和泉はかなり低い位置取り。ただ攻撃の際には切り替えでゴール前まで入っていく感じだっったので和泉竜司の負担はかなり高かったはずです。(※このメンツのなかでは野上の次にベテランなのに)
yuttyさんの記事でも書かれている通り、横浜FCのIH(主に山田康太)が押し上げられず、またがら空きだったサイドをうまく使えていなかったことで右サイドの中山の裏が破綻しなかったのはありがたいことでした。
組立てのパスを引き出すのは主に森島と稲垣祥の役割。このようにDFラインと前線を繋ぐ役割をリンクマンと呼びます。ヴェルディ戦のときから森島がこの役割を果たすことで攻撃がちゃんと形になりつつあります。
これまでは稲垣祥しかボールの引き出し役(リンクマン)がいないときもありましたが、稲垣祥がサイドに引き出されると、FWが下がって受けにこなければならず、そうすると前線の枚数が足りなくなるところが問題でした。それを森島司が担うことでボールが前に繋がるようになりました。※ポイント2
幸先のよいことに図のほうでもあるように、右サイド高い位置に集中的に人を配置してボールを「即時奪回」から先制点を挙げることができました。
ここで言う「即時奪回」とは、ボールを失った瞬間に、できるだけ早くそれを奪い返そうとする戦術やプレースタイルを指します。
通常、ボールを奪われた後、相手チームがカウンターアタックを仕掛ける前に圧力をかけ、再び自分たちのボールにすることで、相手にチャンスを作らせないことを目指します。
具体的には、選手たちが組織的に動き、近くのプレイヤーやスペースを効果的に抑えつつ、相手のパスコースを遮断したり、ボール保持者にプレッシャーをかけてミスを誘発したりします。これにより、相手が攻撃を展開する時間を与えないだけでなく、自分たちが有利な位置で攻撃を再開する可能性が高まります。
ペップ・グアルディオラ監督やユルゲン・クロップ監督が率いるチームなどが、この即時奪回を重視した戦術を取り入れています。それはチーム全体の連携と献身が求められるハイエネルギーなプレーですが、成功すれば試合の流れを大きくコントロールできます。
今年の名古屋グランパスがやりたい(けどまだスキル不足で完成していない)のがこのプレーです
先制点を獲ってからマテウスも積極的にしかけるようになりますが、少し無理目の突破なども多く、ボールロストを頻発させます。※ポイント3
この試合マテウス・カストロはボールロスト18で、スターティングメンバー中最多でした
DFラインは引き続き狭いラインを維持しています。※ポイント4 ただ徐々にサイドの対応にルーズさがでてきてしまいます。
ただそれで破綻しなかったのは前線高い位置で浅野・中山・稲垣・森島・和泉でスキマのあまりないブロックを構成できたことがあって、相手のビルドアップがうまく行かなくなったこともあるでしょう。※ポイント5
ただビルドアップ部隊(佐藤・野上・河面・椎橋)と、ハイプレス部隊(浅野・中山・稲垣・森島・和泉)の間にスキマができてしまいます。浅野や稲垣祥が中央に絞ったときを狙って、中央のスペースに強いグラウンダーのパスを通され、何度もピンチになりました。※ポイント6
それでも前半のうちは耐えていましたが、後半ルキアン・鈴木武蔵を投入されるとビルドアップ部隊が下がり、そうなると全体的に下がらざるをえなくなります。
それでもよく1点で耐えた、と思っています。
このキャスティング(配役)の意図を考える
DF(1):なぜ宮大樹が使われなくなったのか?
宮大輝の先発した試合は以下の試合です。
試合 | 失点数 | 対面の相手選手 | 高さ要員の相手選手 |
神戸戦 | 2 | 武藤・広瀬 | 大迫 |
FC東京戦 | 3 | 白井・ガウティーノ | ー |
町田戦 | 2 | 西村・林 | オ・セフン |
セレッソ大阪戦 | 2 | ルーカスF・北野 | ー |
セレッソ戦で前に迎撃に出たところを裏を取られて以来、出場がありません。東京戦でも白井にかなりやられていたと思います。
こうしてみると、活躍したと言えるのは対面に「スピード要員が居なかったとき」なのではないでしょうか。
東京ヴェルディでは木村・染野という速くて強い選手が対面に来ます。横浜FC戦では山根です。(失点は山根の切り込んだパスから)
ということを考えるとスピード系選手が対面に来そうな場合は河面選手を優先するということになるのではないでしょうか。(ただ、余程警戒する高さ・強さのある選手じゃないと変えないかもしれません)
DF(2):右CBの条件は?
困っちゃうのが右CB問題です。
名古屋グランパスの右CBは、サイドバックとセンターバックが両方できることが求められています。その条件を完全に満たすのは野上と原、そして内田になります。しかし原はFC東京戦の怪我がもとでコンディション不良が続いているようです。野上はDF陣の最年長ということもあり、世代交代のためにも、負荷の観点からもフル出場を続けるわけにもいきません。
今年あと試されているのが三國と佐藤です。三國も佐藤もまんなかで使いたい選手のところ、両方使いたいから併用しているのでは?という風に邪推してしまいますが、そう考えてしまうくらいこれまでとは一貫性のない起用です。
- 三國を起用した場合、中央の守備が弱くなります。
- 佐藤を起用した場合、スピードに不安が残ります。
原が完調になるまでは、一長一短ある中で起用していくしかなさそうです。
マテウス・カストロ0トップの意図は?
もう1つ、ここ2試合続いているマテウス・カストロ0トップです。
試合のなかで見ていると森島司が少し低めの位置をとって中盤にいることが多く、浅野も高い位置を取ることが多いので2トップのような形になっていることもあります。
こちらの記事でも書いたようにマテウス・カストロはハイプレス・ショートカウンタープランに組み込むためには、献身的に戦術に則って前からハメにいくプレーをできるようにしなければなりません。が、それも難しく。
一方でクロスやFKは戻り気味ですがパスに問題があります。
70分近くの出場で、このパスの値というのはいただけない感じです
繰り返しになりますが、シュートやクロスなどでは貢献できるので起用しているが、組織的守備には組み込めないので一番前(という名前のフリーポジション)にしているのでは、と考えます。
最後に
負傷者も多く、どこかに無理を抱えながら起用していくしかなさそうです。
これが正解ということはなかなか言えない現状ですが、そこに込められた意図や条件を想像してみるのも楽しめるかもしれません