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名古屋グランパスアカデミーの2026年体制と新しい取り組み=IDPを本格始動 #grampus #ngeu18 #ngeu15 #ngeu12

2026年1月13日、名古屋グランパスアカデミーの体制が発表されました。

今回の変化では少し気になるところがあったのでそれをまとめます。

2025年アカデミーの指導体制の変化サマリー

2025年の指導体制は公表ベースで19名でしたが、実際には不記載のスタッフを含め22名体制でした。今年は3名の退任があったものの、復帰や新任・転任で補充され、総勢22名体制を維持しています。

名古屋グランパスアカデミー指導体制の変化 (2025-26)
名古屋グランパスアカデミー指導体制の変化 (2025-26)

変化を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 中村直志強化部長(元ディレクター)はトップチームに専念
  • 井口大輔サブディレクターがディレクターに昇格
  • 玉城航U-18コーチがIDPグループの統括・兼任でサブディレクターに就任
  • 佐枝U-18コーチがツエーゲン金沢トップチームコーチ就任のため離任。後任として古賀正紘湘南ベルマーレトップチームコーチが就任
  • 本間敬U-15コーチがU-18コーチに転任
  • 森川誠一U-18コーチがU-15コーチに転任
  • 今井位彦グランパスサッカースクール・スクールマスターがU-15瑞穂の監督に就任(兼任)
  • 仲勇磨コーチがU-15豊田に新任
  • 今泉純哉U-18コーチがU-11コーチに転任

グランパスみよしFCはグランパスU-15瑞穂へ

久保藤次郎(柏)や谷川萌々子(バイエルン)を輩出したことで有名なグランパスみよしFCはグランパスU-15瑞穂に再編されます。

それにともないアカデミーのスタッフ、スクールのスタッフが一部グランパスU-15瑞穂に着任しています。

IDP(個別育成計画)ってなんなの?

(以下は昨年の記事の内容をアップデート・大幅に追記したものです)

現在Jリーグのアカデミー組織では、IDPという個別育成計画を実施することが盛んです。

特に冨安健洋選手(アビスパ福岡→アーセナル)の育成にこのプログラムがいち早く適用されていたこと、イングランドサッカー協会が育成を立て直すために導入したことでも知られています。

今回アカデミーサブディレクターに就任し、IDP統括を立ち上げた玉城コーチは、かつて徳島ユースでこのIDPを立ち上げた方です。2025年にIDPに詳しい人を加入させることで、名古屋グランパスアカデミーの個を伸ばしていこうという取り組みがいよいよ始まりました。

世界に通用する選手の育成とは

JFAの「アカデミー・パフォーマンス・プラン」。このアカデミー・パフォーマンス・プランの中核を担うのが「IDP(個別育成計画)」です。

継続的な強化を行うために、トーナメント戦だけでなくリーグ戦を実施することで重要な高いレベルの試合経験を増やすことが重要です。これは高円宮プレミアリーグU18という形で実現しました。

しかし、リーグ戦を実施すると、今度はチームとしての成績を上げることが重視されてしまいます。これでは個々の選手のパフォーマンスは上がりません。

IDPが必要な理由

これまでの指導では、「チームの練習メニュー」を全員が同じようにこなすことが一般的でした。しかし、育成年代の選手は一人ひとり違います。

  • 成長のスピード(早熟か晩成か)
  • 得意なプレー(ドリブルか、パスか)
  • 課題(メンタルか、フィジカルか)

これらが異なる選手たちを、十把一絡げに指導するだけでは、個の才能は伸びきりません。「チームの強化」とは別に「個人の強化」の軸を持つためにIDPが作られます。

トップチームに上がれる選手は毎年0人から多くても4人。名古屋グランパスU-18から過去戦力化された選手といえば、吉田麻也選手、菅原由勢選手、藤井陽也選手、吉田温紀選手といますが、たとえば柏レイソルやサンフレッチェ広島のようにアカデミー出身者だけでスターティングメンバーの大半を占める、なんていうことはできていません。

「個の能力が高くなければトップチームでは活躍できない」というのが厳然とした事実です。

チームとしての強化と同時に個の強化も求められています。

単なる個別指導とIDPはなにが違うの?

