毎年公開している「移籍に関してサポーターが知っておきたいこと」まとめを、アップデートして補足しました。
2025年末は、明治安田生命100年構想リーグが2月頭に開幕する関係上、オフの期間が短めです。
そのため例年1月に出しているこの記事を1週間早めて出すことにしました。
今年は秋春制移行のため、変更点が盛りだくさんですので、是非ご確認いただければ幸いです。
2025年から2026年へグランパスの変化
2025-2026年オフのグランパスは、かなり静かな動きを見せています。
5人体制だったGK陣からは、児玉剛選手が引退、杉本大地選手が契約満了となり、FWのキャスパー・ユンカー選手を含めた計3名が退団しました。
一方、新加入で発表されているのは、新卒の久保遥夢選手と萩裕陽選手の2名のみ。報道ではマルクス・ヴィニシウス選手と高嶺朋樹選手の名前が挙がっていますが、全体としては動きの少ないオフとなっています。
| 2025年 | 2026年 | |||
| Pos. | Status | 選手名 | Status | 選手名 |
| GK | OUT | 児玉剛 | ||
| 特指 | 萩裕陽 | New | 萩裕陽 | |
| OUT | 杉本 大地 | |||
| DF | Loan | 宮 大樹 | Loan | 宮 大樹 |
| Loan | 行徳 瑛 | Loan | 行徳 瑛 | |
| Loan | ハ・チャンレ | Loan | ハ・チャンレ | |
| New | 久保 遥夢 | |||
| MF | 報道 | 高嶺 朋樹 | ||
| Loan | 吉田 温紀 | Loan | 吉田 温紀 | |
| FW | OUT | キャスパー ユンカー | 報道 | マルクス ヴィニシウス |
| Loan | 倍井 謙 | Loan | 倍井 謙 | |
| Loan | 甲田英將 | Loan | 甲田英將 | |
| Loan | 貴田 遼河 | Loan | 貴田 遼河 | |
| Loan | 榊原 杏太 | Loan | 榊原 杏太 | |
| Loan | アヴェレーテ イーブス | Loan | アヴェレーテ イーブス |
契約更新は新体制発表会の前後まで発表されない見込みで、去就が不透明な状況が続いています。全員の残留が保証されているわけではなく、退団の可能性もゼロではありません。
なにもわからない状況は、人を疑心暗鬼にさせます。
こうした状況で悲しいニュースに直面した際、背景知識や情報が不足していると、以下のような状態に陥るリスクがあります。
- 「知識がないと、なぜそんなことになったのかがわからない」
- 「情報がないと、不安にしかならない」

心の準備をするためにも、移籍の裏側にある事情を押さえておきましょう。
2025-2026オフの移籍の傾向

1. 日程短縮による「短期決戦化」
- J2のリーグ終了がJ1より1週間早いため、J2市場が先行して動く傾向にある(昨季までの約1ヶ月差から、1週間差へとギャップが短縮)。
- これに伴いJ1クラブも後手に回ることを避け、リーグ戦終了前から積極的に交渉を開始している。
- 最終戦を待たずに主力選手の契約満了を発表するケースが増加した。
- 翌シーズンの開幕および始動日が早まるため、12月中に主な移籍交渉が決着するスピード感となっている。
2. ベンチ入り枠拡大による「戦力厚の維持」
- 2025年シーズンよりベンチ入り枠が20名に拡大された。
- これにより、主力級選手をチーム内に多数抱えるリスクが低減し、選手層を厚く保ちやすくなった。
3. 税制解釈の変更による「外国籍選手獲得のハードル上昇」
- 税制解釈の変更により、契約が1年以上などの条件で「居住者(非永住者)」と判定されれば、チームから支払われる年俸(日本国内で稼いだお金)に対しては、日本人と同じ最大約55%(所得税+住民税)の累進課税が適用されるようになった(以前は20.42%源泉徴収のみ)
- 手取り額を重視する選手側への補填として、クラブ側が負担する額面金額が大幅に跳ね上がるため、新規の外国籍選手獲得が困難になっている。
移籍ニュースのまとめはJリーグ公式サイト 【公式】明治安田生命Jリーグ移籍情報まとめページ が網羅されていて良きです。
誤解しやすいプロ野球(NPB)とサッカーの移籍の仕組みの違い
「なんで○○を移籍させちゃうんだよ」
「チームは○○を要らないってこと?」
急な移籍が決まると、「チームが選手を追い出した(不要扱いした)のではないか?」という声が飛び交うことがあります。
実はこの感覚、昔から馴染みのある「プロ野球(NPB)の制度」が影響しているのかもしれません。
プロ野球はチームが選手を保留(保有)でき、サッカーはチームと選手は対等の関係
| 競技 | 関係性 | 移籍の決定権 |
| プロ野球(NPB) | 保留(保有)制度 | 球団(チーム)にある球団が選手を保有しているため、トレード等は球団の意思で行える。 |
| サッカー | 対等な契約関係 | 選手と合意が必要チームの一存で選手を他クラブへ売ることはできない。 |
サッカーでは、契約期間中にチームが一方的に「君はもう不要だ(イラネ!)」として他チームへ強制的に移籍させることは、制度上ほぼ不可能です。
チームが選手を戦力外とする(契約を切る)ことができるのは、原則として「契約期間が満了するタイミング(0円)」だけです。毎年末の「契約満了発表」がこれに当たります。
サッカーの移籍が発生する「2つの条件」
では、契約期間中の移籍はどうやって決まるのでしょうか? 基本的に以下の2つが揃った時のみ発生します。
- 選手の意思:「もっと試合に出たい」「新しい環境で挑戦したい」
- オファー:「獲得したい」という他クラブからの申し入れ
選手が移籍希望を出したのにオファーがない場合は、クラブやフットボールエージェントがオファーを探すこともあります。
契約状況による移籍パターンの違い
他クラブからオファーがあり、選手本人も移籍を希望した場合、その時点の契約状況によって結末が変わります。
- A. 契約の切れ目の場合
- スムーズに移籍が成立します(いわゆる0円移籍)。
- B. 契約期間中の場合
- 獲得する側は契約で定められた「違約金(移籍金)」を払う必要があります。
- 満額払える場合: 移籍成立(例:2021-22年の児玉駿斗選手)
- 払えない場合:
- 移籍破談・残留(例:2016-17年の田口泰士選手)
- レンタル移籍へ切り替え(例:2021-22年の米本拓司選手)
まとめるとこうなります
ごく稀なケース(例外)として、以下のような流れでチーム主導の移籍が動くこともあります。
- チームの方針転換などが起きる
- 高年俸の選手などが構想に合わなくなる
- 「残っても出場機会が減る」と選手に伝える
- 合意の上で、移籍先を募る
とはいえ、これは頻繁に起こることではありません。主にネームバリューの大きな選手を抱えられなくなった場合に発生します。
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