祝・グループステージ突破!
編集A:いやあ、良かったですね。後半はハラハラドキドキしっぱなしでした。
デスク:相手のシュートがクロスバーを叩いたときは、思わず声がでてしまったな。
編集A:オーストラリアが撤退して、中国がU23チームを送ってきて、という状況ではグループGが唯一の死のグループになってしまった感がありますよね。
デスク:気温はウズベキスタンとそれほど変わらないようだが、比べものにならないほど高い湿度、スコール、1日2試合という無茶苦茶なスケジュールでどんどん酷くなるピッチ、本当に悪条件が揃うなか、よくぞ最後まで怪我人も出さずに頑張ってくれた。
編集A:怪我人がいなかったことは大きいですよね。
デスク:ただでさえ、金崎夢生・丸山祐市という大黒柱を欠く状況だったのだから、これ以上の怪我人が出たら、リーグ戦もかなり怪しくなってしまう。
編集A:とりあえずはめでたしめでたしですね。
デスク:それでは試合を振り返ってくれ。
思いもかけずとれてしまった先制点
編集A:この試合、JDTは大胆にターンオーバーしてきました。レアンドロ・ベラスケスは中5日でフレッシュでしたし、マウリシオは出場停止明け。シェーン・ロウリーは出場停止、ベルグソンはベンチ外で完全休養。ナチョ・インサもベンチで出場しませんでした。最初フォーメーションを書くときにマウリシオとレアンドロ、コービン・オング以外は誰がどこに配置されるの?って悩むような状況でした。
デスク:もともとJDTはマレーシア代表クラスの選手をガンガン補強しているチームなので、控えを出してもそれほど戦力が落ちないという自信があったんだろうな。疲労困憊の選手よりは上だと。さらには主力を休ませて、最終戦(ラチャブリ戦)で確実に勝利したい、という気持ちもあったのだろう。
編集A:ただ、初出場の選手が多いと試合勘がリスクになりそうです。
デスク:先制点はPKだったが、試合勘のないアダムのところにビックリするような素晴らしいパスが入ったことが大きかったかもしれない。
編集A:阿部浩之のパスは見事でしたね。
デスク:あのパスが通った時点で勝負あったな。
見事過ぎた阿部浩之の追加点
編集A:2点目も見事でしたね。
デスク:利き足ではない左で、あそこにコントロールできるというのは凄いな
編集A:シュートの前の切り返しも完璧でした。DFが完全に振られてました。
デスク:コービン・オングはかなりアジリティがあるほうだが、まったく負けていなかったな。
編集A:これで出場機会は増えるでしょうか。
デスク:リーグに戻ったときは、柿谷曜一朗がトップ下のライバルになる。ボールを収めるチカラでは柿谷曜一朗のほうが上だが、ボールを動かすには阿部浩之だな。ボールを運べるシャビエルという、3人の特徴をどう使い分けるか。
編集A:もっと活躍を見てみたいですね。
起こるべくして起きた失点
編集A:ACLでの初失点を喫しました。
デスク:起こるべくして起きた失点だな。
編集A:と、いいますと?
デスク:JDTはとにかく点が取りたい。失点シーンの前に、35分に米本拓司、37分に宮原和也がイエローカードを貰っている。これだけでだいぶ守備の出足が鈍くなってしまった。ここから5分間はJDTの時間だった。39分にはレアンドロのシュートもあった。
編集A:グランパスの左サイドでごちゃっとしてしまっていましたね。
デスク:その前までコービン・オングに付いていたマテウスが、なぜか逆サイドに参加するために彼を離してしまった。そこにボールが出て、ドフリーでシュートを打たせてしまったわけだ。
編集A:宮原は19番を見ていたので、どうしようもありませんでしたね。
デスク:マテウスにプレー選択の自由を許してしまっている弊害があった。解説の佐藤寿人さんは「もっとタイトに当たらないと」と言っていたが、自分でフリーにしてしまっては防ぎようがない。
編集A:またパンチング先に選手が居るというのもアンラッキーでした。
デスク:ある意味必然の失点でもあり、事故でもあった。フィッカデンティはきっとカンカンだったと思うぞ。ドフリーでもなければあんなことにはならなかったろうからな。
編集A:こういうミスはこれからのリーグ戦でも減らして行きたいですね。
なぜ後半、グランパスはボールを持てなくなったのか
編集A:このACLで、ポゼッションで相手チームを下回ったのは初めてです。これはなんででしょうか?
