和泉竜司。1993年11月産まれの32歳。

自分は千葉にルーツを持っているので、高校サッカーでは千葉の代表校を応援することがほとんどです。田口泰士も応援していたのは流経大柏出身だったからでした。
和泉竜司をはじめて認識したのは90回全国高校サッカー選手権大会。
自分は現地では逆側から見ていましたが、ボールを持ってからくるりとターンして間を抜け、シュートを決めます。今で言う三笘薫や山下諒也のようなギュンギュン言うようなドリブルではなく不思議と優美に抜いていき、ゴールを決めたのが印象に残りました。
そして決勝戦。2得点で市立船橋を優勝に導きます。決勝点は左サイドからカットインしてシュート。今もよく見られるカタチです。
いい選手だな、そうそのときは思いました。
その後明治大学に進学後は華々しい活躍。そして名古屋グランパスに内定したときに、あのときの選手!と気づき、喜んだものです。
しかし、2016年は降格の年でした。思うがままのプレーをさせてあげることができずに1年目が終わります。しかも得意な場所(FWやトップ下)で先発できず。
それでも柏レイソル戦、小倉隆史監督最後の試合での前線にまた優美なターンから出したスルーパスは強烈に印象に残っています。

2017年風間八宏監督に代わったあとは、便利屋使いをされることになります。(Football-Labのデータ)
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
フォワード | 4 | 0 | 0 | 0 |
左サイドハーフ | 0 | 6 | 2 | 19 |
トップ下 | 4 | 1 | 1 | 1 |
右サイドハーフ | 0 | 0 | 3 | 0 |
左ウィングバック | 0 | 4 | 0 | 2 |
センターハーフ | 0 | 11 | 8 | 2 |
右ウィングバック | 0 | 2 | 1 | 1 |
左サイドバック | 0 | 10 | 1 | 1 |
センターバック | 0 | 2 | 4 | 0 |
右サイドバック | 0 | 0 | 1 | 0 |
この4年間で、ゴールキーパー以外のすべてのポジションを務めました。2016年こそ17試合の出場に留まりましたが、2017年以降は37試合以上出場しています。
和泉竜司の最大の特徴は、左右WB・IH・SH・SB・WG・偽9番までこなせる、この圧倒的な適応力じゃないでしょうか。
それは
- 脳の処理速度の高さ
- スペース認知能力
- 小回りの効くボールタッチ
- 戦術理解度
これらが揃っている証拠です。そのためどの監督が就任しても「必ず使われる選手」として信頼され続けています。
もう1つの特徴はハードワーク × 質の高い判断です。
- ピッチ全体をカバーする運動量
- 守備時の戻りと切り替えの速さ
- 無駄のないポジショニング
- 相手の弱点を突く賢いランニング
- 受け手に優しい配球
「気が利く選手」の代表格であり、チームが苦しい局面ほど光るタイプとも言えます。
自分が好きな選手というとテクニカルな選手が多くて、小倉隆史だったり、玉田圭司だったり。そして田口泰士なんかもそうです。
和泉竜司は間違いなくその系譜にいるのですけど、なにか違う気もします。
もしかすると高校生のときはじめてみた第一印象の「優美さ」にあるのかもしれません。
そしてストーリーです。
2023年、4年ぶりの復帰の際に、我らがレジェンド中村直志の背番号を「特別な番号」と言い、それを選択したこと。
その覚悟にやられた感がありました。
彼が引退するまで応援しよう、その時そう思ったのです。
賢く、美しく、そしてチームを背負う覚悟をもってプレーしてくれる人。だからこそ自分は応援したい、と思いました。

