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敗戦の後、その言葉をどこに向かって投げるのか #喋る机 #grampus #ngeu18

デスク「どうもデスクです。」

デスク

喋る机:用語解説:各種スポーツ新聞の記事に出てくる「デスク」のこと。日刊ゲンダイの記者室に設置されているという噂のものが有名。「記者とその机の会話を記事にする」という斬新な取材スタイルを確立したことで知られる。喋る机記事はあくまで「記者と机の会話を書き起こしたもの」に過ぎない。その他夕刊フジや東京スポーツなど夕刊紙に登場することが多い。マジレスするとデスクは新聞社において記事の取材や編集を統括するポジションの人間のことを指す。

記者「どうも記者です。デスクよろしくです」

記者

デスク「いやー、負けたな。ネットも大荒れ。」

記者「試合前に若手を出す前にリードをもう少し拡げたいな、と編集部のグループチャットで言ってましたけど、その懸念通りになってしまいましたね

デスク「いろんな意見が出てきてるな。主にこの日のメンバー選考についてだ」

年齢で線を引いて良いのか?

記者「ユースから2種登録で出場した選手たちに向けて、かなり厳しい言葉が並びました。それに対して、報酬をもらっているわけでもない高校生に大人が感情をぶつけるのはどうなのか、という反論も出ています。」

デスク「俺はどちらかの立場に立って闘うというつもりはないな。ただ、このまま「高校生を批判していいのか、いけないのか」という軸で話を進めることは、良いことにならないと思う。
そこが本当に論点なの?という疑問がある。」

記者「高校生といえば、今シーズンはマリノスの三井寺選手の話題で持ちきりですね。
開幕から3試合連続で先発し、既に2ゴールを挙げています。」

デスク「忘れてはならないのは彼のような選手はJリーグ30年以上の歴史のなかでもほかにいたっけ?という驚異的なレベルであるということだ。彼の活躍を基準にすることは危険と思う。」

記者「それはまあ確かに。彼みたいな結果を望んでいたのだとしたら、そんなにうまい話はいっぱいあるもんじゃないぞ、と言いたいですよね。まあサポは試合出場前はそれくらいの期待をしちゃうもんなのかもしれませんが」

デスク「厳しく言ってる側の論理もわかる部分がある。どんな選手であれ、名古屋グランパスのエンブレムをつけて豊田スタジアムのピッチに立った以上、そのプレーは評価の対象になる。この日の結果はトップチームの公式記録として残るものだ。誰が出ていたかによって、負けの重さが変わるわけじゃない。厳しいことを言っている側の前提は、そこまでは理解できる。」

記者「年齢を理由に厳しく評価をしないとしてしまった場合でも、負けたことへの不満は残ります。負けた試合の後、ピッチの上で起きたことを説明しようとすれば、終盤に入った選手たちのプレーは避けて通れません。そこに触れられないとなると、残る説明は一つです。あの場面であの選手たちを送り出した判断が間違っていた、という形になりますよね。」

デスク「そうなると実際に出てくるのは、「なぜあの場面で高校生を出したんだ」という声になる。」

記者「そうなると、若い選手を公式戦で使うという判断は、うまくいって当たり前、うまくいかなければ出した側が全部かぶる、というギャンブルになりますね」

デスク「割に合わない賭けだな。それに乗ってくれる監督ももちろんいるが、自分の評価が悪くなることは一切しない監督というのも実際いるので、そういう監督は取る選択は1つ。「活躍を確信できない若手は使わない」になる。実際グランパスの監督にもそういう人は何人もいたな。」

記者「そうなっちゃうとU-18の選手に限らず、若手選手はキツイですね。」

使われないまま急に上手くなる選手はいない

デスク「サッカー選手は、公式戦に出て、うまくいかない経験を含めて積み重ねて成長するものだ。U21 Jリーグの記事で、公式戦の数にこだわっていたのもそれが理由だ」

記者「育成年代からトップに上がった選手が、最初から想定どおりのパフォーマンスを出す例のほうが珍しいですものね。期待されていたのに何もできずに終わる試合は、サッカーでは普通にありますよね。」

