ちょっと長い記事です。株価や業界動向、経営の視点から、推理をしています。そういうのがお好きな方、お読みください。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO07758430Y6A920C1TI5000/ 日本経済新聞:デサント「ルコックスポルティフ」の国内サッカー事業撤退
名古屋グランパスから、ルコック・スポルティフからミズノに選手のユニフォーム、スタッフのウェアが変わることがアナウンスされました。
欧米ブランドの契約解消や契約縮小の流れ
個人的には、ルコック・スポルティフの事業縮小はあり得ると思っていました。事業にはボリュームメリットというのがあり、ある程度の規模がないと事業を展開していてもメリットがないというものです。
実はアパレル業界では、このブランドの契約解消や、契約縮小が相次いでいます。
なかでも一番有名なのが、三陽商会とBURBERRYの契約解消でしょう。
https://thepage.jp/detail/20140907-00000007-wordleaf?pattern=6&utm_expid=90592221-74.LdrGpjcWS4Czgnu3l9N7Eg.3 : 国内のバーバリーブランドはどうなるの? ライセンス契約終了の背景と先行きは
今回のライセンス契約打ち切りの背景には、同社の世界的なブランド戦略があるといわれています。それを強力に推し進めたのが、ダナ・キャランやリズ・クレイボーンなどを経て2006年にバーバリーのCEOに就任したアンジェラ・アーレンツ女史。低迷していたバーバリーを革新的なデジタル戦略や中国・中南米市場の開拓によって再生させ、リーマンショックなど世界的な不況の時期に売り上げを3倍、株価を4倍に引き上げた功労者です。
バーバリーブランドの再構築にあたり、アーレンツ女史はブランドアイデンティティを「デモクラティック・ラグジュアリー(誰もが着ることのできる贅沢)」と定めました。米経済誌『Forbes』のインタビューでは「私たちの出自はコートづくり」と語り、英王室御用達でもあるバーバリーブランドを「特別な人たちの服ではなかった」と形容しています。「デモクラティック」は「世界中どこにあっても、同じブランド価値を共有できること」でもあります。デジタルマーケティングの推進もその同一線上にあり、たとえばバーバリーのeコマースのサイトは、世界6ヵ国語に対応し商品構成も共通。世界中のどこからでも同じ商品にアクセスでき、迅速に購入が可能ということです。
そこで矛盾が生じるのは、各国のライセンシーが展開するローカル商品群。ことによってはブランドの陳腐化すら招きかねません。とくに「価格は英国の半額程度」と言われる日本オリジナルのブルー&ブラックの両レーベルには、そうした指摘がそのまま当てはまってしまいます。
バブル崩壊、リーマンショックの2連打でノックアウトされてしまった日本経済に較べて、米連邦、英連邦、ドイツ、フランスなどの各国はリーマンショック単体の影響を早くも抜け出して、大きくジャンプアップしてきています。それに対してデフレ不況に喘ぐ日本は上記引用でもあるように、ブランド本体のある欧米各国から見ると、奇異に映るようです。
価値観が共有できない状態であれば、決裂もやむなしです。昨年度から今年にかけて、アパレル大手のワールドでも10から15ブランドの廃止が明言されています。時代の流れと言わざるを得ないでしょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO86957960Y5A510C1TI5000/ :ワールド、500店閉鎖 不採算ブランドも廃止
デサントと他社の業績
それでは、デサントの業績も、他アパレルと同じように難しい状態なのでしょうか。
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 1株益 | 1株配 | 発表日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2013.03 | 91,932 | 5,419 | 5,639 | 3,561 | 47.3 | 8 | 13/05/09 |
2014.03 | 109,944 | 6,271 | 6,643 | 4,470 | 59.3 | 10 | 14/05/08 |
2015.03 | 123,128 | 9,136 | 9,543 | 6,563 | 87.1 | 15 | 15/05/12 |
2016.03 | 135,778 | 10,376 | 11,053 | 7,870 | 104.5 | 17 | 16/05/10 |
予 2017.03 | 138,000 | 10,400 | 10,500 | 7,500 | 99.5 | 17 | 16/05/10 |
前期比 | +1.6 | +0.2 | -5.0 | -4.7 | -4.8 | (%) |
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 1株益 | 1株配 | 発表日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2013.03 | 163,650 | 3,604 | 4,095 | 1,946 | 15.6 | 10 | 13/05/16 |
2014.03 | 183,204 | 5,692 | 5,816 | 2,640 | 21.1 | 10 | 14/05/15 |
2015.03 | 187,076 | 5,051 | 5,209 | 3,342 | 26.6 | 10 | 15/05/08 |
2016.03 | 196,072 | 2,971 | 2,778 | 2,085 | 16.5 | 10 | 16/05/10 |
予 2017.03 | 200,000 | 5,500 | 5,500 | 3,500 | 27.7 | 10 | 16/05/10 |
前期比 | +2.0 | +85.1 | +98.0 | +67.9 | +67.9 | (%) |
決算期 | 売上高 | 営業益 | 経常益 | 最終益 | 1株益 | 1株配 | 発表日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2012.12 | 107,630 | 5,855 | 5,933 | 2,144 | 17.1 | 8 | 13/02/14 |
2013.12 | 106,350 | 7,053 | 7,499 | 3,648 | 29.0 | 8 | 14/02/14 |
2014.12 | 110,996 | 10,213 | 10,348 | 6,318 | 50.3 | 8 | 15/02/13 |
2015.12 | 97,415 | 6,577 | 7,036 | 2,595 | 20.6 | 8 | 16/02/12 |
予 2016.12 | 70,000 | -6,800 | -6,600 | -9,500 | -75.6 | 4 | 16/07/29 |
前期比 | -28.1 | 赤転 | 赤転 | 赤転 | 赤転 | (%) |
ではなぜルコック・スポルティフを縮小しなければならないのか?
ルコックとアンブロを選択する決め手
でもそうならなかった。
そこには、単なるサプライヤーではなくて、オフィシャルパートナーとしての取り組みをする余裕がなくなったということが想像できます。上にも書きましたが、オフィシャルパートナーというトップランクのパートナーというからには、単なる用具のサプライヤーの枠を超えた協力があり、そこに費用がかかっていたのでは?と想像ができます。
ルコックなくすから、アンブロでサプライヤーに降格してください。っていうのがグランパスに受け入れられなかったのか、それともそういう申し入れがデサントにできなかったか。そのどちらかでしょう。
一つヒントになるのは、ガンバ大阪とFC東京とはサプライヤー契約ということです。しかし、リターンだけ考えたら、ガンバ大阪やFC東京と名古屋グランパスに大きな違いはありません。そうなると、グランパスだけの特別扱いというのを、デサントの株主か取締役会が許さなかったのでは・・・という想像はできます。
個人とチームでの違い
ミズノとグランパスの関わり合いは?