なホームも残り2節。何とか勝利を持ち帰りたい状況でしたが、引き分けとなりました。
成功体験として喉から手が出るほど欲しかったこの試合での勝利。
何が起きていたのか?
試合情報
(鳥栖サイドはポジションがかなり入れ替わるので以後、番号の部分はポジション表記とします)
鳥栖の形
鳥栖は424と前線のサイドを大幅に上げた布陣を取った。結果名古屋のウィングバックの立ち位置は、鳥栖サイドバックに付く=高い or 鳥栖サイドハーフ(ウィング?)に付く=低いの2択を迫られた。
名古屋ウィングバックが鳥栖サイドハーフに付いた場合、サイドバックが浮いた所を使う。鳥栖サイドバックに付いて、ビルドアップの6枚(4+2)に対してのプレスに参加するなら、CBが必然的に横に釣り出される形になる。
鳥栖のボール回しはあくまで目の前の人をズラしたり、アタックポイント(刺しこんで連動する瞬間)を作る為では無く、名古屋の形の穴を作る事を狙っている。最終ラインでのボール回しでプレスを引き出し、勝負はスペースを使った個人のクオリティ対決と、ルートを省略した事による空間の優位を引きだそうとしていた。
(例:長沼のハンドのシーン。後ろ6枚のビルドアップ部隊にウィングバックが付いていけてない事で発生する名古屋のセンター横のポケットを利用し、ウィングバックに運びと裏抜けの2択を迫る。)
名古屋が楽だったのは朴が長いボールを出さない時。プレス脱出を6枚に任せ切る形が多く、プレスで詰まらせると424の前線とセンターの間にかなり広い空間ができる。
そこに溢れたボールの反応は鳥栖の前線4枚の強烈な前向きの意識のベクトルのおかげで名古屋がかなり有利に回収する事が出来た。(ex:16:30~)
名古屋が突いた相手の穴
鳥栖は持たれる時間が長くなるにつれ、「前線でのプレス」から「引いてブロックを作る」に移行する際のサイドハーフの立ち位置が曖昧になってくる。
前でのプレスで名古屋陣内の深い位置まで上がったあと、ブロックに移行するならば、本来は名古屋がよくやるようにサイドの選手も引いて4-4(4バックの場合)を作らなければならない。しかしその場合も戻ることができず、鳥栖のセンター脇のスペースが空く時間が増え、ウィングバック→CMのルートやウィングバックが内側に入る展開が増える。
(26:12の米本の差し込みの様に、プレスの第一波をかわすと鳥栖のサイドの選手がブロックに入るタイミングが遅れ、鳥栖がブロックを組んでいる意味が見えない時間が訪れる)
ブロックの曖昧さで言えば49分の久保→和泉のようにブロック間に差し込んでミドルレンジからフリーでシュートを打った場面もあった。
後半の工夫と鳥栖の修正
後半からウィングバックを高い位置に上げるのが名古屋の「点を取る姿勢」のデフォルト。
※デフォルト:あらかじめ設定されている標準の状態のこと。この場合は名古屋グランパスは点を獲りに行く場合はウィングバックを高い位置にするというのが約束事だということを指す
ウィングバックのレーンを誰が見るのか?に関して後半も相手が曖昧だった事もあり野上、藤井が上がる機会や、ウィングバックを落としてFWが抜けるという、山崎のレッドカードのシーンに代表されるようなかたちが増える。
1枚減ってからも423の様な形を作り外側のアプローチはキツくする事がなかった鳥栖を見て、名古屋はウィングバック+αで鳥栖を外に引っ張り逆幅(逆サイドへのサイドチェンジ)と中への配球の使い方分け始める。
75分、藤井のクリアを回収してからの鳥栖の一連の攻撃後から鳥栖のビルドアップが4+2から2+4に変わった。センターの脇を空けていた前半と違い、名古屋のセンター脇に人を立たせる事で、今度は逆に名古屋のプレスを曖昧にさせる。
この辺りから名古屋が引く展開へと変わった。
稲垣がプレスにでるのか?森島が行くのか?といった部分も曖昧になり始める。
前のプレスが曖昧になって起きたのが野上の釣りだし。
構えてしまうなら野上は富樫が顔を出す位置で構えていればよかったが、稲垣が鳥栖のボールのスライドに反応した為にハーフスペースの管理が野上or前田の2択になる。
この瞬間前田は自分の前残りの為に野上にハーフスペースを見ろと指示を出した。
稲垣がボールサイドに出る事も前田が残る事もおそらく想定してない交代直後の内田と森島は、守備のアドリブについていけるはずも無く野上と中谷の間にスペースが出来た。
失点はこうして起きた。
試合雑感
- 夏場から守備に関して劇的に改善が見られたキャスパー。今回の様に後ろに気を使わずにコースを切る仕事なら永井といい勝負が出来るぐらいの出来に。受け渡しや回収ポイントを見極めながら動く部分は酒井に軍配があがるが、相手によってはエグい効き方をする守備
- 相手のFPの守備者にクオリティが左右されない決定機が2回あっただけにそこが入っていれば。だった
- 特定の選手が入った時に、「いままでの成功パターン」を捨て始めるのはかなり厳しい。
- 福岡戦に続いてまたも成功体験が勝ちに繋がらなかった。底を抜けたというよりは今までのチームに比べ明らかに「対名古屋」をしてこなかった為に感じる「底を脱した感覚」偽物でもいいからここでポジティブな矢印を得たかった。
さいごに
ACLEやACGLのレギュレーションの詳細が発表されていないため、上位に残ることに意味はあります。
残りの試合。まだ24シーズンの準備ではありません。全力で一つでも上を。