デスク「経験を積むまでの間、良いときもあれば悪いときもある。
今レギュラーを掴んでいる選手は、与えられたチャンスを掴んだものたちだ。そういう選手でもすべての機会でうまく行っていたことはない。今日は彼の日ではなかった、っていう日を反省して、何故なのかを分析し、それを乗り越えていくのが成長だ。」

記者「やっかいなことにJリーグには降格があります。それを考えると、リーグ戦で不確実な若手にチャンスを与えることは正直難しいです。」

デスク「そうなると経験を積ませる真剣勝負の機会というのは、カップ戦の序盤しかないことになる。だからガイナーレ鳥取戦で、普段のサブ組を先発に、そして若手をいきなり先発にするのではなく控えにいれた、という選択は理解できる。」

記者「問題は、誰と組ませるのか、どのくらいの時間を任せるのか。ここはクラブが決めています。ガイナーレ鳥取戦について問う価値があるとすれば、こちらのほうですよね?」

今回は、見立てのところで外れたのだと思う

デスク「8月29日からの3連戦は中2日で前シーズンで苦戦したファジアーノ岡山、そこから中3日で今シーズン最強とも言えるサンフレッチェ広島、さらに中3日のこれまた好調で日本代表・小川航基を補強したFC町田ゼルビア相手という勝負どころでもある。」

記者「普段のレギュラー組を揃ってベンチ外にしたのは、20代後半以降が多いメンバーを4連戦ではなくて、3連戦にすることで少しでも勝てる確率を上げたかった、ってことなんですよね」

デスク「J1百年構想リーグのガンバ大阪戦、リーグとACL-2で連戦が続いていたガンバ大阪は難しいコンディションで、グランパスが快勝した、ということもあった。それを踏まえると、連戦は1つでも短くしたい、という気持ちは理解できる。」

記者「一番避けたいのは、どの試合にも均等にチカラをかけて、結果全部の試合が中途半端になって4連敗ですよね。これが今回の編成の一番の理由だと思います。
もちろん若い選手に経験を積ませると決めた時点で、うまくいかない試合が何度か発生することは織り込み済みだったんじゃないですかね。」

デスク「それ以外にも、若手を起用しようという風に考えた理由はあったのだろうと思う。」

記者「はて。そんな根拠になるようなことありましたか?普段の練習?」

デスク「この日起用されたU-18の選手はプレシーズンマッチ北海道コンサドーレ札幌戦でも長い時間起用された選手だった。J2チームを相手にやれたのだから、J3チーム相手でもやれるだろう、という見立ても理解できる。」

記者「たしかにあの試合も深谷朔共と白男川羚斗が比較的長い時間を貰えていました。」

デスク「もちろんPSMと公式戦は違う。だから同じようにやれるとは限らないが、期待はしてしまうかもしれないな。あくまでも俺の想像だけど、大外れではないのでは、と思っている。」

記者「そうなると気になるのが、前節の最後で言った「誰と組むか」「どのくらい使うのか」です。」

浮かび上がるのは若手の問題よりサブ組の問題

デスク「どのくらい使うのかについては現時点でU-18の選手は途中出場ということになるだろう。問題は「誰と組むか」のほうだな。
コンサドーレ戦で組んだ選手はレギュラー格の選手が多く、質が担保されていた。一方でガイナーレ戦で組んだ相手は、普段サブとして途中出場をしている選手になる。」

記者「普段のサブ組が先発となると、なにが違うのでしょうか?」

デスク「サブ組であっても、100%の状態ならレギュラー組の選手との差はそれほど大きくない。ただ、普段試合に出場できたりできなかったりだと試合勘もあまりないし、なによりアピールをしなきゃという気持ちが強く、自分のことで精一杯だった可能性もある。」

