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ミシャ式のテンプレートは存在するか? #グランパス #grampus

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はじめに

開幕戦、厳しい戦いでしたが勝利できて本当に良かった。

勝ったからこそ振り返れる細かい振るまいについてみていきましょう。

サッカーの戦術のミシャ式では、DFにある程度役割のテンプレートがあるという仮説を立てました。

ミシャ式DFについては以下の記事で書いています。

抽出すると、以下の素養が求められると考えます。

  • 圧倒的な「攻撃性能」と「チャンスメイク能力」 : 素養①:超長距離かつ高精度のフィード能力(プレースキック含む)
  • 「運ぶ」能力とフィニッシュへの関与 : 素養②:レーンを跨ぐ攻撃参加とフィニッシュ精度
  • 広大なスペースを守り切る対人能力(デュエル) : 素養③:1対1の絶対的な強度とスプリントバック能力
  • ビルドアップの「安定化装置」としての機能 : 素養④:ミスをしない技術と冷静な判断力
  • 「センターCB」から「ボランチ」への可変能力 : 素養⑤:戦術的知性とポジショニング
  • 守備統率とカバーリングエリアの広さ : 素養⑥:予測力とインターセプト技術

ミシャ式で近年最高位の成績を残した2018年(4位)では、サイドCBは進藤亮佑選手と福森晃斗選手が務めていました。

進藤選手は素養②③、福森選手には素養①④があると考えています。進藤選手役は徳元悠平選手、福森選手役は原輝綺選手。特に原輝綺選手は素養⑤も兼ねているのではないかと考えました。

この比較をFootball-LabとSofascoreのデータをもとに検証していきましょう。

データ比較:進藤亮佑 (2018) vs 徳元悠平 (2026)

2018進藤

2026徳元

アシスト

1

0

ボールタッチ数

66.9

67

決定機創出

1

キーパス

0.5

1

正確なパス

43.4 (85%)

35/43 (81%)

自陣でのパス成功率

26.4 (90%)

29/34 (85%)

相手陣でのパス成功率

17.5 (74%)

6/9 (67%)

ロングボール成功率

3.9 (52%)

クロス成功率

0.6 (30%)

3 (66.7%)

ドリブル成功数

0.4 (61%)

1 (100%)

デュエル勝利数

5.5 (59%)

7 (71.4%)

地上戦デュエル勝利数

2.7 (56%)

5 (80%)

空中戦デュエル勝利数

2.8 (61%)

2 (50%)

ボールロスト数

10.9

12

ファウル数

0.9

1

ファウルを受けた回数

1

2

攻撃的な3バックの一角(ストッパー)としての役割が期待される両選手の比較です。

項目

2018 進藤亮佑 (札幌)

2026 徳元悠平 (名古屋)

比較・傾向

ボールタッチ数

66.9

67

極めて高い類似性。ビルドアップへの関与頻度はほぼ同等です。

パス成功率 (自陣)

90%

85%

どちらも安定してボールを捌いています。

クロス成功率

30% (0.6本)

66.7% (3本)

徳元選手の方がクロスによるチャンスメイクの質・頻度が高いデータが出ています。

デュエル勝率

59% (地上56%/空中61%)

71.4% (地上80%/空中50%)

徳元選手は地上戦で圧倒的な強さを見せていますが、空中戦は進藤選手に分があります。

キーパス

0.5

1

徳元選手の方がラストパスの供給頻度が高い傾向です。

【考察】

  • 役割の相似性: ボールタッチ数がほぼ同じであることから、「ビルドアップの出口」や「攻撃の始点」としての関与度は共通しています 。ミシャ式特有の「DFが攻撃に参加する」というタスクを同様に担っていると言えます。
  • プレースタイルの違い: 2018年の進藤選手は空中戦の強さとセットプレーでの得点力(4得点)が特徴でしたが、2026年の徳元選手は「地上戦のデュエル」と「精度の高いクロス」で違いを作っています。役割(タスク)は同じでも、徳元選手の方がよりサイドバック的なスキル(クロス、対人守備)を活かして攻撃に貢献している様子が伺えます。

データ比較:福森晃斗 (2018) vs 原輝綺 (2026)

2018福森

2026原

アシスト

6

0

ボールタッチ数

84.1

49

決定機創出

7

キーパス

2.6

1

正確なパス

48.4 (78%)

25/31 (81%)

自陣でのパス成功率

25.2 (88%)

13/18 (72%)

相手陣でのパス成功率

25.9 (63%)

12/13 (92%)

ロングボール成功率

5.8 (47%)

5/6 (83%)

クロス成功率

2.7 (39%)

3 (0)

ドリブル成功数

0.6 (72%)

1 (100%)

デュエル勝利数

5.4 (58%)

7 (71.4%)

地上戦デュエル勝利数

3.3 (54%)

5 (80%)

空中戦デュエル勝利数

2.2 (63%)

2 (50%)

ボールロスト数

21.1

10

ファウル数

1.2

1

ファウルを受けた回数

1.3

1

次に、ミシャ式の肝とも言える「攻撃の組み立て」を担う司令塔役サイドCBの比較です。

項目

2018 福森晃斗 (札幌)

2026 原輝綺 (名古屋)

比較・傾向

ボールタッチ数

84.1

49

福森選手の方が圧倒的に多く、攻撃の全権を握っていたことが分かります。

敵陣パス成功率

63%

92% (12/13)

原選手はタッチ数こそ少ないものの、驚異的なパス成功率を記録しています。

ロングボール成功率

47%

83%

原選手はロングフィードの精度でも上回っています。

キーパス/決定機

2.6 / 7回

1 / –

チャンスメイクの「量」は福森選手が圧倒的です。

デュエル勝率

58%

71.4%

守備強度に関しては原選手の方が高い数値を示しています。

【考察】

  • 役割の相似性: どちらも「ロングボール」や「敵陣へのパス」で攻撃のスイッチを入れる役割を担っていますが、プレーの頻度(タッチ数)に大きな差があります 。
  • タッチ数の差は、オ・セフン選手が戦前の私の予想(オ・セフン選手を徳元悠平選手に当てる)と異なり、原輝綺選手に当ててきたことにより、守備の時間が長かったことが大きな理由であると思うので、1試合では判断はつきません。ただ今後もビルドアップの要を守備に回らせようという狙いは他チームからもされる
  • 質の変化: 2018年の福森選手は「司令塔」として大量のボールを触り、リスクを負ってでも決定的なパスを供給する「量と一発の質」のタイプでした。対して2026年の原選手は、タッチ数は少ないながらも、敵陣パス成功率92%、ロングボール成功率83%という「極めて高い効率と確実性」で貢献しています。また、デュエル勝率の高さから、福森選手よりも守備的な安定感が担保されていると言えます。
  • 特に原選手のロングボールには上質なサイドチェンジが3本もありそれはかなりの武器になっていました。
原輝綺選手の第1節パスマップ
原輝綺選手の第1節パスマップ

仮説に対する検証

「ミシャ式DFには役割のテンプレートがある」という仮説は、データからも「部分的に肯定」されますが、選手の個性に合わせた「アップデート」も見られます。

  1. 攻撃参加のテンプレートは健在:
    進藤選手と徳元選手のボールタッチ数が酷似している点など、DFが攻撃の組み立てに深く関与するミシャ式の基本構造は2026年の名古屋グランパスでも維持されていると考えられます。
  2. 「専門家」から「万能型」へのシフト:
    2018年の札幌(4位)は、福森選手(左足のキック)や進藤選手(ヘディング)といった「特定の一芸(武器)」を最大化する戦術でした。 一方、2026年のデータ(徳元・原)を見ると、パス成功率の高さやデュエル勝率の高さなど、「攻守の穴のなさ(効率性と守備強度)」が目立ちます。特に原選手は福森選手ほどの「王様」的な扱いではないものの、よりミスが少なく、守備でも貢献できる現代的なCBとして機能している可能性があります。

結論:ミシャ式「Ver.2026」への進化

役割的な相似(攻撃関与)は確かに存在しますが、2026年の名古屋では、2018年のような「個の尖った武器に依存するスタイル」から、「高い守備強度とパス効率を兼ね備えたDFによる、より隙のない攻撃参加」へと質的な変化・進化を遂げていると言えそうです。

今回の検証から導き出される結論は、「ミシャ式のテンプレートは、個の『一芸』依存から『高効率・高強度』の集団へと進化した」ということです。

2018年の札幌は、福森選手の左足、進藤選手の得点力といった「突出した武器」をシステムに組み込むことで破壊力を生んでいました。しかし、相手の対策(今回のオ・セフン選手による原選手への徹底マークなど)が進んだ現代サッカーにおいては、特定の個人の「量」に依存することはリスクにもなります。

2026年の名古屋のDF陣は、以下の3点でミシャ式のテンプレートを再定義しています。

  1. 効率の極大化: 少ないタッチ数でも決定的な仕事をする(原選手のパス成功率)。
  2. 守備的欠陥の解消: 攻撃性能を維持したまま、対人強度をJ1トップレベルまで引き上げる(両選手のデュエル勝率70%超え)。
  3. 役割の互換性: 特定の選手に依存せず、テンプレートに合致する「強度と技術」を備えた選手を配置することで、戦術の継続性を担保する。

総じて、名古屋はミシャ式の「攻撃的ロマン」を残しつつ、現代的な「勝てる合理性」を組み込んだ、より隙のないテンプレートの運用に成功していると言えるのではないでしょうか。

ポゼッションと運動量・強度を兼ね備える、ガンバ大阪相手にどれくらい通用するのか。楽しみに見てみましょう。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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