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「相手を観る事」の大切さ 2024年J1リーグ第15節 サガン鳥栖戦マッチレビュー #グランパス #grampus #sagantosu Y0171

対戦相手がいるスポーツでなんとも不思議な2連勝。

この2連戦を通じて「相手を観る事」の大切さを学んだ。

試合情報

1.サガン鳥栖・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
1.サガン鳥栖・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ

相手を考える大切さ

名古屋の試合を見るときに再三ポイントとしてあげているのは「名古屋の得意な局面を如何に潰すか?」というキーワードである。

直近の浦和、セレッソ戦は相手盤面の上手さで苦労する試合だった。

一方でマリノス戦の様に非保持の局面で名古屋が優位を取る形での成功した試合もあった。

今シーズンの名古屋は「非保持」の良し悪しが試合全体の時間軸に影響を与えてきた、と断言して良いだろう

(※各試合レビュー参照)

サガン鳥栖戦はこの試合、名古屋の前線3枚のプレスに対して優位を取ってスタートするような仕草は見られなかった。

最終ラインにはCB2枚+GKという配置で、それに加えて中盤の底に河原or手塚を配置している(下図参照)。

相手の枚数だけを見ると4:3で名古屋側が不利を背負っているように見えるが、鳥栖のビルドアップ部隊(朴・キム・木村・河原)は「持つ」という意思表示を強く見せていた。そのため鳥栖ビルドアップ部隊4枚は中央で距離感が近く配置をしており、すると名古屋の前線3枚はそのビルドアップ部隊の幅で睨み合いをするように立つだけでボールの前進は防ぐことができた。

2.鳥栖のビルドアップ部隊を消す名古屋の前線3枚
2.鳥栖のビルドアップ部隊を消す名古屋の前線3枚

鳥栖はこのボールを前に進ませられない状態を打開するにはどのようにすればよかったのか?名古屋が苦手とする状況に持ち込むというのが1つの解。この盤面から高い位置を取る長沼・原田のSBをビルドアップ部隊のフォローに降ろせば良い。

そうすることで名古屋のプレス部隊が構えても、数的優位を作りながら前進する形を取り、名古屋の前線のプレス部隊がプレスを掛けざるをえない状況を作り出すのが鉄板である。

鳥栖が特徴的だったのは河原と手塚のサポートの動き。

SBを降ろして最終ラインで優位を取るのではなく、河原や手塚がCBの脇に入ることでプレス部隊の釣り出しや名古屋の守備の選手間の距離を開けようと試みる。

ここで出てくる疑問はSBが落ちる事とボランチの選手が脇に流れる事の何が違うのか?という点。

鳥栖はトップ下を採用している以上、中央は3枚(手塚・河原・菊地)で名古屋のセンター(稲垣・米本)に対して数的優位を取っている。しかし、河原や手塚がビルドアップ部隊のサポートに降りてしまうと中央が数的同数になる。

名古屋としては相手が自分たちからプレスをされに来てくれるような状況となる。

3.鳥栖の中央の選手がビルドアップのサポートに入ることで名古屋のプレスがハマる状況ができてしまう
3.鳥栖の中央の選手がビルドアップのサポートに入ることで名古屋のプレスがハマる状況ができてしまう

河原や手塚が降りたタイミングで張っているSBやSHの選手が同時に降りて顔を出したり、配置を交換するような動き(※浦和戦のグスタフソン、安居、伊藤の関係を思い出して欲しい)があるのかと思ったが、基本的にサイドの選手前方での質のギャンブルをする待ち方が多く。配置を変えた所で相手から生まれる物は少なかった。

長沼や菊地が絞ってガンバ戦の時の時のような中央で四角形を作るような形を作っている時間もあったがガンバ戦と違い森島が前に出ていかなかった事とガンバと違って立ち位置の変化が個人がボールを受ける為の変化であった事。そこが苦労したガンバ戦と違った所だった。(ガンバはプレスをどうやって機能不全にするか?という目的だった。)

どちらのチームも自分達のやりたい事をやるチームではあるが、「非保持」から考えている名古屋の方が「相手がいる事」を考える時間が明らかに長い。チームや選手が何処を見てるのか?その差が見えた試合に感じた。

ビルドアップの快適さ

名古屋のボールの運び方を考えるよりも鳥栖の守り方を考えたほうがビルドアップに関しては話がしやすいだろう。

名古屋の3421に対して442でブロックを組む形を取る。前線の2(菊地・ヒアン)-4(富樫・河原・手塚・横山)のブロックが名古屋の2センターを囲む形でボールの前進を阻む。

当然鳥栖の前線の守備と名古屋の最終ラインでは人数の相違があるわけで、出ていかなければセンターにボールを通されることは無い。

そこで名古屋は保持の時間帯ボールサイドのセンターバックである吉田や三國をワイドに広げることでサイドハーフ(横山・富樫)を釣り出す。

その際に重要だったのが大外に立つ名古屋の選手の動き。

右なら内田、左なら倍井がSBを押し込むことで鳥栖の最終ラインと中盤以降のプレス部隊を分断した。

大外の選手の押し込みでSB‐SH間に空間出来るのであとはIHに立つ選手(右:森島、左:和泉)がサイドに捌けてボールを受け取ればいとも容易くボールが前進出来てしまった。

4. 4-2ブロックで名古屋のセンター(稲垣・米本)を消そうとするが、ブロックが維持出来ない
4. 4-2ブロックで名古屋のセンター(稲垣・米本)を消そうとするが、ブロックが維持出来ない

原田のファールについて、なぜ彼があのように無謀なファールをしなければならなかったのか。

鳥栖は中央を絞って配置しているので、SHとSBの間に空間ができてしまう。その空間をどうするのか?が決まっていないように見えた。

その証拠に空間にボールを刺し込まれたら、鳥栖ボランチは引いて埋める形しかとらない。

その為、上図のように和泉・倍井に+米本で数的優位を取られたら、中に渡る選択を防ぐため、SBが強くチャレンジするしかなくなる。

結果彼がもらった2枚の警告は、守備の約束の曖昧さの煽りをもろに受けた鳥栖の攻守の設定のエラーの煽りを一人が背負った状況で何とも切ない物であった。

ハイラインにも関わらず圧縮している空間の管理は行われていない所が名古屋としては非常に楽な状況で、この試合に関してはハイラインにして何をしたかったのか?が相手から見えて来なかった。

(BSの中継でも解説の早野さんがハイラインにするだけの鳥栖について疑問を持っていた。)

名古屋としてはパトリックや内田、倍井の最終ラインとの駆け引きを促してくれる良い手助けになるだけであった。

試合雑感

  • 鳥栖が相手を見てる場合じゃない。のかよくある「自分達のサッカーを〜」なのかはわからないが試合としては勝ててうれしい反面、サッカーとしては何とも不思議な試合だった。だからこそうちの選手のプレークオリティが雑になった所はかなり気になる。そこは相手に依存しない所なので相手がどういう状況であろうが常に追い続けないといけないところ。
  • 1vs1でどこまで壊せるか?に賭けた相手に対して、内田、三國、吉田の仕事がGOOD過ぎた。
  • ここまでWBに翻弄されるか。というぐらいには大外の選手に翻弄された鳥栖。外から最終ラインの戻しも追わなかったりと外の考えが薄いのはよくわかった。
  • パトさんありがとう!の試合。

さいごに

よくわからない試合続きですが、自分たちのクオリティを追究するチャンスでもある。

必ず来る強敵に備えるレベルアップ期間を大切に。

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