記者「若手を心配する意見のなかには、ある程度メンバーを揃えて試合の骨格を作ったうえで、そこに少しずつ混ぜていくという意見が出ていました。コンサドーレ戦ではそれができていて、この試合ではできていなかった、ということになりますね?」

デスク「コンサドーレ戦を根拠に、この面子でもガイナーレ相手なら大丈夫だろう、という見立てがあって、そして、その見立ては外れたことになる。ただ、単純に見立てが外れただけじゃなく、若い選手が能力を出しきれなかったときに誰がどう補うのか、そこまで仕込めていなかったということなのじゃないだろうか。

記者「ピッチの上で起きたプレーの結果は、出場した選手のものです。ただ試合の骨格を用意する部分は、メンバーを組む側の仕事になります。その骨格の設計が甘かったと。」

デスク「ガイナーレ戦ではU-18の選手のところに負荷が集まりすぎていた。CBが上がってしまい、中盤の選手がボールの逃がしどころを作れず、リードを守る時間帯の進め方も定まらないまま、経験の一番少ない選手が難しい判断を連続で迫られる展開になってしまった。」

記者「見方を変えると、彼らが任された仕事の難易度は、そこまでの80分で決まっていたってことになりますか?」

デスク「点差が開いていれば、途中から入った選手の役割はもっと単純だったはずだ。安全なほうに蹴る、時間を使う、その程度で良かった。1点差のまま終盤に入ったことで、ピッチのなかでしなきゃいけない判断の量も、ミスが失点に直結する可能性も上がってしまった。」

記者「この日の先発は、普段リーグ戦でベンチにいるサブ組が中心でした。なぜ、先発した面々でそこまで持っていけなかったのでしょうか?厳しい意見の中に「サブ組(この日の先発組)のレベルが低すぎるのかもしれない」という書き込みがありました

デスク「「サブ組の選手が下手だから」で思考を止めてしまうと、批判の対象がU-18の選手からサブ組に移るだけだ。批判だけしてもなにも変わらない。サブ組がセーフティリードを作れなかったのは、シーズンを通してどれだけ実戦を積ませてきたか、どの組み合わせで試してきたかという話になる。」

記者「この試合では中盤中央は菊地泰智と小野雅史と、左利きのセントラル2人という組み合わせでしたよね。ちょっと2人でどう住み分けるかを苦慮している感じがしました。
結果小野雅史が動き回って、菊地泰智が中央に構えるという分担になったみたいでしたが、中央に構えるのが菊地泰智の良さを出す分担だったのかというと・・・」

デスク「そうなると選手個人が自分の努力だけで解決できる範囲を超えていると思う。」

記者「若手に経験を積ませる必要がある、っていうのと同じことが発生してしまうんですね」

デスク「サブも若手も、試合に使われなければコンディションも実力も整わない。これが間違いないところだ。そのためには実戦経験が必要だ。
そこで大事なのがU21 Jリーグ。公式戦で若手やU-18、サブ組に試合経験を積ませることができる。」

記者「もう一つ、まだカップ戦はルヴァンカップが残っています。そこで誰と誰を並べるのか。
またリーグ戦の中でサブ組の出番をどこに作るのか、ですかね?」

デスク「そうだな。そこは監督やチームの側で変えられることだ。
グランパスに情熱を注ぐのであれば、こういった視点で、どう選手の底上げをしていくのかを話題にしたほうが有意義じゃないだろうか。」

見立てが外れることは起きる

記者「でも思うんですが、見立てのミスも、リスクのカバー不足も、認めたうえで、これは起こりうるエラーなんじゃないですかね?」

デスク「若手を試す判断は今回の試合の例になるけど、なにかを試そうとするときには100%うまく行くとは限らない。うまく行かなかった結果も、次の成功のための材料だ、という考え方ができると良いと思うんだよな。」

記者「うまくいかなかったときに何が足りなかったかを持ち帰って、次の編成に反映させる。それでいいはずです。

デスク「一番避けたいのは、たった一回の負けを理由に「ミシャはダメ」「補強や編成がダメ」「名古屋の育成はダメ」と、すべてをまとめて切り捨ててしまうことだな。」

記者「たった一度の失敗で全否定してしまうと、そこで考えるのが終わってしまいます。「何が足りなかったのか」という大切な振り返りも、一緒にできなくなってしまいますね。

