Instagramを中心に活動しているKeyさんは、新エンブレムを考えるSOCIOプロジェクトの一員。新エンブレムを使い始めてはじめての決勝戦で去来するいくつもの想いについて語っていただきました。お読み下さい!
62,517人の観客の感情で湧く、国立競技場
北側に起こる歓喜の波にもまれながら、私はホッとする思いにも満たされていた
直接ことばで交わしたことはないが、
この大人数の中にいたあの時を共に過ごした仲間たちも、同じような感情を抱いていたと思う
私は第1期、新エンブレムを決めるGRAMPUS SOCIO PROJECTのメンバーだった
2023年12月10日
晴れ渡る栄・MIRAIタワーの下でお披露目となった新エンブレム
真っ青な空に、悠然と広げられた赤い横断幕
その中心で輝くエンブレムを見た時は、ただただうれしく感動した
一方で多くのメンバーが、その瞬間にSNSを見て回り
「高評価だよ」「かっこいいっていってるよ」と安堵していたのも一つの事実だ
エンブレムの変更でサポーターから厳しい意見が飛び交う、それは特段めずらしい光景でもない
だからこそ、第一関門は突破した、と安堵した
選出された不安と数多くのファミリーからの無言の視線からひとまず放たれたと感じたのだ
年をまたぎ開幕 こうなると芽生えるのが次の不安だ
「エンブレムを変えたせいだ」この言葉が簡単に頭に浮かぶ
新エンブレム初年度 結果が伴わなければいとも簡単に不満の標的になるのは
これまでのSNSの流れを見ていると自然と想像がついた
それを色濃くするような開幕3連敗という2024シーズン
正直、怖かった 不安だった
クラブの中の人でもない、クリエイティブの実働者でもない
責任なく関与できた気楽な立場
それでも、多くの応募の中から選ばれたメンバーであったこと
数カ月にわたり何時間も真剣に考え、話し合ったという、託された立場という感覚はあった
だから、苦しい時があっても、なんとか前を向き
数歩進んでは、数歩戻るような状態でも歩みを止めず
ルヴァンカップの決勝に駒を進めたときは、本当に、本当に、心の底からホッとした
永井選手が、試合前日コメントでも語ってくれた
「エンブレムが変わって、はじめての年だから」
(永井選手は、新エンブレム発表の場にも同席をしてくれた
途中途中のプロジェクトの経過報告でも、選手代表で参加をしてくれていた)
選手が誇れるエンブレムを
胸に掲げたくなるエンブレムを
闘う力になるエンブレムを
ミーティングで何度も飛び交った言葉の一つ
新しいエンブレムを背負うのは、きっと選手にも心の片隅であっても、思いや意味があったと思う
選手個人にとっての初タイトル、退団するランゲラック選手への花道、今回はファミリー側から見るだけでもいろんな思いを抱く決勝だった
重みだけでなく、その存在が闘う理由にもなっていたら、ちょっと嬉しい
そしてエンブレムだけじゃない
- Never Give Up for the win
- Challenge for the Top
- Open Mind for the Grampus Family
クラブのグランドハーパスを、ファミリーステートメント
これもまた、心の拠り所になった
苦しいときも思い出し、心に刻んだ
11月2日、国立決勝の舞台を迎えられて本当によかった
心に刻んだからこそ
みんながひとつになる思いを明らかにしたからこそ
何が何でも一つのタイトルは、とみんなの思いがこの日まで繋がったのかもしれない
そして、もう一つ
これは個人的なこと
私は濃淡はありながらも、2007年頃からグランパスを追う中心としてきた
でも、大舞台の試合に、現地で立ち会ったのは今回が初めてだった
忘れもしない、3年前のルヴァンカップ決勝戦
私はこの日仕事だった
奇しくも仕事スタートはキックオフと同時刻
スタメンだけ確認し、ウォーミングアップ開始と共に集合場所に赴く、そんな状態だった
準決勝より前に予定の入った仕事は、私個人では交渉の余地もなく、絶対に日程が変えられないもので
チケット争奪戦にすら参加する権利はないのかと、悔しさに打ちひしがれた
仕事中は恐ろしいまでの仕事脳に切り替わるタイプだから、経過を気にすることはなかった
潔く、通知さえ仕事を阻害しないように電源を落として現場に向かったほどだ
仕事終わりは3時間後
訪問先を出て、お客様とも別れ、一人駅の片隅でスマホの電源を入れた
そこに広がっていたのは、歓喜の世界
ひとり、取り残された気分だった
うれしいよりも、安堵よりも、見られなかった悔しさが、さみしさが勝っていた
私だけ話についていけない そんな気持ちがあの日、心を埋め尽くした
今、ここ明かすと
あの日、仕事に出かける前に録画したテレビ中継
悔しくて、心が拒否をして、実は一度も再生していない
未視聴マークがついたまま3年間を過ごしてきた
テレビを交換したら見えなくなるHDD録画
見ていないくせに、消せもしない テレビの劣化がはじまっていても、テレビの買換さえできない
あの瞬間を見られなかったことが、小さなガラス片のように心に刺さっていた
それもようやく、終わりを迎えた
つらい記憶は、喜びで上書きする
幸運にも3年でその日は訪れた
ここまで連れてきてくれてありがとう
最高の舞台をまた見せてくれて、本当にありがとう
苦しいシーズンのはじまりだった
ケガ人も多かった
試合結果によっては飛び交うブーイング、荒れるSNS
それでもマイナスに引きずり込まれず、前を向き続けた、闘う姿勢を見せてくれた選手たちに
大きな感謝を
胸に新たな星を
5つ目の星を
エンブレムが変わったこの年に
この瞬間が訪れて本当によかった
シーズンはまだ終わらない
リーグは続く
この勢いを途絶えさせず、エンブレムのように上昇気流に乗って
最後まで闘う姿勢でファミリーを鼓舞し、強い気持ちを与えて欲しい
グランパスが自然と傍にある日常、愛知の街へ
今回、優勝の報道が、街の中に想像以上インパクトを残すことを改めて肌に感じた
普段はJリーグを見ていないであろう人からも「おめでとう」と声をかけられる
「優勝したんだよね」と口にしてもらえる
私は全然関係ない外の人だけど、好きなものが広がっていく
受け入れられる、それってすごくうれしいことだ
Open Mind for the Grampus Family
グランパスのある未来が、充実したものでありますように
スポーツの応援って、楽しいことばかりじゃない
常勝するわけじゃない 泣きたくなるような、イラつくようなときもある
それでも、気持ちひとつに、勝ち上がったときの喜びは、何よりも最高の瞬間だ
何年か、下手したら10年以上もだけど、いつか訪れるその時のために熱量は積み上げられていく
今回、肌で感じた喜びは(試合展開も、その前後を取り巻く遠征の記憶も色濃いからこそ)、きっと一生忘れることはないだろう