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名古屋グランパス新SD服部健二さんの補強戦略 #grampus

名古屋グランパス新SD服部健二さんの補強戦略 #grampus

はじめに

名古屋グランパスにおける新体制の意義

J1リーグ・名古屋グランパスのスポーツダイレクター(SD)に就任した服部健二さんについて、過去の職歴における選手獲得の実績、チーム成績、そして人事動向を網羅的に分析しました。

服部さんのキャリアは、2005年のFC東京における強化担当としての活動に始まり、ジュビロ磐田、ヴィッセル神戸、V・ファーレン長崎、横浜FC、そしてファジアーノ岡山と、J1・J2の多岐にわたるクラブで主要な強化ポストを歴任されてきました。

そのキャリアを振り返り、可能な限り以下の3つの観点で整理をしたいと思います。

  1. 補強の有効性検証: 獲得した選手がチームの順位変動にどのような影響を与えたか、その因果関係を解明します。
  2. 選手の類型化: 服部さんが好む選手プロファイル、獲得パターン、および「偏り」を体系化します。
  3. 補強の傾向分析と未来予測: 過去のデータから導き出される「成功の法則」と「失敗の兆候」を特定し、名古屋グランパスにおける戦略的展望を提示します。

分析手法とデータソース

分析にあたっては、Football-Lab、Wikipedia、各チーム公式サイトから2005年から2025年(予定含む)までの各年度における所属チーム、役職、リーグ成績、当時の監督、および主な加入選手を取得しました。ただ手集計ですので、ミスがあったらコッソリ教えて下さい。

とりまとめたデータは以下です。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1hulQvc1jgQT4xETWL_kPFQPt8K9rj-Op/edit?usp=sharing&ouid=109060771216867642656&rtpof=true&sd=true

また各年度の「監督人事」と「補強選手」の整合性、前年度成績からの「修正力」、およびクラブの財政規模や目標(優勝、残留、昇格)に対する「達成度」を複合的に評価しています。特に、服部さんのキャリアにおいて繰り返される特定の選手獲得や、特定の国籍・ポジションへの投資傾向に焦点を当て、その深層にある強化哲学を探ります。

FC東京時代(2005-2008)― 強化の基礎と「個」への投資

2005年:首都クラブでの船出とブラジル路線の確立

服部さんのキャリア初期となる2005年、FC東京は「J1 10位」という中位の成績でシーズンを終えました。当時の監督は原博実さんであり、攻撃的なスタイルを志向していた時期にあたります。

この年の補強において特筆すべき点は、MFダニーロ、FW赤嶺真吾、MF梶山陽平の獲得と台頭です。

  • MFダニーロの獲得意義: ダニーロ選手は単なる外国人助っ人ではなく、中盤と前線をつなぐリンクマンとして極めて質の高いプレーを見せました。ここには、「個で打開する」だけでなく「チームの戦術的ハブになれる」外国人選手を評価する服部さん(および当時の強化部)の眼力が窺えます。(ただし、必ずしも服部さんが担当したとは限りません)
  • 若手との融合: 梶山選手や赤嶺選手といった、後のFC東京を支えることになる国内タレントの登用・獲得もこの時期に行われています。これは、即戦力(ダニーロ選手)と将来性(赤嶺選手・梶山選手)のバランスを考慮したポートフォリオ管理の萌芽と見ることができるでしょう。

2006-2007年:迷走する強化方針と順位の停滞

2006年(13位)と2007年(12位)は、FC東京にとって苦難の時期であり、服部さん(強化部長代理)にとっても試練の年であったことがデータから読み取れます。

2006年の「多国籍軍」的失敗

2006年、チームはガーロ監督を招聘し、後に倉又寿雄さんへ交代するという混乱を見せました。補強リストにはFWワシントン、FWササ・サルセード、MFリチェーリといった外国人選手の名が並びます。

  • 分析: 浦和レッズで猛威を振るったワシントン選手とは別の選手ですが、この年の外国人補強は「質より量」あるいは「当たり外れの大きさ」を感じさせるものでした。リーグ13位という結果は、監督の戦術と獲得した外国人選手の特性がミスマッチを起こした典型例といえます。特に、南米路線を推し進めながらも、チーム全体の守備規律や連携が伴わなかったことが推測されます。
  • DF伊野波雅彦の獲得: その一方で、この年にチームに加わったディフェンダーの伊野波雅彦選手は、その後、服部さんのキャリアにおいて極めて重要な存在となっていきます。実は、伊野波選手は、服部さんが次に所属するクラブ(磐田、神戸、横浜FC)のすべてで、再び獲得されることになるのです。この事実から、このジュビロ磐田時代に、服部さんの中で「信頼できる守備の要」として伊野波選手の存在が確固たるものになったことが伺えます。これは、服部さんの補強哲学を理解する上で、非常に重要な視点であると言えるでしょう。

