どちらのチームも強度と思考力のバランスに悩んでいる印象が強い両チーム。イレギュラーが早い時間帯から起きましたが、お互いの意図を探りながら振り返ります。
試合情報
2なのか3なのか
目を引いたのは名古屋の形。
磐田の中盤に対して、名古屋の中盤はダイヤモンド型の配置を取った。
磐田としてはこのダイヤモンドに対応してセンター2枚が縦関係になる状態が具合が悪いように見えた。
それに加え、名古屋インサイドハーフ(以下IH):森島司・倍井謙の対応に磐田サイドハーフ(以下SH):松本・平川が絞らざるを得ない状況になった。
すると本来ミスマッチになるはずの大外での磐田2名:名古屋1名の数的優位が失われ、結果的に1対1の構図を作り出すことに成功する。
01:12~のような山中が内側に立って優位を取ってから倍井→山中で外側をアタックし直すような形は、名古屋のダイヤモンド配置によって磐田のSHが絞らされている状態を、攻撃のスタートから作る事が出来ている事がポイントであった。
01:12〜からの文脈で言うと、そのあとの倍井のクロスもダイヤモンド型による磐田のSHとセントラルMF(以降CMF)の守備のベクトルが外と前になっている状態から来る空間(CMFとCBの間)を利用したクロスの刺し込みであった。
相手の意図をずらす
磐田の理想の基本型は、2CMFを2FWの背中で隠しつつ、ボールサイドのSHはウイングバック(以降WB)へ寄せ、逆サイドのSHは中央で絞る形(非対称の5角形)
実際は非対称の5角形のプレッシングで制限がかかるかと思いきや、名古屋のIHが降りてきてWBの脇に顔を出すと磐田SHは絞って名古屋IHに寄ってしまうので低い位置でWB→IHにマークがズレてしまっていた。
マーキングの切り替えの遅れが磐田のSBの寄せの速度と精度に直接関わって来ていた。
結局の所、磐田の非対称の守備は名古屋のビルドアップの始まりを制限する事は出来ていたが如何せん「守備の終点」が見えなかった。
名古屋のビルドアップの脱出の終点は磐田のボランチの裏。そこに対する設定が無い磐田は上原、藤原の裏に出るボールのアプローチが曖昧になっていた。名古屋としては如何に一列飛ばせるか?磐田は飛ばさせないか?の構図の攻防となった。
形を壊す動き
最終ライン3枚に対してCMFを消している磐田のFW2枚。WBをSHでピン留めしている状況では両脇のセンターバック(以降CB)に対してプレスを掛けて詰まらせる事が出来たが、名古屋の得点シーンは後ろが4枚に対して2枚を消す形。CB‐CMFで挟まれたFWはSBのポジションから斜めに入るボールを制限することが出来なかった。
ボールサイドから順番に圧縮している磐田の逆サイドの大外は完全なフリー。ボールを振れば磐田はまた圧縮の為にボールサイドへ圧縮をする。倍井の蹴るボールは磐田の守備の矢印の逆をつくような形。
一見すると運のように見えるボールではあるが、効果的な球を蹴っている事が分かる。
何処で優位を取らせるのか?
中盤2枚を形で消す磐田に対して、名古屋は中盤に如何に張り付くか?をベースに考える。2センター(藤原、上原)に対して森島、倍井、永井の3人の内2人が必ずマークを受け渡しながら張り付く。
その張り付きに対して、平川、松本が絞って脱出ポイントを作る。
脱出ポイントが作られると、名古屋は3人で2センターを見ていた構図から守備者を一人落とすような動きを見せる。
SHを絞らせれば磐田は高い位置での保持の時間を増やせるが、名古屋の中盤の守備者が増える事となる。一方で、SHが広がる展開では低い位置での保持となる代わりにピッチを大きく使うことが出来るが、個人での剥がしなどの技量に左右される事となった。
後半は前線が1枚になり、センターの部分マーキングがほぼ不可能になった事で磐田は高い位置での保持がしやすくなった理由が上記の形から分かる。
試合雑感
- レッドカードの場面。ああいう判断も含めて「守備技術」は相手を想定する力。特に自分のミスが原因の今回に関しては「頑張った結果」「若い経験」ではすまされない。
- 名古屋のビルドアップがよかった!というよりは名古屋に対する局面の設定やプランニングの甘さにとんでもなく助けられた試合。実際このプランニングの相手で1点しか取れなかった部分を整理する必要がある。
- 中盤3枚でやり続けました!の意味が実は今シーズン一番出ていた試合。
さいごに
すこしずつ、やりたいことへ