はじめに
フットボールを語るとき、どこに依って立つのか。これはもう、自分のセンスに賭けるしかありません。なぜなら、フットボールには正解がないというのが、通説だからです。
巨人の肩に立つ
はじめに断っておきたいのは、私自身、フットボールの真髄に精通しているつもりはありません。ではなぜ、あれほどXで大上段に構えていられるかと言えば、巨人の肩の上に立っている、つまり、優れた人物に依拠しているという自負があるからです。
大上段に構えること自体、ナンセンスかもしれませんが、これも芸風と思って見逃してください。これは、ある種の賭けなのです。人生は有限です。これだ!と思う方向へ、自己を投機していかなければなりません。
私は、自分のセンスを信じ、勇気を奮って理想を語ります。名古屋グランパスの現状を憂うすべての方々に、この文章を捧げます。しばらくの間、どうかお付き合いください。よろしくお願いします。
むだじゃよさん
Xの戦術界隈で、私が「巨人」と仰ぐ人物がいます。鹿島アントラーズを分析されている、むだじゃよ(@mudajayo)さんです。
信頼している友人が彼をフォローしたのをきっかけに、その言説に触れるようになりました。私が見てきた戦術論客のなかで、『哲学的な前提を問う遡上方向への思考力(@mudajayo)』が、頭抜けていると思います。フットボールとは直接関係のない議論も、哲学の素養が滲み出ているので、ぜひ一度、彼のXをご覧ください。
前提を問う
「サッカーはピッチの広さや人数や時間といった前提条件があり、従って勝ち易くなる•負けにくくなる戦い方は或る程度の処まで導出される。
それはもはや「戦術」ではなく、もっと基礎的なもの。その基礎側の話を表層的な戦術の話として捉えられるズレ。
むだじゃよ@mudajayo
前提を問うのやら前提条件に依るのやら、一見すると矛盾していますが、そうではありません。
巷には、さまざまな戦術論があふれています。そこには、複雑な事象を緻密に分析したものが秀作であるという、ある種の共通認識があるでしょう。つまり、基礎はもう出来上がっている「ものとして」、縦横無尽に交わされるのが、現代の戦術論だと私は認識します。
そのような緻密とされる戦術論が、ともすれば等閑にしている基礎の部分に、光を当てること。これこそまさに、彼が貫いている姿勢であり、美学であり、彼を巨人たらしめるものだと私は思っています。
物事の前提を問い遡って考える力を、フットボールの世界に適用しているのが、むだじゃよさんという人物なのです。本稿においても、そのことが目指されているのは言うまでもありません。
概要
名古屋グランパスの全選手が、高度な個人戦術を備えていれば話は簡単です。彼らをピッチに送り出せば、たちどころに円滑で美しいフットボールが展開され、素晴らしい結果がもたらされることでしょう。ところが、現実はそうではありません。
十分な個人戦術を備えていない選手たちに、スマートなフットボールを展開させるには、まずパターンを仕込むことが先決であると私は考えます。初めに本稿では、ビルドアップの典型パターンである「Follow the press」の例を提示します。
その後、今度はそのパターンの背後にある原理原則「引き付けてリリース」について見ます。それにより、先に示したパターンが、単なるパターンではなく、段階的に試合を組み立てるための普遍的な原則に則ったものであることが分かります。
それらを明らかにしたうえで、実際に名古屋グランパスの試合で発生した場面を考察します。ここまでの議論が机上の空論ではないことを示します。
最後に、「引き付けてリリース」の原則に忠実な、ある選手の存在を語ります。クラブには、まだ大きな希望が眠っているのです。
Follow the press
ビルドアップの応急処置として、今の名古屋グランパスに必要不可欠と思われる有用なパターンを一つ紹介します。このパターンを考えることが、コレクティブなフットボールを展開するための第一歩になると確信しています。
オフシーズン、冨安はアビスパアカデミーで指導を行っており、その際ボランチの子へのアドバイスとして
「こちらのGKやCBにプレスにきてる相手FWの背中を追いかける様に動いてみて。そうすると自分がボールを受けるスペースができる。そこで受ければ楽に前を向けて次のプレーに関われる」と。
たか@tiwgooner
相手の1stDFをCBが引き付けて、空いたスペースと時間をDHが使う。そのためにDHは、1stDFの背中を追いかけるように動く。これがビルドアップの初歩です。
以下の動画では、背中を追うことをFollow the pressと表現しています。応用パターンも挙げられており、非常に有益な内容だと思われます。
冨安のアドバイス上では、相手1stDFは自発的にプレスを掛けに来ていますが、用心深い1stDFが相手なら、CBが意図的に相手1stDFを引き付けなければなりません。
懐に入る
前項で確認したように、CBやGKが、相手の1stDFを引き付けたとき、空くのはその背後です。つまり、相手の一列目と、その背後を担当する相手選手との間、この懐が空くのです。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
相手守備組織の懐でボールを受け、次のプレーに展開することは、大きなリスクを伴います。自陣深くでこれを行う場合、ミスは命取りとなるでしょう。しかし、この組み立てが最大限成功すれば、中央から敵陣に侵入することとなり、最大の脅威を相手に与えられます。
もちろん、自陣深くで相手がハイプレスをかけてきた場合は、その限りではありません。ハイプレスの裏を狙い、ハイプレスそのものを空転させてやる必要があります。
また当たり前ですが、味方選手の立ち位置が有機的でない場合も同様です。詳しくは、「場面考察」の項にて考えます。
何度でもやり直す
懐に挿し込んだボールが、すぐにCBへ返ってきたとしても、それはそれでよいのです。なぜなら相手の守備組織は、懐に入れられた瞬間、その懐を圧縮する必要に迫られるからです。
その結果、たとえ懐からすぐにボールが脱出してしまったとしても、相手守備組織の外側にいる選手たちには、ある程度のゆとりがもたらされることが分かります。無理なくやり直しが効くのです。
「簡単に蹴らない。
やり直しになったって構わない。
やり直すというのは、つまり、そこに至るまでの時間は、自分たちが意図をもってボールを保持していたということ。
何度でもやり直そう。その時間の積み重ねが、敗戦を遠ざけてくれる。
ろく@roppunkun
引き付けてリリース
前項では、主体的にボールを握るためのパターンの一つを見ました。実はこのパターンの背後には、「引き付けてリリース」という個人戦術の要があり、広大な文脈を有しています。
つまり、前項の内容を単なるパターンとして認識する選手と、その背後に横たわる豊かな文脈を意識する選手とでは、成長に大きな開きが生まれるということです。
ここからは、基礎戦術、いや、戦術未満の事がらである「引き付けてリリース」について見ていきます。個人戦術の要であると同時に、本稿の要でもあります。
「サッカーって、だいたい陣形がグチャった方が負け易くなるので、まず自分達がボール持っているときに、相手を崩したいからって自分達から積極的に流動性を出すのは、基礎戦術としては論外。
「相手の陣形〈だけ〉崩す為にはどうしたらいいのか?」で、出てくるのが引きつけてリリース。」
むだじゃよ@mudajayo
定義
本稿において、引き付けてリリースとは、ボールホルダーが何らかの形(ドリブルなど)で相手を引き付けることにより、敵の守備組織に綻び(スペース)を生み出したり、次の選手がボールを扱うための時間を創出したりし、そのうえでボールをリリースする(手離す)ことです。
要するに、ボールホルダーが、次に関わる選手たちにゆとりをもたらすこと、と私は解釈しています。
元スペイン代表ダビド・ビジャが設立したアカデミー『DV7』の最高責任者であり、UEFA PROライセンスを持つアレックス・ラレアの言葉に、「フリーの選手がそのままパスをすると、次の選手がフリーでなくなる」というものがあります。この事態を回避すべく、引き付けてリリースは用いられます。
以下の動画の14分23秒から、例の言葉が出てきます。
以下では、引き付ける行為そのものを、引き付けてリリースと表現することがありますが、これは、リリースとは原則、相手を引き付けてから行うものであるということを、より強調するためです。また語感もすこぶる良いので、つい使ってしまうのです。引き付けてリリース。
運用イメージ
ここでは、引き付けてリリースの具体的な運用イメージを説明します。
「スペースがあれば運ぶべきなんだけど、
なぜ運ぶのかといえば、また別のエリアにスペースを生み出す為で。