2007年のビッグネーム戦略と限界

2007年にはFWパウロ・ワンチョペ、MF福西崇史、DFエバウドを獲得しました。

  • ワンチョペの衝撃と失望: コスタリカ代表のレジェンドであるワンチョペ選手の獲得は、話題性においては満点でしたが、Jリーグのプレースピードや日本の環境への適応という点では課題を残しました。ここから読み取れるのは、「世界的なネームバリュー」が必ずしも「Jリーグでの実効性」に直結しないという教訓です。
  • 福西崇史の獲得: ライバルであるジュビロ磐田の象徴的選手であった福西選手の獲得は、服部さんが「国内の実力者」を引き抜く交渉力、あるいはネットワークを持ち合わせていることを示唆しています。しかし、チーム成績は12位と低迷し、個の足し算がチーム力向上につながらないジレンマを露呈することとなりました。

2008年:成功体験の獲得と「最適解」の発見

2008年、服部さんは自治体担当へと役職を変えますが、この年に構築されたスカッドがFC東京を6位へと押し上げました。城福浩監督の下、MF羽生直剛、FWカボレ、DF長友佑都が加入しています。特に長友佑都はこの年にいきなり獲得が決まったということはないはずで、直接担当していたわけではないでしょうが、服部さんのチームが手がけてきた発掘プロジェクトの成功例と言えるのではないでしょうか。

選手名

ポジション

特性

貢献度分析

FW カボレ

FW

圧倒的なスピードと決定力

2006-07年の失敗を糧に、「戦術を問わず個で完結できる」ストライカーを的中させました。彼の得点力が6位躍進の原動力となりました。

MF 羽生直剛

MF

運動量、フリーランニング

ジェフ千葉でオシム監督に鍛えられた「走れる選手」の獲得です。カボレ選手等の個性を活かすための黒子役として機能しました。

DF 長友佑都

SB

フィジカル、対人守備

大学サッカー界からの発掘です。即戦力として定着し、後の世界的な選手へと成長しました。スカウティングの勝利といえるでしょう。

FC東京時代の総括:

FC東京時代は、南米ルートを開拓し、様々な試みを重ねた時期だったと言えるでしょう。

当初は試行錯誤の段階(2006年〜2007年)がありましたが、2008年頃には、「決定力のある外国人ストライカー(カボレ選手)」と「献身的にチームを支える日本人選手(羽生選手)」、そして「突出した才能を持つ若手(長友選手)」という、チームを勝利に導く一つの型を見出されたと考えられます。

中でも、長友佑都選手を発掘し、チームに迎え入れた功績は、服部さんのこれまでのキャリアにおける最も大きな実績の一つとして語り継がれるべきものではないでしょうか。

ジュビロ磐田時代(2009-2013)― 黄金期の残像と「コリアン・ライン」の形成

名門の斜陽と再建への課題

2009年、服部さんは、かつての黄金期の輝きを取り戻そうとしていたジュビロ磐田に、強化部長代理として就任しました。

この時期のミッションは、「明確な世代交代の推進」と「クラブの競争力の回復」にあったと見られています。しかし、残念ながらクラブは2013年に初のJ2降格を経験することになります。

この5年間は、服部さんの強化に対するアプローチの特徴と、同時に取り組むべき課題が、最も色濃く現れた期間であったと分析できるでしょう。

「コリアン・ライン」の徹底活用

磐田時代における最大の特徴は、韓国人選手(Kリーガー含む)の積極的な獲得です。各種データソースに基づき、その規模を確認してみます。

  • 2009年: FWイ・グノ、DFチョ・ビョングク
  • 2010年: DFイ・ガンジン、DFパク・チュホ
  • 2011年: MFチョン・ウヨン、MFペク・ソンドン
  • 2012年: FWハン・サンウン、DFチョ・ビョングク(再獲得)

