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[コラム] #柿谷曜一朗 トークショーに見る非公式ファンエンゲージメントの可能性 #なごや商業まつり

2025年11月30日(日曜日)に、名古屋市中小企業振興会館で開催される「なごや商業まつり」の一環として柿谷曜一朗さんのトークショーがあり、またその場では14時からの町田ゼルビア戦のパブリックビューイングも行われるというのです。

注目したいのは、このイベントには名古屋グランパスが一切関わっていないことです。後援枠にも入っていません。

つまり、完全に非公式で行われる名古屋グランパスイベントということです。

ファン・エンゲージメントとは?

ファンエンゲージメントとは、スポーツチームやブランドとファン(支持者)との間に生まれる「深い結びつき」や「能動的な関わり」を指します。単に観戦や購入をする受け手ではなく、SNSで情報を共有したり、イベントに参加したり、体験を繰り返したくなる状態をつくることを意味します.

なぜ重要か

高いファンエンゲージメントは、観客動員やグッズ・チケット売上の増加、SNSでの拡散(口コミ)やリピート率向上につながります。ファンがチームを「自分ごと」として感じるほど、経済的・非経済的な価値が高まります.

具体例

  • SNSで試合の舞台裏動画や選手のQ&Aを配信してファンの参加を促す。これにより親近感が高まり支持が強化される.
  • 会員アプリなどのタッチポイント(ファンと触れあう場)で限定コンテンツや特典を提供し、ファンに特別感を与える.
  • 試合中のファン投票やスタジアムでの体験型イベントで、観客が能動的に関与できる場を作る.

測る指標(KPI)

  • 参加・反応系:投稿のいいね、シェア、コメント数やイベントの参加者数.
  • 行動系:チケット購入数、グッズ売上、リピート購入率.
  • 認知・価値系:SNSでの言及量(口コミ)、ブランド好感度の変化(グラぽがずっとやってきているのは、このSNSでの言及量の向上の取り組みです)

今回の事例は将来の可能性を示す

地元商工会議所が元選手を招いてパブリックビューイングを開催する、という事例は、チーム非公式のファンエンゲージメントが持つ可能性をさらに具体的に、そして多角的に示唆する絶好のケーススタディです。この取り組みは、単なるファンの集いを越え、チーム、ファン、そして地域社会が三位一体となって新たな価値を共創する「エコシステム」の萌芽と言えるでしょう。

🤝 地域を巻き込む「共創型」エンゲージメントへの進化

この事例の最大の特徴は、主催がファン個人や私設応援団ではなく、「地元商工会議所」という地域経済の中核を担う公的な団体である点です。これにより、エンゲージメントは以下のように深化・進化します。

  • 「点」から「面」への広がり: ファン個人の「好き」という情熱(点)が、商工会議所というプラットフォームを通じて地域の飲食店や商店(面)へと繋がります。パブリックビューイングの前後に参加者が地元の店で飲食をすれば、直接的な経済効果が生まれます。これは、スポーツを核とした持続可能な地域活性化モデルの構築に繋がります。
  • 新たなファン層の開拓: 「サッカー(や野球など)は好きだけど、スタジアムまで行くのは…」と感じていた潜在的なファンや、地域住民にとって、地元のイベントは参加へのハードルが格段に下がります。これにより、これまでチームと接点のなかった層を取り込むきっかけが生まれます。
  • 地域全体の「自分ごと化」: 地元の団体が主催することで、そのチームの勝敗が単なるスポーツの結果ではなく、地域の関心事へと昇華します。「自分たちの街のチーム」という意識が醸成され、地域全体の応援熱が高まる効果が期待できます。

👨‍🏫 「元選手」という触媒がもたらす化学反応

このイベントのもう一つの重要な要素が「元選手」の存在です。現役選手とは異なるユニークな価値を提供し、イベントの魅力を飛躍的に高めます。

  • ストーリーテラーとしての価値: 元選手は、チームの歴史や文化を知る「生き字引」です。自身の経験を交えた解説は、単なる戦術論に留まらず、試合の背景にある物語や人間ドラマをファンに伝えます。これにより、ファンはチームへの理解を深め、より強い愛着を抱くようになります。
  • 「あの頃」と「今」を繋ぐ架け橋: 往年のファンにとっては懐かしいスターであり、若いファンにとってはレジェンドです。元選手が参加することで、世代を超えたファン同士の交流が生まれるきっかけにもなります。
  • 本音の解説と親近感: チームのOBという立場だからこそ可能な、少し踏み込んだ「本音」の解説は、ファンにとって大きな魅力です。また、現役時代とは違うリラックスした雰囲気は、ファンに親近感を抱かせ、選手個人、ひいてはチームへのエンゲージメントを強化します。

📈 チーム側から見たメリットと賢明な関わり方

チームが直接運営に関与しないからこそ、得られるメリットは大きいものがあります。

  • コストをかけないプロモーション: チームは直接的な費用や人的リソースを投じることなく、地域での露出機会とファンとの接点を増やすことができます。
  • 地域貢献とブランドイメージ向上: 地元経済の活性化に繋がる活動は、チームの社会的価値を高め、「地域に愛されるクラブ」としてのブランドイメージを強固にします。
  • OBのセカンドキャリア支援: このような活動は、引退した選手の活躍の場を提供することにも繋がり、選手を大切にするチームであるというポジティブなメッセージを発信できます。

非公式ファンエンゲージメントが増えることでチームの人気も増えていく

地元商工会議所と元選手によるパブリックビューイングは、チーム非公式のファンエンゲージメントが、ファンの熱量を地域経済の活性化へと転換し、同時にチームの歴史や文化を次世代に継承する、非常に戦略的価値の高い活動であることを示しています。

これは、チームがすべてを管理・主導する中央集権的なファンサービスだけでなく、地域やファンが自律的に動き、それぞれが持つリソース(場所、人、物語)を持ち寄ってチームを支える分散型のエコシステムを構築することの重要性を教えてくれます。この自発的な熱量を尊重し、育んでいくことこそが、未来のプロスポーツクラブ経営における成功の鍵となるでしょう。

今回のなごや商業まつり、そしてパブリックビューイングイベントが成功することを祈っています

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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