中高生向け学習塾などでは、個別指導というのが盛んです。たとえば大学受験では受験科目はある程度決まっており、どれくらいのレベルの成果を出せば良いのか、ということがある程度わかっています。

なのでそこから逆算して足りない部分を積み上げれば良い、ということになります。

しかしサッカーはそこまで単純ではありません。細かく言えばポジションの種類は10種類以上にもわたりますし、同じポジションでもどういう選手、という選手像もさらに細かく分けることができそうです。

編集長の理解では、IDPは「どういう選手になりたいのか」=Willに対して、「現状のできること」=Can、その差分を「すべきこと」=Mustという3点を明らかにして、なにができるか、それによってどういう選手になりたいのか、ということを明確にしていく手法だと考えます。

WillとCan、Mustの関係性
WillとCan、Mustの関係性

【図解】Will-Can-Mustとは?転職の自己分析にも使える! | 転職・就職をお考えの方へmoovyの採用動画のご紹介 より引用

単なる個別指導との違いはこの「どういう選手になりたいのか」という選手像を定めるところから始まるというところではないでしょうか。これは人それぞれなので、パターン化して指導をラクすることはできません。本当の意味での個別指導ということになります。

これを編集長の前職では上司と部下の面談時にWill Can Mustシートというものにまとめており、IDPシートはそれとかなり類似しているものになっています。

IDPを構成する「4つの要素」

IDPを作成する際、サッカーのパフォーマンスを以下の4つの要素(4コーナー・モデル)に分解して整理するのが一般的です。

要素

内容

具体例

技術 (Technical)

ボールを扱うスキル

止める・蹴る、ドリブル、左右の足の精度

戦術 (Tactical)

頭を使うスキル・判断

ポジショニング、攻守の切り替え、試合を読む力

フィジカル (Physical)

身体的な能力

スピード、スタミナ、アジリティ、体の強さ

メンタル/社会性 (Psychological/Social)

心と人間性

闘争心、リーダーシップ、コミュニケーション、自己管理

3. サッカー個別育成計画(IDP)シートの例

氏名: __________ 学年: ____ ポジション: ________

作成日: 202_年 _月 _日 対象期間: _月 〜 _月(約3ヶ月間)

1. 振り返り(選手が事前に記入)

面談の前に、自分のことを振り返って書いてみましょう。正直に書くことが大切です。

項目

内容(具体的に書きましょう)

Q1. 楽しかったこと・うまくいったこと

(自信があるプレー、褒められたことなど)

Q2. 悔しかったこと・うまくいかなかったこと

(失敗したこと、悩んでいることなど)

Q3. 自分の「武器」は何だと思いますか?

(誰にも負けないポイント)

2. 現在地の確認(4要素分析)

選手は自己評価を、コーチは客観的評価を記入し、ズレを話し合います。

評価:◎(強み) / ○(標準) / △(課題)

4つの要素

チェック項目例

自己評価

コーチ評価

コメント・アドバイス

技術

(Technical)

止める・蹴る / ドリブル / ヘディング / 逆足精度

戦術

(Tactical)

判断の早さ / ポジショニング / オフ・ザ・ボール / 攻守切替

フィジカル

(Physical)

スピード / 持久力 / 強さ / アジリティ / コンディション管理

メンタル

(Mental)

戦う姿勢 / コミュニケーション / 聞く力 / 切り替え

3. 目標設定(ここから一緒に話し合って決定)

ワクワクするような目標を立てましょう。

【長期目標】(1年後〜3年後、どうなっていたい?)

(例:チームの中心選手になる、トレセンに選ばれる、〇〇選手のようなプレーをする)

答え:                                  

【短期目標】(次の3ヶ月で達成すること)

(例:左足のキックミスを減らす、試合で必ず5回はインターセプトを狙う)

答え:                                  

4. アクションプラン(行動計画)

目標を達成するために、「明日から具体的にやること」を約束します。上記の4要素に則していることが望ましいのですが、以下のようにもっと具体的な場面ごとの書き方でも構いません。具体的で定量的な行動計画が作れることが重要です。

場面

やること(具体的に!)

