冷たい風が身に染みるシーズンINとなりました。36000人に勝利を届けることができませんでしたが、監督の口調としては想定内といったところでしょうか。
監督コメント:明治安田J1リーグ第1節 鹿島戦後 監督会見 | インサイド・グランパス
試合情報
ポポヴィッチ監督の『良い選手であればどこでも出来る』という持論から知念がボランチ起用。それに加え、加入時から下馬評の高いチャブリッチ、新卒の濃野がスタメンに名を連ね、選手の出入りは名古屋より多く無い鹿島。
対して名古屋は選手の入れ替わりに加え、プレシーズンからも選手配置がかなり変更がなされたスタートとなった。
ビルドアップ阻害
鹿島のビルドアップ阻害と影響
3センター採用の名古屋は基本的にWBが孤立する状態となる。特にこの試合では鹿島のブロックが中央に絞った形をとった事に加え、土居が稲垣を見張るような形を取った為、森島がボールを引き出す。
IHの選手がハーフスペースから離れる状態になるとWB→IHの最速の供給ルートが失われる為、相手としてはWBにボールが渡ると受けに動いて来る次の選手を潰す事でビルドアップの阻害が完了する。
左は知念が和泉に強烈にマークについており、あからさまに山中で詰まらせる意図が見える。一方で右は野上が持っている時点でかなり早く仲間がプレッシャーに出てくる。加えて森島がビルドアップサポートの出張に出てる影響もあり、WBが孤立していても対複数にはならず、パトリックが降りてくる事で数的不利や孤立感は解消される。
これがキャスパーとパトリックの縦関係の配置のからくり
対阻害の解決
鹿島のビルドアップ阻害に対する対抗策として、和泉が前線に吸収される形の343のような配置を取ってブロック間に空間を作った。傍からみると森島が降りている状況で和泉が前に張ると地上戦の受け手が居なくなるように見えるが、空間を作る事で孤立したWBに対して空間を与え、勝負ポイントを作る。外に振った時のアタックポイントを作ることで鹿島のブロックが徐々に下がり広がってゆく。前半の山中から作るチャンスが増えた時間を境にハーフコートで試合が進むようになる。
守備の目的
PSMでは433と532の併用が上手くいかずに後半頭から343のハイプレスで乗り切ったが、この試合では532のブロックを組む形を選択。4231の鹿島はきつい制限が無ければ名古屋の2トップの脇からボールを運ぶ。
運ばれたボールの処理をどうするか?が問題だった。
前半6分名古屋の右から運ばれた際は森島が運びに食いついて、野上がカバーに入りインターセプトからチャンスを演出。一方左では和泉の出足が渋かった。
運ばれるボールに対して和泉の出足が渋かった原因としては濃野のオーバーラップと井上対チャヴリッチのマッチアップの危機感だろう。
両サイドCBに対してFWを張り付かせる事でWBに対してSHとSBで優位を取るような鹿島の決まり事も名古屋を苦しめた。
限定的な場面の例として和泉の出足を指摘したが、最終ラインの連動する動きの渋さももちろんある。守備目的として「今おこなっている守備の終点はどこか?」が曖昧だった。失点しない為なのか?それとも攻撃に移るためなのか?その為に今、ブロックを組んだら相手の一連の攻撃をどう収束させるのか?
特に長谷川監督は「攻撃の言葉」を強く掲げているだけに、守備という局面の時間を能動的に行う事が必要だろう。
約束事があるなら選手達は失敗しても良いので行動しないといけないし、監督が落とし込めていないのかもしれない。そこは練習や普段の声を聞いていないので責任所在を追究するつもりはない。
この守備目的の曖昧さを見ると長谷川監督が「経験の少ない選手たちの前に稲垣を置いておきたかったので。」と言って稲垣をアンカーにした理由も納得出来る。
ローテーションアタック
左右どちらも見られた攻撃としてはWBとIHが外と内側を入れ替わって侵入する形。後半は鹿島がプレスを強めた事もあり、前半のブロック間のポケットが鹿島の間延びによって生まれた。
それに伴い左の倍井、小野、森島のユニットアタック。右の野上、中山(久保)、森島のローテーションでのハーフスペース侵入の回数が増えていった。
試合雑感
- アップの時に気になった各選手のキックに対する粗さ。試合でそのまま出てしまった気がする。アップからもう少し丁寧に蹴るだけで感触が変わりそう。
- 技術云々は向上心のお手本、米本先生の背中で学んでください。
- 点数程内容は悪くない。という感触の試合が久々。
さいごに
久々の好奇心。チームはどこにむかうのか。