なぜこれほどまでに韓国人選手に傾倒したのでしょうか。

  1. 闘争心の注入: 当時の磐田はテクニカルですが大人しいチームになりつつありました。イ・グノ選手やパク・チュホ選手のようなフィジカルとメンタリティの強い選手を加えることで、チームに厳しさを植え付けようとした意図が見えます。
  2. コストパフォーマンス: 当時の市場において、同レベルのブラジル人選手を獲得するよりも、Kリーグの有望株を獲得する方が移籍金や年俸面で効率的であった可能性があります。
  3. 成功と限界: イ・グノ選手の爆発的な得点力やパク・チュホ選手の左サイドでの機能は明確な成功でした。また、チョン・ウヨン選手はこの後、服部さんが神戸に移籍した際にも獲得されており、伊野波雅彦選手に続く「第2の懐刀」となっています。しかし、外国人枠の多くを韓国人選手で埋める戦略は、チーム全体のプレースタイルの均質化を招き、ブラジル人特有の「意外性」や「魔法」を欠く要因にもなった可能性があります。

2011年の成功:バランスの取れた補強

2011年、チームは8位と健闘しました。この年の補強は非常にバランスが取れたものでした。

  • FW山崎亮平、MF山田大記、MF小林裕紀といった大卒・若手選手が台頭しました。
  • DF藤田義明という経験豊富な国内DFの獲得によって守備が安定しました。
  • これに韓国人選手(チョン・ウヨンら)が融合し、柳下正明監督の下で一定の成果を挙げました。これは「大卒ルーキーの発掘」と「アジア枠の活用」が噛み合った好例といえます。

2013年の悲劇:「名前」での補強と機能不全

2013年、ジュビロ磐田は17位となりJ2へ降格しました。この年の補強と結果の乖離は、強化担当者にとって痛恨のケーススタディといえます。

2013年の主な加入選手:

  • DF伊野波雅彦(日本代表クラス)
  • DF安田理大(元日本代表)
  • MFカルリーニョス
  • GK牲川歩見
  • チョン・ウヨン

敗因分析:

一見すると、伊野波、安田という代表クラスのサイドバック・センターバックを獲得し、守備は盤石になるはずでした。しかし、結果として守備は崩壊しました。

  1. 「個」の寄せ集め: 既存の駒野友一選手に加え、伊野波選手、安田選手と「主役級」のDFを並べましたが、守備組織としての連携が構築できませんでした。ネームバリューを重視しすぎた結果、チームバランス(誰が汗をかくのか、誰がカバーするのか)が崩れた可能性があります。
  2. 監督人事の迷走: 森下仁志監督から長澤徹監督、そして関塚隆監督へと代わっており、強化部として現場を支えきれなかった、あるいは監督の要望と補強がかみ合わなかったことが示唆されます。
  3. 教訓: 服部さんのキャリアにおいて、「実績あるベテランや代表クラスを並べる」という手法が、必ずしも残留争いや苦しい時期の打開策にはならないというデータがここで刻まれました。

ヴィッセル神戸時代(2014-2016)― 豊富な資金と「背骨」の構築

2014年:昇格即定着への「ブラジル+チョン・ウヨン」ライン

2013年の磐田降格の翌年、服部さんはヴィッセル神戸の戦略担当に着任しました。チームはJ1復帰初年度でしたが、11位と中位を確保しています。

また、ここで特筆すべき点があります。名古屋グランパスの現社長である清水さんは、服部さんがヴィッセル神戸に在籍していた当時、同クラブの社長を務めていました

今回の服部さんの招聘は、この神戸時代のご縁によるもの、つまり、服部さんの手腕を間近で見ていた清水社長からの信頼に基づくものと推測されます。

2014年の補強:

  • FWマルキーニョス
  • FWペドロ・ジュニオール
  • MFシンプリシオ
  • MFチョン・ウヨン
  • DF増川隆洋、DF高橋峻希

有効性検証:

この年の補強は極めて有効でした。マルキーニョス選手とペドロ・ジュニオール選手という「Jリーグを知り尽くした強力なブラジル人」を前線に配置し、中盤には磐田からチョン・ウヨン選手を引き抜いて配置しました。

  • インサイト: 磐田時代の反省か、あるいは神戸の潤沢な資金力の賜物か、計算できる「超優良外国人」への投資を惜しみませんでした。特にチョン・ウヨン選手の再獲得は、服部さんが「自分の戦術眼を理解している選手」を重用する傾向(類型A:愛弟子)を強く裏付けています。

2016年:ネルシーニョ体制下での7位躍進

2016年、強化本部長としてネルシーニョ監督を支え、年間7位という好成績を残しました。

2016年の補強:

  • GKキム・スンギュ(韓国代表正GK)
  • MFニウトン
  • DF伊野波雅彦(三度の再会)
  • MF藤田直之
  • DF橋本和

戦略分析:

