グラぽ

名古屋グランパスについて語り合うページ

メニュー

揃わない「やり方」 2023年J1リーグ第25節 セレッソ大阪戦マッチレビュー #grampus #cerezo

「壁」というべきなのか、強き者になるための試練はこれほどに厳しいのか。勝ちを自分の手から掴みに行くことの難しさを痛感した試合となりました。

お互いにプレーの矢印がハッキリしているチーム同士の対決。

試合情報

1.セレッソ大阪・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
1.セレッソ大阪・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ

セレッソの基本構造と駆け引き

セレッソはボール回しでも基本的にはオーソドックスな442の形から大きく変更はしてこない。名古屋のプレスを見てから動くような形を取る。

名古屋のプレスを引き込み、外回しを見せて両ウイングバックがプレッシャーにくる裏をつかうセレッソ。名古屋のプレスが外に開くなら中盤の空洞化されたスペースで香川、喜田が顔を出す。そこも詰まっていたらレオセアラやカピシャーバの手前へボールを落とす。

ボールを放り込んでもセレッソの選手達の方が中央では前を向いてる選手が突っ込んで来れるのでボール回収も名古屋のプレス部隊は後手を踏む。

2.セレッソ大阪の狙い
2.セレッソ大阪の狙い

一方でセレッソは名古屋に対してきついプレスを仕掛けるように見えたが、プレスというよりはブロックの収縮と膨張のような形。

8:12〜の場面

名古屋がサイドで持つ。セレッソのプレスは外側へと守備の矢印が見えるので森島が中で斜め方向へのパスを待った。

香川のコースを切りに行く場所を見た事と内田のフォローするプレーの予測と稲垣が最終ラインのカバーに入った事で森島が空いたスペースで待ったが森下は選択せず。

3.8:12~のシーン
3. 8:12~のシーン

この場面、森島は森下が中に切り込んでくる選択をする事をギリギリまで信じて外に流れる動きまで選択している。

河面のエアボールの段階で強制的に首は振っていて、状況確認は森下も森島もしているはずなので当然盤面から読み取れる確率が一番高い選択肢を信じるのは至極当然のプレー。

12:50〜

12:50〜には08:12〜の場面と近い意図で、縦にくるプレスで中から外へ広がる瞬間に斜めのボールが入る。

特に稲垣が高い位置をとってる事、内田が底で引き取り役になってる事からできる内田の奥に顔を出して横と縦に広がるセレッソの守備の中で斜めでボールを待った。

4.12:50~のシーン
4. 12:50~のシーン

18:16〜

18:16〜も内田が斜めに入れ込んだ。森下が刺せなかった時に気づいていた森島の位置の把握。

セレッソのブロックの広がり方、動き方の矢印が縦と横になる構造に気付いてるパスの出し方。失敗してしまったが、森島の立つ意図を理解している選手が増えてくる。

19:05の場面では稲垣が受ける場所を変えて森島をサイドに押し出して左で前進を図る。森島を押し出してる時点で前節までの名古屋の構造から考えられる事はサイドから相手のブロック裏を使った前向きなボールの受け渡しの意図。

森下は稲垣が森島を押し出した時点で「今までのやり方を選択」そこを引っ掛けられる。

5.揃わない「やり方」
5.揃わない「やり方」

この場面。先ほどから何度も繰り返している矢印の斜め方向の場所に刺す。という観点から見ると、稲垣が寄って行った場所は森島が立っていた場所に酷似している。

しかし、森島が外に流れた時点で森島、森下、河面の中では寄ってきた稲垣に前進して受けてもらう構図が共有されている。

その共有が分かるプレーがクルークスのランニングコースを斜め方向にずらしている河面の動き。

当然斜め方向に走らせれば斜めにパスを刺し込むコースは消えたまま。しかし、森島のサイドへの押し出しが重なることでセレッソの守備のベクトルを縦向きから横向きに変えるきっかけとなった。

