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ミシャ式ビルドアップの現在地。長崎戦で見えた収穫と課題 第3節V・ファーレン長崎戦マッチレビュー #grampus Y0234

いつかは来る敗戦が、これほどミシャ(ペトロヴィッチ監督)らしくなくてもよいのではないかと思う反面、ようやく自分たちも「ミシャを経験した者たち」という称号を得て沼に踏み込んだ、何とも言えないワクワクと恐怖の狭間の感情を抱くような、春の訪れとミシャの訪れを感じる日となった。

試合情報

  • 2026年2月21日
  • 名古屋 – 長崎:1-3
  • 天候 / 気温 / 湿度:晴れ / 13.6℃ / 38%
  • 主審:須谷 雄三

長崎の守りと名古屋の列の越え方

ガンバ大阪戦で提示された名古屋のビルドアップに対する対抗策、すなわちサイドの絞りに対して、長崎は541気味の布陣で対策を考えてきた。そのため、名古屋がそこをどう越えるかが焦点となった。相変わらず名古屋の基本形は、CMFが1枚落ちて4バックを形成する415である。長崎は541の布陣から、稲垣を消すために山田が前に出るため、長谷川が山口と並ぶような形になる。守備時においては、山田と山口は縦の関係となる。

マテウス・ジェズスと長谷川は中央に絞るが、山田は稲垣を消しにいく。ボランチと対面することを約束事にしているようで、稲垣に対しては山口、長谷川、ジェズスの誰が対応すべきかと迷っているような陣形である。

長崎のボランチが縦関係になることで、サイドにある名古屋のSBとCMFのスペースの扱いに長崎が迷う展開となり、名古屋は相手が悩んでいる隙を突いてボールを運べる状況になった。

最終ラインからの組み立ては、簡単に言えば中央に残るCMF(ヘソ)が外に追い出されるか、囲まれるかの2パターンである。どちらのパターンにおいても、現状は相手を「引っ張り出して運ぶ」ことが共通の鍵となっている。

CMFが外へ追い出される(降りていく)時は、守備の列を越えるためにボールを運んでほしい形である。17分52秒からの場面のように、稲垣が山口に追い出されて中盤が空くため、高嶺が持ち運んでサンタナと山口の列を越えたら攻撃のスタートとなる。あるいは、藤井にサンタナを剥がさせて列を越えさせる形もある。マークを引っ張り出し、最終ラインの選手が相手を剥がして前進する展開である。

中央が囲まれている展開でも、16分34秒からの場面では、稲垣が長崎の1-4のブロックに囲まれて対応に困る状況から始まり、高嶺がサンタナを剥がして攻撃をスタートさせている。最初のアクションが「相手を剥がすこと」から始まる点は、どちらのパターンにも共通していることがよく分かる。

15分43秒からの場面のように、囲い込みとマンツーマンマークの基準が曖昧になったタイミングで、稲垣が前を向くことができた。この展開は、長崎の守備が間延びしており、ボランチが縦並びの状況(山田と山口の縦関係)であった。ここで高嶺と徳元を使いながら山田までの列を越えられると(例えば、高嶺に預けて運ばせるか、徳元を経由して稲垣が前進しパスを受け直す形)、3テンポほどの速度で、インサイドハーフ(IH)が深く降りなくてもボランチまでの守備の列を越えていくことができる。(特に動き直しや、近い距離でボールを動かしながらのビルドアップから中盤まで抜け出す形は、トレーニングのメニューでも重視されている傾向にある。そのため、あの場面でのチャレンジも素晴らしいが、戦術設計の部分も実戦を通じて経験値を蓄積していきたいところである。)

前半のポイント:山田と山口があそこまで縦関係になると、30分51秒からや33分00秒からの場面のように、木村がボランチの裏でボールを受けてからの形を作れるようになる。(浮き球のパスから木村の個人の質で上回った場面であったが、徳元と稲垣を使いながらでも攻め込めた形であったため、あのスペースを使ったことに意味がある展開だったと感じる。これを地上戦で再現できるかが鍵となる。)