デスク「それがクセになると、次に若手を使うみたいなチャレンジする場面で、クラブ側が安全な選択に逃げる理由にもなってしまう。」

批判の中身とブーイングについて

記者「ここまで批判の宛先の話をしてきましたが、ひとつ私からも言わせてください。今回目についたのは、「J3のレベルにもない」のように選手を格付けして終わる言葉でした。
どこで判断が遅れたのか、なぜあのポジションを取っていたのか。批判ってそういうところに対して行うものですよね?」

デスク「俺も何個も見たよ。ああいう言い方は「評価」ですらない。格付けチェックみたいな番組じゃないんだ。選手は1ヶ月見ないうちにビックリするような成長を遂げることもある。たとえこの試合でできていなかったとしても、その敗戦を糧に、次はできるようになるかもしれない。人間は変わるんだ。
批判をするなら、「この試合ではなにができていなかった」としか言うことはできないはずなんだ。その選手を格付けして切り捨てるようなことをして欲しくない。」

記者「そのうえで、ブーイングについてです。この試合、選手に対してすさまじいブーイングがありました。」

デスク「チーム全体に向けてブーイングをすること自体を、俺は否定しない。スタジアムでの意思表示は文化の一部だからだ。※ただしルールと一般常識の範囲内で」

記者「分けて考えたいのは、そこから先です。
興奮しているからかもしれませんが、ブーイングとともに行き過ぎた言葉を選手に投げかけることは良いとは思いません。
またスタジアムではなくても個人を名指しして、翌日以降もSNSで追いかけるのは、スタジアムでの抗議の意思表示とは別のものじゃないですかね?」

デスク「批判の線引きは「試合の範囲内かどうか」、そして「宛先がチームか個人か」の2つで考えたい。サッカーでは、よほど明確なミスでもない限り、たった1人の責任で負けるなんてことはない。だからこそ、悔しさをぶつけるブーイングの宛先は、基本的には個人ではなく「チーム」であるべきだと思う。
根拠(なぜ・どうして)が曖昧な個人批判は、客観的な分析ではなく、ただの誹謗中傷や悪口として伝わってしまうことが多い。」

記者「相手が誰であれ、書いた言葉が本人のタイムラインに直接届くという事実も、頭の片隅に置いておきたいところです。」

デスク「グラぽには選手やスタッフ、エージェントの人などから直接感想が届くこともよくある。SNSで反応しないだけで、良いことも悪いことも、ちゃんと伝わっているんだ。」

それでも次の試合はやってくる

記者「ピッチに立った選手たちは、しばらく苦しいと思います。」

デスク「彼らのサッカー人生であの試合が最終評価になることはない、そう本人には伝えたい。」

記者「読者の皆さん、特に今回批判が集中した若手について、彼らが次にトップチームの試合に出てきたときに、鳥取戦の記憶を前提にして見るのはやめませんか。」

デスク「この選手はこの程度だ、と決めてから見ると、実際に良くなっていたとしても、その変化には気づけない。
何ができるようになったのか、前より何が違うのか。そこを見つけるつもりで見てくれるといい」

記者「難しい分析とかいらないんで、あ!ここでプレスから脱出できた!とかここでパス繋げた!でもいいんです。」

デスク「俺たちもそうやって見て行くつもりだ」

記者「さて、ここからいよいよ苦手岡山+強豪広島・町田の連戦です!」

デスク「中3日ずつの3連戦だから、またレギュラー組以外の選手の出番も必ず来るだろう。
今回の提言を彼らが出てきたときに思い出して欲しい。
彼らの戦力底上げがあってはじめて上位進出ができるようになる。

記者「次の試合も勝ってみんなで喜びたいですね」

デスク「次の試合もみんなで乾杯できることを祈ろう。では」

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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