デスク:理由は2つあると思っている。
1)疲労の蓄積
2)カードを貰いたくないので接触をできるだけ避けていた
この2つだな。
編集A:出場時間をまとめてみました。
デスク:黄色はイエローカードだな。こうしてみると、イエローを貰ってない選手のほうが珍しい。ミッチ、木本恭生、中谷進之介と、攻撃陣では相馬勇紀と齋藤学、前田直輝くらいか。
編集A:出場時間の合計をまとめるとこうなります。黄色は360分以上出場です。
デスク:これを見ると明らかなのだが、グランパスは6枚から7枚の守備カードを使うが、そこはほとんど入れ替えることができていないということだ。
編集A:攻撃陣で360分越えはマテウスだけで、結構きっちりとターンオーバーできてるんですよね。
デスク:守備陣の疲れは半端ないだろうな。まだ20代の宮原・木本・中谷はともかく、30代の吉田豊や米本拓司にはしんどいだろうな。
編集A:後半は明らかに寄せが悪くなってましたものね。
デスク:それだけじゃないな。イエローカードの累積も大きいはずだ。昨日開始時点で稲垣祥、米本拓司、山﨑凌吾、吉田豊、長澤和輝、森下龍矢、マテウスがカード持ちだった。さらに試合のなかで米本拓司が2枚目のイエローをもらい、宮原和也も阿部浩之もイエローを貰っている。かなりポンポンイエローカードを出す審判だったので、それも身体接触を避けたくなった理由でもあると思う。
編集A:確かにそれだと守備が甘くなってしまいますね。
攻撃がうまく行かなくなったわけ
編集A:でもデスク、それだけでポゼッションができなくなるものでしょうか?それだけで攻撃ができなくなるようには思えないのですが。
デスク:それは柿谷曜一朗が孤立するからだな。このACLで柿谷曜一朗のゴールは独力でこじあけた浦項戦のゴールを除けば、山﨑凌吾のポストがあったからだ。
編集A:たしかに柿谷曜一朗にクロス入れても、それを決めきるイメージはないですね。
デスク:後半阿部浩之を下げてしまったのは早すぎたのでは、と思う。山﨑凌吾のポストもなく、阿部浩之のパスもなくでは、柿谷曜一朗をストライカーとしては使えない。独力でゴリゴリいけるタイプじゃないからな。むしろ前田直輝や齋藤学の仕掛けがあると、それをお膳立てする方向にしかいかない。
編集A:後半は疲れもあるのでしょうけど、ちぐはぐでしたものね。
デスク:前線でボールが繋がらず、ボールを失うととすぐに相手の攻撃のターンになってしまう。
編集A:こちらの攻撃がうまくいかないから、相手の攻撃が増える、ですね。たしかに。
のらりくらりと試合を締める
編集A:結果的に、後半はボールはもてなくなったものの、ヒヤリとしたのは後半は61分のクロスバー直撃くらいでしょうか。
デスク:リーグ戦基準で言うと、ピンチは少なかったほうだな。
編集A:グランパスはチャンスを作られすぎるのに、守備陣の頑張りでなんとかしちゃってるだけなんですよね。Jリーグでは。
デスク:ACLはある意味、グランパスを戦術でハメるってことをしてこない。JDTが下平システムっぽいことをしてくるくらいだが、精度が低いからな。
編集A:元気な森下龍矢はもっと早くに入れてもよかったかもしれませんね。
デスク:プレスが連動してくれれば彼もありがたいのだが、彼ひとりがプレスにいくのは却って危険という判断なんだろうな。
浦項戦はどう臨むべきか
編集A:マッチプレビューは、ダンコバさんが書いてくれることになっていますが、デスクから浦項戦に向けてなにかありますでしょうか。
デスク:そうだな。まず、イエローカードの累積が怖い選手は休ませよう。
編集A:今リーチなのは稲垣祥、宮原和也、吉田豊、長澤和輝、阿部浩之、マテウス、森下龍矢、山﨑凌吾です。
デスク:換えが効かないのは稲垣祥と吉田豊、マテウスだ。その3人は休ませた方がいい。
編集A:ならば完全にターンオーバーというのはどうなのでしょう。負けても結果は変わりませんよね?
デスク:いや、実はそうじゃない。グランパスは勝った方がいいんだ。
編集A:どういうことですか?
デスク:まずは以下の表を見て欲しい。
デスク:現在の2位は浦項・傑志・大邱になっている。もしもこのまま推移するとベスト16の対戦相手はこうなる。※7月6日時点で 浦項・大邱・パトゥムに更新されています。
編集A:うげ!このままだとベスト16で川崎フロンターレ相手ですか?それは嫌だな・・・・※7月6日時点では大邱
デスク:避けたいよな。ちなみに今のままで行くと、川崎フロンターレと対戦するのは、さっきの3チームが抜けた時だけなんだ。
編集A:となると、それを避けるためには?
デスク:最終戦で引き分け以上が必要になる。引分けならば、浦項の勝ち点は11になる。
編集A:ほかのグループはどうなりそうでしょうか?
デスク:中国やフィリピンのチームが入っているグループの2位のポイントは高くなりそうだ。
編集A:だいたい勝ち点12以上取ってきそう、ということですね。
デスク:だから引分け以上が必要なんだ。
編集A:そうなると、休ませるのか、ガチでいくのか迷うところですね。それほど戦力に差があるようには見えませんから。
デスク:鳥栖戦を考えたら、休ませられる選手は休ませた方がいいに決まっている。フィッカデンティ監督の決断が見物だな。
編集A:楽しみですね!