  1. GKへの巨額投資: キム・スンギュ選手の獲得は決定的でした。Jリーグにおいて「GKへの投資」は後回しにされがちですが、服部さんはここに最高級のタレントを配置することで、勝ち点の取りこぼしを防ぎました。これは後の岡山時代(ブローダーセン選手獲得)にも通じる成功法則です。
  2. 伊野波雅彦の再々獲得: FC東京、磐田に続き、神戸でも伊野波選手を獲得しました。ここまで来ると、単なる戦力としての評価を超え、ロッカールーム内での規律維持や、強化部と現場のパイプ役としての機能を期待していると考えられます。
  3. 藤田直之の獲得: サガン鳥栖のキャプテンであり、ロングスローという武器を持つ藤田選手の獲得は、戦術的な幅を広げる実利的な補強でした。

神戸時代の総括:

神戸時代は、豊富な予算を背景に「センターライン(GKキム・スンギュ、MFニウトン/チョン・ウヨン、FWレアンドロ/ペドロ)」を強力な外国人で固め、脇を「信頼できる日本人(伊野波、藤田)」で固めるという、非常にオーソドックスかつ強力な手法をとりました。この時期の補強偏差値は極めて高いといえます。

V・ファーレン長崎&横浜FC時代(2017-2021)― J2からの昇格請負人とJ1の壁

2017年 長崎:限られた予算での「最適解」と昇格

2017年、長崎の強化責任者に就任すると、高木琢也監督と共にJ1昇格(2位)を成し遂げました。

2017年の補強:

  • FWファンマ・デルガド
  • DF乾大知、DF田代真一
  • MFミゲル・パジャルド
  • GK増田卓也

有効性検証:

この年の最大の功績はFWファンマ選手の発掘です。フィジカルが強く、前線で起点が作れ、得点も取れるファンマ選手は、J2というリーグの特性(フィジカルバトルが多く、個の力が守備を破壊しやすい)に完全に合致していました。また、DF田代真一選手のような、後に横浜FCにも連れていくことになる「闘えるCB」を獲得し、堅守速攻のベースを築きました。予算規模が神戸とは比較にならない長崎で結果を出したことは、服部さんのスカウティング能力の高さ(特に「J2で勝てる選手」の目利き)を証明しています。

2018-2019年 横浜FC:ベテラン再生工場と昇格

2018年に横浜FCのGMに就任。2019年にJ1昇格(2位)を達成しました。

特徴的な補強(ベテラン偏重):

  • 2018年: MF松井大輔、GK山本海人、DF田代真一(長崎から再獲得)
  • 2019年: MF中村俊輔、DF伊野波雅彦(四度目の再会)、MF松浦拓弥、GK六反勇治

分析:

横浜FCでの昇格戦略は極めて特異なものでした。中村俊輔選手、松井大輔選手といった「レジェンド級」のベテランを大量に獲得したのです。

  • ポジティブ面: 技術と経験はJ2において強力な武器となり、ボール保持とゲームコントロールで優位に立ちました。また、若手(松尾佑介選手や斉藤光毅選手ら)への教育的効果も大きかったといえます。
  • 伊野波雅彦(4回目): 服部さんの行くところ伊野波あり、です。もはや「戦術・伊野波」ではなく「体制・伊野波」といえるでしょう。監督が変わっても、自分の哲学をピッチに落とし込む存在として不可欠なのかもしれません。

2020-2021年:J1での限界と「パニックバイ」

2020年は15位で残留しましたが、2021年は20位で最下位降格となりました。

2021年の補強崩壊:

  • FWクレーベ、FWサウロ・ミネイロ、FWフェリペ・ヴィゼウ、DFガブリエウ、GKスベンド・ブローダーセンなど。

有効性検証(失敗):

2021年の補強は「多すぎる」かつ「遅すぎた」といえます。シーズン途中での大型補強(サウロ・ミネイロ選手、ブローダーセン選手ら)は個々の質こそ高かったものの、チームとしての連携を構築する時間はありませんでした。

  • インサイト: 長崎や横浜FCでのJ2昇格は見事でしたが、J1で定着するための「強度の高い守備組織」や「走力」を維持するチーム作りには課題を残しました。特に、ベテラン偏重のツケがJ1のスピード感に対応できないという形で露呈したといえます。