大雑把に言えば、
「運ぶ→引き付け→スペース→運ぶ→、、、」
その連続で最終的にゴール前にちょっとでも時間の貯蓄を残したいなぁ、ていう。
だから
〈敵に向かって〉運べ・dribble〈at〉」
むだじゃよ@mudajayo
敵に向かって運べば、その敵を釘付けにできますよね。その隙に空くスペース、生まれる時間を、次の選手が使うのです。これを繰り返すことで、少しでもゴール前にゆとりを残そうというものです。
まったくの理想を語るなら、ビルドアップや崩しに関わる選手全員が、この引き付けてリリースを徹底したならば、相手選手たちは芋づる式に引き出され、ボールは何の抵抗も受けず、ゴールへ直結することになります。もっとも、そのようなことは、実力に極端な隔たりがないと生じ得ませんが。
「Follow the press」のパターンにおいても、懐で前を向いたDHが最優先にすべきことは、次の相手に向かって運び、引き付けてリリースをすることです。すべてが芋づる式に行くわけではないのがフットボールですが、芋づる式に敵を引き出してやるという気概は、ピッチ上の11人が常に持っておくべきです。
引き付ける過程で、自らのゆとりは減少していくが、それに伴い、次の選手のゆとりがチャージされていく、というのも、私の引き付けてリリースのイメージです。
バリエーション
ドリブルの他に分かりやすいところとしては、シャビやブスケツのようにターン(回転)したり、またキックフェイントを入れたりしても、効果的に敵を引き付けることができます。
引き付ける先は、ボールホルダーに限られません。例えば、遠くの味方や裏などを狙うそぶりをして、相手をそちらに「引き付ける」ことにより、手前の選手がフリーになる、なんてのも、引き付けてリリースの亜種だと言えます。名古屋グランパスでは、野上結貴が得意とするプレーです。
また、引き付けて「剥がす」というところまで行けば、それは最上の個人プレーとなります。次の選手にリリースすることによって使用可能となるゆとりを、ボールホルダーが独力で新たに現出させてしまうからです。当然ながら、シンプルな「引き付けてリリース」と比べれば、その難易度は飛躍します。
CBの役割
「Follow the press」の項では、用心深い1stDFが相手であるとき、CBがそれを意図的に引き付けなければならないとしました。
どうすれば引き付けられるか。一番分かりやすいのは、優秀なCBが敵を引き付けようとする様子を、実際に見ることです。その駆け引きは、ボディアングルやボールの置き所、目線など、様々な要素が複合したものであると分かります。
また、スペースがあれば運ぶことです。その理由については、「運用イメージ」の項で確認した通りです。
プロの水準
引き付けてリリースを念頭に置いてプレーする選手は、Jリーグを見渡しても稀有です。
あまつさえ、引き付けてリリースによって生じるゆとりを、安易なロングパスや、閉じた体の向きなどで台無しにしてしまう選手を見ると、プロの水準にあるかを疑ってしまいます。そのような選手は、ポジショナルなフットボールを志向するうえで、必ず大穴となるでしょう。
「当たり前のことだから、今更もう見直さない」選手と、「当たり前だからこそ、きっちり出来ているかを何度も確認する」選手とでは、出力されるプレーの質に、大きな開きがあります。
場面考察
この時点で皆さんは、「机上の空論だ」、「そんな簡単に行くはずがない」、「現場は、もっと緻密な作業を積み重ねている」などとお思いになっていませんか。しかしそれこそが、まさに疑うべき前提なのだと私は考えます。
そのことを検証すべく、ここからは具体的な場面を考察していきます。
ビルドアップもどき
名古屋グランパスでは、稲垣祥と椎橋慧也による中盤コンビの結成以来、彼らを効果的に経由するビルドアップは鳴りを潜めています。
頻繁に観測されるのは、稲垣や椎橋が、予め相手の一列目と同じ高さにいて、CBからボールを預かり、また同じCBへボールをはたく、というものです。
むだじゃよさんのnoteにおける図9のように、懐にいるもう一人の選手へパスを通すための、囮としてのプレーであれば合理的ですが、そのような狙いがなければ、効果的なビルドアップに資するものとは言い難いです。

また時折、どちらかの選手が、CB間、あるいはCB・WB間に落ちてきて、左右に捌く光景が見られますが、これは、建設的なビルドアップという観点からみて最悪手だと思います。26節の浦和戦、37分50秒からを例にとります。
