近郊チーム同士の開催で3万人を越す来場者の中で3連勝。
川崎、新潟とは違う「負けない設計」を組んだ磐田。
苦労した前半を中心に振り返る。
試合情報
ポジション名 | 名古屋グランパス | ジュビロ磐田 |
GK(ゴールキーパー) | ランゲラック | 川島 |
CB(センターバック) | 内田・三國(みくに)ケネディ・河面(かわづら) | ハッサン ヒル・リカルド グラッサ |
SB(サイドバック) | ー | 植村(うえむら)・松原 |
WB(ウイングバック) | 野上(のがみ)・徳元(とくもと) | ー |
CMF(セントラルMF・ボランチ・センター) | 椎橋(しいはし)・稲垣 | レオ ゴメス・中村 |
IH(インサイドハーフ)・シャドー | 和泉 | ー |
SH(サイドハーフ)・WG(ウイング) | ー | 高畑(たかはた)・松本 |
FW(フォワード) | 永井・森島 | ジャーメイン・渡辺 |
ビルドアップの限定とセンター消し
磐田はSHをサイドライン際に立たせる形とは違い名古屋のCMFの脇の絞った位置を取る。
一見すると外のボールの配球ルートを捨てているような形ではあるが、SHが内側に絞って2センターを囲む事の方が厄介だった。
名古屋は前半からセンターの囲みにボールが入らない。IHに直接というのもSHの立ち位置でWBやCBからIHへの配球も消されている。そうなると唯一の配球ルートはWBからCMFやWBからIHといったルートに限定される。攻撃のスイッチがWBに限定されている中でCBからWBへの距離はCBーCMF、WBーCMFといった距離感よりも遠い。その為に磐田のSHがCBーWBへの配球の間に外に寄せる事が出来た。
前半の早い時間に椎橋が磐田の囲みを避けてサイドバックに降りたが、中央に残されるのが稲垣、左サイドのIHが永井、CBが河面ということもあり、椎橋が逃げた後のスペースを有効に使用する事は出来なかった。
逆に稲垣が磐田の囲みを前に抜けて椎橋を残した瞬間は磐田の2ボランチから中央で綺麗に優位を取る形を作る事が出来た印象だ。
前半の10分程で椎橋がサイドに捌けても状況が変わらない事で地上戦に踏ん切りをつけた。
最終ライン吸収のデメリット
守備局面での442以外も名古屋の急所だった。SHが絞る事で名古屋の最終ライン対磐田の前線4枚という構図が出来る。
前節までの形で稲垣が最終ラインの数的優位分のマークに入って同数での対応を取るが、稲垣が押し込まれている状況が出来ると中盤の管理が椎橋が担う事に。中盤での攻防が2ボランチ+顔を出す選手の管理を椎橋+アドリブ前線1枚が担うという構図になり、守備部隊が手前に出てくるなら最終ラインの周りと裏抜け、出てこないならIH+SB+FWのユニットでサイドから。
前半で地上戦をやめた事に加えて、守備でも特に最終ラインにプレスを掛ける必要も無いのでトップ下に和泉を置いても仕方ない事もあり、パトリックを投入する。パトリックもポストプレー専用機かと言われるとそうではなく、“大きい和泉”ぐらいの感覚。和泉よりも相手の守備選択肢に「立体的な空間」をプラスで突きつけることができた。するとその分磐田の守備の囲みが広がりだすことになる。パトリックを見るためにボランチが数m押し込まれたためだ。
さらに森島が頻繁に磐田の守備囲みの中に降りてくるようにする修正を入れたこともあり、手詰まり感は解消された。
試合雑感
- 磐田みたいな「負けない設計から考えるチーム」の方が相手を見てるので名古屋としてはやりづらい。川崎、新潟より相手を見た守備設計に苦労した。
- チームの心臓枠の山本が抜けた今シーズン。尚且つ今節は上原不在で磐田のボランチがどうふるまうか?が気になったが、レオゴメスが厄介だった。
- 2点目は菊地、森島に沸く裏で磐田としてはかなり切ないエラーだった、競り合う選手が被った事でパトリックをその後ろのスペースがフリーに。鈴木もイレギュラーなカバーに入って菊地に股を通された。
さいごに
蓋を開ければ国際大会出場枠も狙える可能性が出てきました。徐々に涼しくなってきた季節に負けない熱い試合を。