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なぜ試合がうまく進められなかったのか? 2025JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦 カターレ富山戦マッチレビュー #grampus #カターレ富山 Y0206

ボールを持てる。技術がある選手を置いた所でその選択をしないと意味がない事を痛感する試合となった。

ピッチから見える景色が変わったという事は変化があったという事。そういう眼をチームとして早く養いたい

試合情報

SBの高さや4-2-3-1の布陣は、ほぼガンバ戦の再現となった。ガンバ戦は難しい試合だったが、今回の名古屋は全く異なる選手の組み合わせで臨んでいる。あの試合に出場していなかった選手たちが、外から見て感じたことを表現できるかが問われる状況だ。一方で、試合開始から富山は吉平と井上、松岡を中心にWBへの揺さぶりを積極的に仕掛ける構図が見られた。

プレスに行き辛い形(ガンバ戦再来)

富山のアプローチの中心は吉平と井上であった。前半には森の裏を突かれる場面が何度か見られたが、三國と森が井上と吉平に対するマークを試みる中で、その人の当て方や動きが対応の難しさを生み出していた。

名古屋は基本的に前線からプレスをかけるポイントを探している。その中で、誰が誰に当たるのかという見切りをある程度つけて守備に入っている。(ハイプレスを目指しているためだ。)

そのため前から人を当てると、WBはSBのアプローチに割り当てられる形になる。この場合、SHが両脇のCBに対応することが求められる。しかし富山のSHは名古屋のWBに絡むような動きを見せていた。具体的には、WBの前でボールを受ける動きを頻繁に行い、名古屋の守備に影響を与えていた。富山の視点で見ると、SHがWBを押し込む形となっていた。

SHでWBを押し込む以上、SBと最終ラインのプレス対応は前線3枚に任される形となり、4バック対3トップの構図が簡単に成立する。

ガンバ戦でもSBが浮く状況は同じであったが、ガンバはSHが外に開くのではなく、名古屋のIHに絡む形を取り、IHを押し込む戦術を選んだ。

一方、富山はSHがWBを押し込むことで3トップから数的優位を作り出していた。結果としては同じだが、アプローチが異なる典型例である。

富山としては、SHがWBに絡むことでビルドアップ時に優位性を作り出せることに加え、ゴールに向かう際にも大きな助けとなる。

この場面でポイントとなるのは、中央最前線に縦に並ぶ二人(特に井上)の存在である。SHがWBに絡みに行く際には、井上や武が必ずと言ってよいほど名古屋の両脇のCBの前で駆け引きを行う。では、SHがWBに絡まない場合はどうなるのか。右サイドを例に考えてみる。

吉平がいない状況では、森は縦の視界が確保されており、SBに当たりに行き、前線からプレスに参加しやすくなる。しかし、吉平が森の前から消えると、CMFの裏や井上と入れ替わる動きを見せ、CBと駆け引きをするようなポジションを取る(例えば、井上が森の裏を取る動きをする場面などが挙げられる)。

名古屋は後方で連携が成立していた状態から、マークを剥がされる形になり、無視できない状況に陥る。

結果として、CMFやCBが後方のケアに回らざるを得なくなり、森が前に出るタイミングがチーム全体でのプレスのタイミングと一致しなくなる。これにより、CMFが縦に歪んでズレる状況が発生する。

富山としては、このタイミングを利用してプレスの上を通すプレーや、ビルドアップ時の数的優位を活用して前進するチャンスを作ることができた。

👍ポイント

椎橋のインタビューを読むと、この状況がよく分かる。

「内田とともに高い位置でボールを奪いたかったが、巧く対応されてしまい、セカンドボールの回収に回ることになった」と語っている。

森としては、大局に負けただけであり、マークにつかなければならない場面ではほとんど負けることがなかったため、十分に上出来であった。

富山の両SHは、内外の幅を広く使ってプレーしており(松岡などはトップ下の中央の位置に入ることもたびたび見られる)、常時マーキングすることは不可能だった。

この形で、選手がどれだけ入れ替わっても、相手を上回るチャンスがあるとするならば、両脇のCBが必ず目の前に相手を抱える部分にある。

この試合では、宮も三國も案外簡単に相手にボールを収められていた。もしそこで潰し切れていたら、もう少し簡単にボールを保持することができたかもしれない。J1で戦うためには、ボールと選手へのアプローチ技術がもう少し向上してほしいところだろう。