第26節・H浦和・37分50秒から
ファールのリスタートシーン。椎橋は、左サイドのCB・WB間(佐藤瑶大・中山克広間)にいて、佐藤へボールを捌きました。この時点では、リスタート役を引き受けた椎橋に、問題はないと思います。
佐藤は少しボールを運んでから、中山に出しました。この間、約3秒。椎橋は、この時間を使い、自分の持ち場である相手の懐へ、勇気を出して戻らなければなりません。
ところが彼は、戻りそうな素振りを見せたのも束の間、中山にボールが出るや否や、踵を返して再び元の位置(リスタート位置)に戻ってしまいます。
再び中山からボールを授かり、椎橋は、また佐藤へと繋げます。ここから佐藤は、約5秒、つまり先ほどよりも長く時間をかけます。体を左右交互に向けながら、引き付けてリリースの意識を少なからず見せました。ボールをじっくりと動かしながら、しばらく相手1stDFの様子を伺って、それから三國ケネディエブスに出しました。
この間の椎橋はと言うと、またしても、佐藤の貴重なオンザボールの時間を無駄にしてしまいました。相手の懐に、ついに戻らなかったのです。
佐藤がボールをこねている間に、相手の懐には、稲垣が入りました。理想的な立ち位置だと思います。
しかし、相方である椎橋が持ち場に戻らなかったことで、相手の一列目の選手が稲垣を重点的にケア、1stDFが三國へ圧力をかけたため窒息、あえなくロングキックの選択を余儀なくされました。もっとも、三國がロングキックを蹴るフリをして切り返せば、窒息は免れていたかもしれません。
続いて、二つの印象的な場面をピックアップします。
第26節・H浦和・63分54秒
この試合最大の衝撃でした。
引き付けてリリース、などとやる必要もないほど、浦和の組織が乱れているのが確認できます。浦和の一列目の背後で、稲垣がフリーになっていました。しかし、ボールホルダーの三國は、このチャンスをみすみす逃してしまいました。稲垣も、ジェスチャーや体の向きなどで、要求する姿勢を見せたかったところです。
第27節・H川崎・45分32秒(前半)
稲垣は、相手の懐で、ゆとりをもって前を向きました。
ここで稲垣が採るべき選択肢は、勇気を出して、河原に向かってボールを運ぶことです。そうして河原を引き付けて、この試合の相方である森島司にリリースすることです。そうすれば、中央から崩す絶好のチャンスを得られます。
しかし稲垣は、眼前のスペースへボールを持ち出すこともせず、すぐさま隣の森島に渡してしまいます。
受け取った森島にも、この時点ではまだ、前にスペースがありましたが、やはりバックパスを選びました。45分32秒の時点で、相手の懐に確かに存在していたゆとりは、ここに費えました。
いたたまれない気持ち
その他にも、DAZNフルタイム映像の一秒一秒を観返せば、「この稲垣はフリーで受けられたよな」「今の椎橋はターンできただろ」「1stDFの背中を追ってくれ」など、もどかしいシーンはいくつも出てきます。
その一つ一つを本稿で挙げようとしても、「◯分◯秒、稲垣、前を向けた」とかで完結してしまうものも多く、したがって、どの場面を選ぶかにも気を使いました。
映像を観返していると、時折いたたまれない気持ちになります。それは、稲垣や椎橋が、広範なエリアを常に見渡しながら、何とか有効な一手がないかを探る様子が、毎節きっちりとカメラに映るからです。
まさか自分たちが、ビルドアップの起点となって、中央から堂々と進んでいける可能性があるとは、知る由もないといった様子です。あまりにも勿体ないなと私は思います。
根本的には、チームとしての成功体験の不足が、このような事態を引き起こしているものと考えられます。逆に言えば、原理原則を整理し、紅白戦や練習試合などでトライを重ねていけば、建設的なビルドアップは自然に磨かれていくものと思います。
現場の話<ピッチ上の事象
ちなみに、こうした分析にあたっては、現場の人の話を踏まえることも大切かもしれません。しかし私は、ピッチ上で表現されるものこそが、何より重んじられるべきだと思います。
個々のコンディションの良し悪しについては、関係者が誰よりも把握していて、我々の知るところではありません。
しかし、選手たちがどんな文脈に則ってプレーしているかについては、映像をじっくりと分析すれば、まったくの部外者でも何なりと考察できるというのが私の見立てであり、それがフットボールの持つ最大の魅力であると感じています。