👍point

23分26秒から見られた、ヴィニシウスが降りて稲垣と高嶺がボランチと対面する状況で、山岸が落として木村が抜け出す形。これを、自分たちがボールを握っている時間帯かつ、相手がある程度引かない展開(先制点が欲しい展開)の中で実行したいというのが本音である。そのためには、稲垣と高嶺が低い位置から前向きに前進する時間を作りながらボールを動かすか、あるいは相手が釣り出されてポジションに戻れないタイミングで、誰が相手の守備の第1列目の裏に入っておくかが重要となる。

最初からヘソの選手が追い出される形であれば、CBがボールを運んで列を越えられるが、囲まれている展開におけるボールの動かし方の約束事をどうするかが課題である。縦パスを刺し込む開始距離を縮める意味でも、最終ラインから配球役を前に上げるようなシステムを作りたい。配球役のラインが上がるタイミングを作れると、相手のマークやブロックが動かされるうえに、チャンスの回数も明らかに増加していた。

長崎の変化とズレない展開

後半に入ると、長崎は541で構える時間が露骨に増えた。山田と山口の縦関係は守備局面ではほぼなくなり、最終ラインを見張るのもサンタナ1人となった。長谷川もジェズスも「どこの誰を見張るのか」という迷いが少なくなり、外側のケアに入るようになったため、山田のポジションのズレを利用してボールを運ぶ展開が見られなくなった。その引き換えに名古屋が押し込む時間は増え、長崎の最終ラインの選手間に5枚を配置し、「点と点を合わせる形」が増えてきた。山岸もコメントを出していたが、後半のチャンスは前線の質と3人の連携で完結させた形も多く、長崎は前半よりも自分たちは「組織」で守り、相手の攻撃を「個」の力に依存させるような守り方へと大きく変化していた。

長崎が541に変更し、守備時に長谷川が外に開くようになると、そこへボールが入るようになった。そうなると、IHが自陣深くまで戻らなければセンターがスライドさせられてしまうというパターンは、昨シーズンから変わっていない課題である。失点シーンも、長谷川が外に出て山田と入れ替わり、センターの選手を横に引っ張り出したところから生じた。昨シーズンまでは「センターがスライドした時」の約束事(永井や森島のIHにおける守備局面の約束事)が一応存在したが、後方にマンマークの駒を置いている現状では、中央に絞ったジェズスに対して木村がスペースを埋めない理由も理解できる。そういう意味では、失点シーンにおいて、野上と木村のシーズン移行期ならではの連携の迷いが、ジェズスをフリーにしてしまう結果を生んだと言える。

2失点目も、外を回された段階でジェズスとキャンベルの2枚がマークを付けない位置まで移動して始まっている。マークすべき選手が2枚同時に動く変化があると、さすがにマークの受け渡しは不可能に近い。ここははっきりと、前線から誰かを下げて対応させるしかない。個人の質でピンチを食い止められる可能性はあるが、単純な戦術設計で修正できる部分まで90分間個人の力に頼るのかについては、今後も継続して注視していきたい部分である。

👍point

名古屋の後半のチャンスシーン。ロングボール以外では61分49秒からの場面などが挙げられる。このシーンも、山口が高嶺に対してプレッシャーに出たところから始まっている。それまでの541の構えから、明らかに山口がロングボールによるチャンスメイクを嫌がり、高嶺へアプローチに出ていった。ここでポジションのズレが生じたため、野上から山岸、そしてヴィニシウスへと繋がるチャンスになった。この試合の最大のポイントは、長崎のボランチの立ち位置の変化にあったと感じる。

試合雑感

  • 前後半で山田と山口のラインを明確に整理してきた長崎に対し、相手が引いて守っても立ち位置にズレが生じているため、タイミングを合わせればゴールまで迫れるという攻防は、純粋に面白かった。
  • ビルドアップというよりも、配球役や攻撃のスイッチを入れる選手をどう前線へ上げるか。センターが降りた後にWBが中へ絞るような形は基本的に採用しないというポリシーの中で、いかに戦術設計の練度を上げられるかが鍵となる。
  • 61分49秒からの場面のような野上のインナーラップが有効であるならば、戦術設計に組み込んでもよさそうである。しかし一方で、より一層左CBの人選問題が浮上してきそうな気配もあり、悩ましいところである。
  • IHは攻撃局面でのタスクが多い分、守備は免除されているような印象を受けるため、後方の選手たちは奮闘するしかなさそうである。本来であれば全局面全員で関与できるチームを目指したいところだ。

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