持てる土俵にしてくれたのに…

富山の左サイドを中心とした前進には苦労が見られたが、ボールを保持してから苦境に立たされたかと言われると、盤面としてはそうではなかった。

富山の守備は、1トップと3枚による中央封鎖型である。CMFの二人はSHの脇に立つ選択も可能ではあるが、WBにSHを配置すれば簡単に守備ブロックが広がる。

そのため、CBからWBを牽制してブロックを広げるアプローチが取られた。

これに対して富山は、SHの脇にボールが入ると、ブロックをスライドさせて中央スペース(選手間のゲート)が空かないように対応した。5枚でパスを回していれば、いずれSHが外側に出てくるため、そのタイミングでプレスに行く形が作りやすかった。

また、WBへの寄せを懸念する場合、CBがSHの脇までボールを運べば、SHはWBかCBのどちらを選択するかという状況に追い込まれる。決め打ちで寄せるのは難しくなるので、ガンバ戦でやられた目の前にボールを運ぶ形を思わせる場面である。

名古屋としては、CBを広げてWBの距離を見つつ左右にパスをやり直す形を繰り返した。富山のブロックスライドが遅れる状況を待ち、ボランチの裏や脇にいるIHへ通すか、ブロックのスライドが遅れ、1-3のブロック内の選手間の距離が広がるタイミングで縦にボールを入れる、あるいはCMFがボールを運ぶ形が妥当な選択であったのだろう。

👍ポイント

39分15秒からのシーンを見れば、この場面でやるべきことがよく分かる。富山の1-3が明らかにCMFに絡む動きを見せたため、椎橋にボールを入れた。CMFの狭いスペースに刺し込むことで、ブロックに参加しているSHが外に出にくくなる(反転されてボールを入れられる可能性もあるためだ)。椎橋は囲まれていない状況であるため、無理ならやり直せばよい局面であった。この場面で、宮が外に上がらない三國に対して激しく怒る姿が確認できる。その怒りも当然である。

吉平の位置を見れば、椎橋にボールを当てたことで富山のボランチが前に出てきたため、それをケアするタイミングだった。最終ラインが一度左に動いた後であったため、吉平が中央に寄る形になっていた。宮としては、松岡が後方に下がっていたため宮から徳元を経由して前進する動きが富山の守備を縦方向に引き出しにくかった。そのため、三國には外側に上がってほしいタイミングだった。

しかし佐藤が椎橋にボールを入れた瞬間にラインが引いてしまった。その結果、外側で受ける菊地や森島がポジションを取ることになった。この状況では、ゴールから遠い外側に選手が渋滞し、浅野が一人孤立する形となる。孤立してしまった場合、最終ラインとの縦の駆け引き以外にやるべきことがなくなる。この場面では佐藤がうまく逆サイドに振ったものの、このメンバーでそれしかできないのか、と感じさせる要素が凝縮された一幕であった。

景色が変わる意味

後半に入ると富山の立ち方が変わった。引いて守りつつカウンターを視野に入れる形を取ったのかもしれないが、2トップとSH、ボランチでCMFを隠すような展開になった。SHの選手は両脇CBに縦向きにアプローチできる立ち位置を取り、さらにCMFを囲む形を作り出した。後半、中盤が狭くなった局面でCBの立ち位置が変わらなかった点がターニングポイントであった。

CMFを囲む状況が後方で広げられないため、椎橋が手前にボールを受けに来る形になった。その結果、椎橋の奥へはつながらず、菊地がCBとWBの間に逃げる状況が生じた。ボールを持てているとしても、CMFが外側に展開できない状況ではゴール前に侵入する人数は当然少なくなる。外回しに頼った場合、ゴール前の侵入ではSBとCBの間を使わなければ前進が難しいため、杉浦が必死に外側からボールを引き出すためのランニングを繰り返した。その結果、最後に「誰がシュートを打つのか」という課題が残る形となった。

発生している事象に対して適切な選択肢を選べる選手はいたものの、相手に対して最大限の効果をもたらす状況を作ることはできていなかった。この世知辛い状況が如実に現れたのが、70分10秒からの展開である。

つぶやき

  • 延長に入るまで、後方からのビルドアップでチャレンジができなかった状況をほぼ完全に修正したのが原の投入であった。黙々と修正を重ね、立ち位置を意識してプレーできるタイプのDFがいてくれることに、感謝しかない。
  • 後方のビルドアップの歪さに影響を受けた浅野は、非常に厳しい試合を強いられる結果となった。
  • 杉浦は、ボールを収める技術に優れ、味方を活かす場面では順調にキャリアのステップアップが期待できそうではある。ただし、FWとしてこのスタイルが適切であるのかという葛藤は残る。
  • 森は対人プレーにおいてふわっとする瞬間が見られたものの、富山の攻略に対して噛み合ったプレーを展開できた点で十分な成果を挙げた。なお、このふわっとしたプレーは、ここ最近の名古屋U18チームに共通する特徴である「大事な試合で緊張しがち」である可能性が高い。

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