希望の星
前項では、三つの印象的な場面を取り上げて、こうすべき、ああすべきと述べて参りました。この場面考察の部分については、是が非でも、彼らに届いてほしい。
とはいえ、これから稲垣や椎橋が、あるいは三國が、引き付けてリリースの原則に忠実なプレーを展開できるようになるかと言われたら、それこそ机上の空論かもしれないというのも、偽らざる本音です(ただし三國には、その素養があるものと私はにらんでいます。またいつか語れたらと思います)。
そんな中、実は以前から、ある人物に目をつけていました。
それが、小野雅史です。

CMFとしての、類まれなる才能
2024年、モンテディオ山形から名古屋グランパスへ加入した小野ですが、その前は大宮アルディージャに所属しており、そこではCMFを務めました。
私がとやかく言う前に、まずはその時代のプレー集を見ていただきます。
キックの精度と視野の広さは言うに及ばず、引き付けて剥がす、相手の逆をとる、相手に向かって運ぶ、キープする、などを全部やってのけています。引き付けてリリースの文脈の、さまざまなバリエーションを一人で披露しているのです。
圧巻は、動画の1分10秒からと、1分38秒からのプレーです。
1分10秒からのプレーでは、二人目の相手に一瞬体を向け、それにより相手の足を止めてから、冷静に剥がしています。地味ですが、容易いプレーではありません。類まれなるセンスを感じます。
1分38秒からのプレーは、まず一人目を剥がしたのもすごいですが、そのあとの持ち運びで、対面する二枚のDFを引き付けてリリースしたところが最大のハイライトです。プレスバックしてきた相手も含めれば、いったい何人を手玉に取ったのでしょうか。
J1で輝け
この動画の強度がJ2のものであることは、百も承知です。しかし、引き付けてリリースの原則に忠実であり、その文脈で高水準のプレーができる小野は、CMFとして、J1でも間違いなくクオリティを発揮します。
引き付けてリリースの文脈でプレーできる小野ならば、周りの選手の引き付けてリリースにも目敏く反応し、円滑なフットボールを展開してくれるに違いありません。
私が2025シーズン開幕当初に夢想していたのは、宮大樹と小野雅史の共演です。名古屋で出場していた当時もXで言及しましたが、宮も、引き付けてリリースの意識を高く持つCBです。そんな彼の魅力を、最大限に引き出せるのは小野しかいないと、当時は真剣に考えていました。
名古屋を背負って立つ逸材
現在はサイドを主戦場とする小野ですが、彼のCMFとしての卓越した才能が、現監督、あるいはその次の監督にでも、伝わってくれることを祈るより仕方ありません。
選手生命を脅かすほどの大きな怪我を乗り越え、まさにこれから、名古屋を背負って立つ存在にのし上がってほしいです。個人的には、同学年なのもあって、余計に思い入れが強い。笑
すぐにでも試せそうな具体案として、今の椎橋(森島)の代わりに、稲垣の相方として、彼を中央に配置してみるというのはいかがでしょうか。
※編注:先日の練習試合ふくめて複数の練習試合でも小野雅史の中盤は試されていたそうです
名古屋グランパスにとって、長らく閉ざされていた中央への道筋を、彼こそがつけてくれるものと信じてやみません。
おわりに
この記事を書いたことで、現在の私のフットボール観が整理されました。そのような方が少しでもおられましたら光栄です。また、むだじゃよさん、小野選手の魅力の一端が少しでも伝わっていれば、執筆者としてはこの上なく幸せです。
ご一読いただければ分かるように、私には、フットボールを単純化して考えるきらいがあります。至らない点も多々あるものと存じますが、何卒よろしくお願いします。
改革とは何か
「グランパス改革論」という、壮大なテーマをグラぽさんより頂くところから、本稿はスタートしました。あまりにも壮大に感じ、絶対にタイトルを変更しようと当初は思っていましたが、普段から大上段に構えている手前、引き下がるわけにもいかず、そのまま採用とさせていただきました。その名に恥じない内容になっているかどうか。皆さんのご判断に委ねます。
基礎の基礎に立ち返ること。それこそが、混迷を極めるJ1で生き残るために何よりも重視すべき事項であり、流行に左右されない強い足腰をつくってくれるものと信じています。
今回は、このような貴重な機会をいただきありがとうございました。