頻度・回数

① 全体練習の中で

(例:シュート練習は必ず枠に入れる意識を持つ)

毎回

② 自主練習で

(例:リフティング練習を毎日10分行う)

週5回

③ ピッチ外で

(例:試合の映像を見て、同じポジションの動きを真似る)

週1回

5. 合意サイン

この計画をコーチ(親)と選手で約束します。

選手サイン: __________ コーチ(保護者)サイン: __________

具体的なIDPの例(中学生FWのケース)

わかりやすくするために、架空の選手「A君」のIDPを見てみましょう。

選手プロフィール: 中学2年生、FW、スピードが武器だが、決定力に欠ける。

  • 【長期目標】
    スピードを活かして、確実にゴールを奪える選手になる。
  • 【今期のテーマ】
    高校年代でスタメンを張り、県代表に選ばれる選手になる。
  • 【4要素のアクションプラン】
  • 技術: シュート練習では「強さ」より「コース」を意識する。GKとの1対1のパターンを3つ増やす。
  • 戦術: 味方がボールを持った瞬間、相手DFの背後へ走り出す回数を増やす(オフ・ザ・ボール)。
  • フィジカル: 初速をさらに上げるため、ラダー(ステップワーク)トレーニングを週3回行う。
  • メンタル: 外した時こそ、すぐに次のプレーに切り替えて声を出す。

IDPを成功させるポイント

IDPは一度作って終わりではありません。以下のサイクルを数ヶ月(3ヶ月〜半年)単位で回し続けます。

  1. 評価 (Assessment):
    コーチと選手が面談し、現在の強み・弱みを客観的に分析します。「何ができて、何が足りないか」を共有します。
  2. 目標設定 (Goal Setting):
    1. 長期目標: 「将来どんな選手になりたいか」(例:プロになる、海外でプレーする)
    2. 短期目標: 「次の3ヶ月で何を達成するか」(例:逆足のパス成功率を上げる、試合中の声を増やす)
  3. 計画・実行 (Action Plan):
    目標達成のために、日々の練習で「何を意識するか」を決めます。
  4. 振り返り (Review):
    期間終了後に再度面談を行い、達成度を確認します。そして次の目標へ進みます。
  • 例:「全体練習のシュート練習では、必ずGKの動きを見てから蹴る」
  • 例:「練習後に10分間、体幹トレーニングを行う」

IDPシート作成のコツ

IDPを成功させるためには、シートを埋めること自体を目的にせず、「対話」を深めることが重要です。

1. 選手に「先に」書かせる(重要!)

面談の場でいきなり「どう思う?」と聞いても、子供は答えにくいものです。

  • 事前にシートを渡し、「『1. 振り返り』と『2. 自己評価』だけ書いてきてね」と伝えます。
  • 自分の考えを整理させる時間を与えることで、面談の質が上がります。

2. 「強み」から入る(サンドイッチ法)

いきなりダメ出しをすると、選手は心を閉ざします。

  • 肯定:「ここが伸びたね」「この前のプレーはすごく良かったよ」
  • 課題:「さらによくするために、次はここを意識してみよう」
  • 期待:「君なら絶対できるよ」
    この順序で話すと、課題を前向きに捉えてくれます。

3. アクションプランは「計測できるもの」にする ※SMART原則

「もっと頑張る」「意識する」といった曖昧な言葉はNGです。

  • × 「声を出す」
  • ○ 「味方がボールを持ったら、必ず『右!』『フリー!』など具体的な指示を出す」
  • × 「体力をつける」
  • ○ 「練習後、ピッチをダッシュで2往復する」

4. 年齢に合わせたアレンジ

  • 小学生(U-12): 項目を減らし、漢字を減らす。「楽しかったこと」「もっとうまくなりたいこと」の2点だけでもOKです。
  • 中高生(U-15/18): より戦術的な項目を増やしたり、「食事・睡眠」などの自己管理項目を追加したりします。

最後に

どのような選手になりたいのかというWillをもとに成長を図っていく。

本当の意味でトップチームで、そして世界で通用する選手を育成するということに本腰を入れ始めたのだな、と感じました。

ですが、やるべきことをやる。そういうことができる組織であることを誇りに思います。

今後の名古屋グランパスアカデミーの選手たちに期待しましょう。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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