ファジアーノ岡山時代(2022-2025)― 成熟した強化戦略

2022-2024年:着実なステップアップ

2022年より岡山に着任し、3位→10位→4位(昇格)と順位を推移させました。

主要な補強:

  • GKスベンド・ブローダーセン: 横浜FCから再獲得。J2屈指のGKを確保することで、勝ち点を積み上げました。
  • FWチアゴ・アウベス / FWルカオ / FWグレイソン: 強力な外国人FWを毎年のように補強しました。
  • DF柳貴博、DF田上大地: J1経験のある守備陣を確保しました。

分析:

岡山の強化戦略は非常に合理的に進められています。

横浜FC時代に見られたような極端なベテラン選手への依存は避け、「外国人GKによる守備の安定」に「フィジカルに優れた外国人FW」、そして「働き盛りの日本人選手」を組み合わせるという、J2リーグを攻略するための理想的なバランスを実現していると言えるでしょう。

中でも、ブローダーセン選手を横浜FCから迎え入れたことは、服部さんの「良い選手は信頼して何度でも獲得する」という、独自の補強連鎖(リクルートメント・チェーン)が発動した典型的な例だと考えられます。

2025年(J1):昇格に備えたピンポイント補強

J1に挑戦するにあたり、江坂任と立田悠悟というビッグネームを獲得し、それは大成功を収めました。

  • MF松本昌也(磐田時代の縁でしょうか)、DF立田悠悟、MF江坂任、GK川浪吾郎。
  • FWウェリック・ポポ。

評価:

江坂任選手や立田悠悟選手といったJ1実績十分な選手の獲得は、過去の「名前だけのベテラン補強」とは一線を画しています。彼らはまだフィジカルコンディションが計算できる年齢であり、岡山のJ1残留の立役者(名古屋グランパスより順位が上!)となりました。

選手タイプ別の考察と補強の方向性

服部健二さんが獲得する選手は、明確にいくつかのカテゴリーに分類できます。この類型化は、名古屋グランパスでの補強を予測する上で極めて重要です。

【Type A】 愛弟子・信奉者

服部さんがチームを移動されるたびに、繰り返し獲得される選手たちがいます。

彼らは単に戦術的なピースという以上の存在です。服部さんの強化哲学を体現し、ロッカールーム内で重要な役割を担い、チームの秩序を保つ役割を果たしてきたと言えるでしょう。

  • 代表格: DF伊野波雅彦(FC東京、磐田、神戸、横浜FC)、MFチョン・ウヨン(磐田、神戸)、GKスベンド・ブローダーセン(横浜FC、岡山)、DF田代真一(長崎、横浜FC)。
  • 名古屋への示唆: 岡山または過去の所属クラブから、信頼できるベテラン(例えばもう引退していますが伊野波選手のような役割の選手)をスタッフや選手として呼び寄せる可能性があります。

【Type B】 コリアン・アイアンウォール

守備強度とメンタリティを担保するために獲得される韓国人選手(CB、GK、ボランチ)です。

  • 代表格: GKキム・スンギュ、DFチョ・ビョングク、DFパク・チュホ、DFイ・ガンジン。
  • 特徴: コストパフォーマンスと実直さを重視しています。Jリーグのブラジル人FWに対抗できるフィジカルを持つ選手を好む傾向があります。

【Type C】 物理破壊兵器

Jリーグを戦う際、戦術を超越して「個」で殴り勝つために獲得される規格外の外国人FWです。

  • 代表格: FWファンマ・デルガド(長崎)、FWイバ(横浜FC)、FWグレイソン(岡山)、FWカボレ(FC東京)。
  • 傾向: 足元の技術よりも、高さ、強さ、理不尽さを優先します。

【Type D】 著名なベテラン

チームの格を上げ、話題性を作り、経験をもたらすために獲得される元代表クラスです。

  • 代表格: MF中村俊輔、MF松井大輔、FWワンチョペ、MF福西崇史、FWカズ(契約更新等)。
  • リスク: このカテゴリーが増えすぎると、チームの走行距離が落ち、強度が下がります(2013年磐田、2021年横浜FCのケース)。使用法を誤ると劇薬となります。

【Type E】 大卒・新卒の原石

即戦力として機能する大卒選手の発掘能力です。

  • 代表格: DF長友佑都(FC東京)、MF松尾佑介(横浜FC)。
  • 評価: 数は多くありませんが、当たり外れの「当たり」の質が極めて高いといえます(長友選手、松尾選手など)。

補強の有効性検証(定量的・定性的評価)