名古屋のこの試合でのポイントは「セレッソの矢印の逆を取る」

セレッソの守備ブロックが横向きに動いた矢印の瞬間に縦方向を取る為の布石だった。

その後に藤井の対面からひっくり返せたプレーも、幅から幅を使った得点につながったプレーも「セレッソのプレーの矢印の逆を取る」というのが狙いだったと考えられる。

お互いの手札のやり取り

18:00~頃から明確にクルークスを高い位置に上げ、森下とのマッチアップをさせる。

ボールを背負うプレーでノーリスクの選択ができる事、毎熊が永井のプレスの裏に立ち、名古屋のプレスを無効化する設計を作った。

6.名古屋のプレスの無効化
6.名古屋のプレスの無効化

この時点ではまだ名古屋はまだプレスに出る形を選択する。ヤンハンビンがボールを引き受ける事で前からの制限が機能しなくなった。この守備の流れは21:37付近の片野坂さんの名古屋の守備構造の解説の部分につながる。

21:37〜に解説の片野坂さんが発言した部分。毎熊の処理を森下に任せて河面にスライドを任せる形。この形を選択した段階で、稲垣と森島は喜田と香川に当たる形を継続。

そうすると2列目のスペース管理は内田と擬似的にcbになる2枚(中谷or藤井)のどちらか。

この形を取ると苦しいのは逆サイドのwbからsbへ切り替わる選手(野上and河面)のプレー(攻守共に)の速さ。

森島と稲垣が裏返されたら必ず中谷or藤井が前方のスペース管理に行く為、スライドさせられたcb(この試合だとカピシャーバと対面する藤井、クルークスと対面する河面)と逆側にいるwbからsbになった選手は引いて来る必要がでてくる。

引く事で前に出たcbのスペースを逆側から締めるという「最終砦」を形成する事が出来る。

7.野上結貴交代前の守備の仕組み
7.野上結貴交代前の守備の仕組み

この守り方。名古屋が選択出来る条件はあくまでチャレンジするセンターバック1枚+底で残っているセンターが1枚いる場合に選択できる。

センターが同列にいる事でチャレンジに行くセンターバックが行う相手選手へのプレー制限を有利な方向へ能動的に決定できる場合の話。

守備構造とイレギュラー

最初の失点シーンは外側から横にセレッソの選手が横切る形から。プレスに行く人間が多ければその役割の人間がどこまで人の制限を続けるのか?の穴を突いた。

野上がいなくなったので、最終ラインは中へスライドしてスペースを埋める事は出来なかった。

勝ち越しを許した場面では片野坂さんが解説した守備構造の部分にイレギュラーが発生。

内田がスローインのレシーバーとして寄る選択をした為に、中盤の底にいる選手が不在となる。

そんな中で稲垣も森島もセレッソの出し手に対して制限をかけに行くのかコースを絞めるのか?が曖昧な出方。

本来であれば河面がクルークスという対面を作る設定をしていた名古屋。

サイドのスローインというイレギュラーな場所からのスタートでレオセアラが河面、クルークスが森下に張り付く事で中央を通された時のスペースのケアに入る最終ラインの選手をピン留めさせた。

「一瞬の名古屋側のプレー基準の曖昧さ」と「セレッソが作り上げたイレギュラー」の噛み合わせが、あんなにも1人の責任に見えるような失点シーンを作り上げた。

試合雑感

  • 森下がクルークスにあれだけやられるのは想定外というか、抑える抑えられる部分が厳しそうだった。
  • 編集長のデータレビューにもあったが、稲垣が高い位置を取ることで最終ラインが困る時間が出来ていた。その結果、内田が稲垣の場所を食うように工夫しに寄ってしまったり、最終ラインが選択肢を無くして無理矢理河面に預ける展開が散見された。矢印の逆をとる事に固執した結果だったのか?リスク管理の延長かは分からないが、ハーフスペースを使用した相手の構造を崩す形が久保や前田、和泉が入るまで見られなかったのが少し気がかり。
  • 今回の試合へのアプローチがキャスパーを活かすようなアプローチでは無かったのでどうしても彼の得点の為にチームがセットアップするような展開にならずフラストレーションを溜めて後半に行くにつれて自分が欲しい待ち方に固執する展開が状況打開に響いたように見えた。手札が増えたことによる予想外の弊害。
  • マテウスのように身体能力のアドバンテージで「顔が出ていない狭いスペースにボールを出してもいきなり走り込んで受けてくれるような選手」はいなくなった。より緻密で計画的、意図的なボールの動かし方が必要になって来る。森島が顔を出す瞬間。“司タイム”を上手く使えるようになって欲しい。

Leave A Reply

*

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
Hatena Bookmarks
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE