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PK勝利の裏で見えた「攻め急ぎ」の課題 第2節ガンバ大阪戦マッチレビュー #grampus Y0233

初めてのPK戦は、ベテラン守護神の活躍でもぎ取った勝利だった。PKに至るまでもスーパーな活躍を見せた一方で、今後やるべきこともきっちりと浮き彫りになった試合となった。この試合を振り返っていく。

試合情報

  • 2026年2月15日 
  • G大阪-名古屋:0-0(PK2-3)
  • 天候 / 気温 / 湿度:曇り / 16.7℃ / 73%
  • 主審 先立 圭吾

攻め急ぎとロングボール

前半は「攻め急ぎ」が目立つ展開となった。ミシャ監督も「ビルドアップでせかせかしてしまう場面があったり、相手のプレッシャーを恐れて長いボールを選択するようなシーンも多くありました」と総括している。

ピッチ上では、清水エスパルス戦の反省を踏まえれば「ロングボールOK」の展開ではあった。では、この試合においてロングボールが入った際、ピッチ上でどのような優位性を取りたかったのだろうか。

ゴールキックの場面では、保持局面の配置でWB(ウイングバック)が高い位置を取る。ここで前線の5vs4の状況へロングボールを送ることで、ガンバとしてはダブルボランチが数的不利(5vs4)のエリアをケアするために、後ろ髪を引かれることになる。

これにより、「名古屋のセンター vs ガンバのボランチ」という噛み合わせを外し、稲垣祥と高嶺朋樹のプレーエリアを広く確保してセカンドボールを回収、そこから早い仕掛けでWBが高い位置を取っている優位性を活かしたい狙いがあったはずだ。

ガンバのボランチが縦方向に動くロングボールが出るタイミングで、この試合ではガンバのボランチ脇にヴィニシウスが降りてステイしている時間が、清水戦よりも長かったことが見て取れる(例:1分31秒から)。

これにより、以下の流れが生まれる。

  1. ロングボールを出してボランチを縦に動かす。
  2. 相手ボランチの脇に人が入る。
  3. サイドの大外の守備選択が、ボランチの脇かWBかの二択になる。

14分44秒からのシュミット・ダニエルからヴィニシウスへのボールは、ボランチがプレスに出てきたことで、その脇のヴィニシウスへロングボールが入ったシーンだ。中山克広とヴィニシウスで初瀬亮に選択を迫っている形である。これは清水戦でも見られた「出して良いロングボール」の例であり、供給されたボールの質も極上だった。

☝️ポイント

3分7秒からの高嶺のロングボールも、4-1-5の形で名古屋は中央に選手がいないものの、外向きのロングボール一本でボランチが横に振られている様子が分かる。

その後の形が、ミシャ監督が「攻め急ぎが出た」と指摘した部分だ。前述の展開と同様のことが起きたが、ここで高い位置のWBにボールが出なかった。この場面限定で言うならば、ヴィニシウス、中山、山岸祐也の立っている高さ(ポジショニング)の細かいズレで出せなかった感もある。 ヴィニシウスはボランチ脇で手前の守備者を動かしているのに対し、中山、ヴィニシウス、山岸が同ラインで待ってしまっていた。こうなると高嶺としては「木村→山岸」、「ヴィニシウス→山岸or中山」というパスコースが見えているわけだが、ここで「ヴィニシウスの手前の動きに対して中山が相手SB(サイドバック)の高さで最後の駆け引きをし始める」や「山岸が抜け出しを見せる」といったスイッチを作らないと、後ろからはなかなかパスが出ない。これは清水戦から感じられる課題だ。

(3分20秒からの高嶺が顔を上げた瞬間の中山、山岸の動き。これにスピード感がなかったため、ヴィニシウスのコースを囮に、難しいコースの山岸へパスを出した。通れば山岸がフリックして1点ものだが、開始のロングボールでのWBの優位性はヴィニシウスと中山で作れていた。その「フリ」が効いている時間を使わないと、ただWBが上下動させられるだけになるのが懸念点だ。)

特にガンバがかなりコンパクトに守ってきていた分、「それを広げてから!」といった部分はポリシー以前の土台の部分である。土台の「フリ」から戦術理念の「オチ」をセットにし、一発屋にならないようにできるかが今後のカギとなる。

組み立ての攻防

ビルドアップに関して言えば、名古屋が3-4-2-1から4-1-5の形に変化させたため、ガンバも4-4-2で前からプレスをかける形となった。ただし、ガンバ的にはSH(サイドハーフ)がSBの対応になるため、中央のコンパクトさは出ない。SBにSHが振られた時点でCB(センターバック)が運べば、ブロックの列を越える形になった(例:8分42秒から)。

ガンバのコンパクトな陣形を広げるため、大外の選手たちはプレッシャーがかかる中でボールを保持する状況になりがちだったが、優位性がない場所で縦に勝負に出たりする前半となってしまった。必ず大外に当てたタイミングで、ガンバのコンパクトな陣形なら全体が左右にスライドする。そこでビルドアップをキャンセルし、地上戦で逆サイドへ展開するといった意識をもう少し持ちたかった。

☝️ポイント

この試合の稲垣や徳元悠平を見ると分かりやすいのが、「なんで一回(ビルドアップを)やめない(変えない)の」というジェスチャーが多いことだ。10分55秒からの場面でも、高嶺が木村と合わずに悔しがる裏で、稲垣が「やり直そうよ」というリアクションを取っている。 キャンプで攻守の流動性を重視し、切り替え時の相手守備のズレを利用した攻めを練習した一方で、スタートの「形」から相手を動かすのもポリシーとする。相反するような2つの形をピッチで選択する難しさが出た前半となった。 「どこの誰の優位性を使うのか?」 この試合ではコンパクトな相手に対して、両ワイドの優位性をなかなか使えなかった。

どうしても「(列を)飛ばして・落として・展開」といったルールが前節で出来上がっていることを考えると、15分11秒からのようにビルドアップのスタートで稲垣に当て、倉田秋に向かって運び、原に付くマークをもらいながらセンターが1vs2からSBに出して……といった流れの時に、稲垣が前向きになったことで3手先くらいで空くスペース(ヴィニシウスから展開して徳元、そこからガンバがスライドしてきてまた右サイドが最後に空くなど)を見れるかどうかが今後重要になる。 (確かにヴィニシウスが降りて縦ズレは起きているが、確率的な問題でミシャ監督もこうした場面を「攻め急ぎ」と言っているような感覚だ。「ルールが先かどうか」といった判断の取捨選択が問われる。)

定まらない「ボランチ番」とプレスの迷い

ガンバは相手が3-5-2か4-1-5で守りに来るところを、SBを上げないことでプレスのズレを誘う。名古屋は木村をある程度低い位置に落とし、2CBをヴィニシウスと山岸の2トップ気味で見る形を取る。 この形を取る際、「相手のボランチをどうするのか?」があまりにも定まっていなかった。 この試合で言えば、美藤倫と安部柊斗をヴィニシウスと山岸で消してSBに誘導し、WBを当たりに行かせるのか? CBを制限しに行き、2ボランチは2センターで潰しに行くのか? ここの選択肢があまりにも曖昧だったため、中山も木村も「取り所があるわけでも、引く基準があるわけでもない」という立ち位置を強いられることになった(要は選手個人の考え方に任されていた)。

名古屋は中央での守備基準が基本的にはないので、ヴィニシウスと山岸の守備の振る舞いによって、稲垣が確実に後追いのアクションになる。その展開で倉田を内側に寄せ、外のレーンのゲートを空けて初瀬を上げさせる。これがガンバの基本的なビルドアップのスタートになる(例:10分00秒から15分00秒あたりのやりとり)。

そうなると名古屋としては、「SBが上がるタイミングはプレスがズレるタイミングだから、大外は引いておこう」となり、非保持時は潔く5-3-2的な構えに入ったのが前半の流れだ(実は清水戦から、2トップの制限の仕方がよく分からなくてWBが低い位置で構える、という展開は多々あった)。

守備の曖昧さは、ゴールネットを揺らされた時(25分49秒から)が一番分かりやすかった。倉田と入れ替わって美藤がサイドに捌け、ビルドアップ隊の数が減ったのでプレス開始(プレスからヴィニシウスのシュートが外れたシーンも、半田陸がスローインでビルドアップが一人欠けた状態だった。プレスの開始基準に一応の統一感はある)。

2CBになる代わりに、センター周りは木村の内を取る山下諒也、降りるジェバリ、ボランチと入れ替わる倉田、ステイした安部、内側に戻り直す美藤の5枚。 相手の5枚に対し、名古屋はWBとセンターの4枚。ジェバリから安部にマークを変えた高嶺の動きを加味すると、中央での数的不利が確定する。この段階で、受け直しした中谷進之介と安部を継続的にマーキングしていない状況、そして初瀬が上がっていないから高嶺がジェバリを外した時に藤井陽也が出ていくのが遅れたこと。これらが「守備の設定が曖昧なんだろうな」という分かりやすさにつながっていた。

現状、プレスの開始基準が清水戦もガンバ戦も「相手がなんとなく形を変えた。数が変わった」といった部分に依存しているのが大きい。

守備の曖昧さの修正と後半のポイント

後半に入り、まず名古屋は曖昧な守備の修正を行った。4-2-4的な形でガンバの4-4-2に合わせ、相手がコンパクトにポジション間を埋めて構えるような形を無理やりこじ開けようとした。 一方でガンバは山下を大外へ、食野亮太郎を内側の形にし、ジェバリ-食野、倉田-安部で、稲垣-高嶺のセットに対して上下で挟んで4vs2のセットアップを作った。サイドにセンターを引っ張った時、2トップのどちらかが帰っていないと中央が空く形だ(実際、食野に良い形でシュートを打たれた)。

プレスから考える後半、1vs1も増えてくるので、野上結貴から三國ケネディエブス、木村から永井謙佑への交代は納得感がある。

後半でポイントになるのは一点。「持てるようになってくると3-2-5になり、ガンバが4-4のブロックを組んだ時のセンターの振る舞い」だ。 82分42秒からが分かりやすい。外に当ててセンターが引き取っての場面。稲垣の逆サイドに高嶺がいる。この形で藤井が上がって受けに来るが、稲垣が引き取った時点で徳元は南野と鈴木徳真の間に味方がいるかを確認している。ここでガンバのボランチと対面してボールを速く引き取る選手がいないので、ガンバとしては中央の選手間の距離に気を使う必要がない(攻撃のスイッチのタイミングが分かりやすい)。 そうなると左右に揺さぶるにしても、ガンバの選手間の距離やブロック幅が変わらないので、ずっとスライドを繰り返されて縦に刺すタイミングを作れず、早めのクロスの展開が多くなってくる。

(88分30秒からの三國がギリギリまで運ぶとボランチがスライドしたが、この動きをどう付けさせるか? 今後ブロック相手に左右に振る前に考えたいことだ。)

試合後雑感

  • ダンさん(シュミット・ダニエル)に感謝。
  • 左CBを誰にするのかという問題は出てくると思うが、今回の試合は徳元などが、自分が左CBの時とのプレー選択の乖離が大きくて苦労したと思う。単純にファーストチョイスとセカンドの差で、戦術面での仕事を任されている量がそもそも違うんだなと感じる試合だった。
  • 高嶺、稲垣のビルドアップ時のすり合わせもまだまだこれから。ビルドアップの脱出時に「お互いどうしよう」となって、基本高嶺がチャレンジングなパスを出して攻守切り替え、という展開は多い。戦術ポリシー以前のビルドアップの基本ルールの部分から、ちゃんとプレー選択の優先度を取っていけば悩む事はなくなる。高嶺的にはそこは履修済みで始まっているとは思うが、チーム全員が履修するまで段階を踏めると助かる。
  • ヴィニシウスはタスクが多い分、チャンスがあると点を取りに行きたくなる。それはその分の違うタスクをしてくれているので目を瞑りつつ、早く5~6点スタートダッシュで取ってもらって、目に余裕ができる日がくれば。
  • 守備のところは、本当に健太さんが技術、質のところを大事にしていて良かった……。

最後に

PK勝利のため、400万円追加。2節終了時点で

今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く): 1000万円

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