各クラブでの「主な加入選手」と「順位」の相関を以下のマトリクスで評価します。

クラブ

年度

補強評価

根拠・分析

FC東京

2005

B

ダニーロ加入で安定。土台作りとしては成功です。

FC東京

2006

D

ワシントンら多国籍軍団が機能せず順位低下しました。

FC東京

2008

S

カボレ、長友の獲得。6位躍進。費用対効果は最大です。

磐田

2009-10

C

韓国路線への転換。出血(主力の衰え)を止めるには至りませんでした。

磐田

2011

A

山田、小林ら若手と外国人が融合し8位へ。

磐田

2013

E

伊野波ら代表クラス獲得も17位降格。チームバランス崩壊の失敗例です。

神戸

2014

A

マルキーニョス、P.ジュニオールでJ1復帰初年度を安定化させました。

神戸

2016

S

GKキム・スンギュ加入で守備安定。7位へ。

長崎

2017

S

FWファンマ発掘。限られた予算でJ1昇格を達成しました。

横浜FC

2019

A

ベテラン集団による「大人のサッカー」で昇格。J2特化型戦略の勝利です。

横浜FC

2021

D

パニック的な大量補強(サウロ、クレーベ等)を行うも最下位降格となりました。

岡山

2023

A

GKブローダーセン獲得による失点減。プレーオフ進出への貢献は大です。

総評:

  • J2での昇格力(High): 長崎、横浜FC、岡山と異なるクラブで昇格(またはそれに準ずる成績)を残しており、J2において「何をすれば勝てるか」を完全に掌握しています。
  • J1での継続性(Medium): 神戸では成功しましたが、磐田と横浜FCでは降格を経験しています。資金力が中途半端な場合、ベテランに頼りすぎて強度が不足する傾向があります。
  • GK・FWへの眼力(High): 優れたGK(キム・スンギュ、ブローダーセン)と理不尽なFW(カボレ、ファンマ)を見つける能力は特筆に値します。

結論および名古屋グランパスへ

可能性のある変化

服部健二さんの名古屋グランパスSD就任は、以下の変化をもたらす可能性が高いと考えられます。

  1. 「個」への回帰とフィジカル重視:
    名古屋は近年、相手陣内でのハイプレッシングや堅守速攻をベースにしてきましたが、服部さんはそこに「圧倒的な個(特に外国人FW)」を加えることを好みます。既存のFW陣に加え、タイプC(物理破壊兵器)のような大型FWの獲得が予想されます。
  2. GK体制の再考:
    現在、名古屋グランパスはシュミット・ダニエルという代表クラスのキーパーを擁していますが、2025年しっかり稼働したとは言えません。来年もそのような状況が続く場合、服部さんは迷わず海外(特に韓国や欧州)からトップクラスのGKを連れてくる可能性が高いでしょう。ブローダーセン選手やキム・スンギュ選手の事例がそれを示唆しています。
  3. 「懐刀」の加入:
    過去のパターンから見て、服部さんの意向を汲む選手(Type A)が1~2名加入する可能性があります。これは即戦力としてだけでなく、新SDの哲学をチームに浸透させるための「翻訳機」としての役割を果たすと考えられます。(さすがに伊野波雅彦選手はもう引退してますが!)
  4. リスク要因への警戒:
    過去の事例、例えば磐田(2013年)や横浜FC(2021年)において、「実績豊富なベテラン選手を多く迎え入れた結果、チーム全体の守備における強度が落ちてしまった」というケースがありました。この点には、慎重な検討が必要と考えられます。名古屋グランパスは、運動量と強度の高さをベースとしたチームスタイルを持っています。そのため、加入する選手がこのチームの哲学に合致するかどうか、特に献身的な動きを継続できるかどうかが、成功のための重要なポイントになるかもしれません。

まとめ

服部健二さんのこれまでの実績を拝見すると、「すぐにチームの力になる補強」と「目標達成に向けた、現実的な戦力づくり」に手腕を発揮されてきた方という印象を受けます。

理想を追い求めるというよりは、今手元にあるリソース(外国人枠、経験豊富なベテラン選手、これまでの人脈など)を最大限に活かし、着実に結果を目指していく実務家タイプと言えるでしょう。

名古屋グランパスにとって、彼の持つ広いネットワーク思い切りの良い決断力(特にゴールキーパーやエースストライカーへの投資)は、非常に大きな強みとなるはずです。その一方で、チーム全体の選手の年齢構成運動量が、今後のシーズンを通して適正に保たれていくかが、成功の鍵を握ることになるでしょう。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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