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2020年J1第2節 清水エスパルス戦マッチミニレビュー 未完成なチーム同士の対策の応酬 #grampus #spulse

編集のPCがダメになってしまっているため、レビュー遅れました。読み物以前のヘッドラインになってしまいますがお許しください。この試合、昨年末に大方針転換をした上に、コロナ罹患の影響で練習もろくにできていない名古屋グランパスと、これもまたこれまでの静岡サッカーの文脈とはまったく異なる横浜F・マリノスと同じような、高いライン、攻撃方法などを採用している清水エスパルスという、チームとしての熟成度では完璧ではないチーム同士の対戦になりました。

布陣からみるエスパルスの狙い

  • 清水エスパルスは第1節では右サイドバックを務めた奥井諒が左に、金井貢史が右に回る。利き足は見たところ二人とも右。
    • 金井貢史も奥井諒も昨年度マリノスが多用していた「サイドバックが単なる縦の動き以外もする」という戦術をしっかりしこまれていた。
    • 本来のポジションを守る(ことを強制される)フィッカデンティ監督のサッカーに対して、局所的に数的優位とパスコースを作ることを心がける。
    • 金井貢史は相馬勇紀を練習で「よく知っている」ことで、なんらかの「対策」ができるという期待をされていたのではないかと思われる
  • 前線には運動量豊富で前線からの守備もできる後藤優介を中央に置いて、ストライカーとしてだけでなく、前線からの守備でショートカウンターの起点とする
    • 彼の奪ったボールを左右の金子翔太とカルリーニョス・ジュニオに出して得点させる狙い(実際そういうシーンがいくつもあった)

布陣からみるグランパスの狙い

名古屋の布陣の狙い
名古屋の布陣の狙い
  • 大方の予想を裏切り、マテウス、前田直輝、相馬勇紀の「3本の槍」を前線に
    • たぶん、マテウスを左に収めておくことが難しいという判断でマテウスを右に
    • 前田直輝は前線に置いておくことで、左右どちらに流れても良しとする
    • 相馬勇紀は右サイドからのサイドチェンジを受けて、勝負をする割と単純な役割
  • かなり高いポジションを取ったり、本来守るべきポジションを捨てて、攻撃のために局所的な数的優位とパスコースを作りに来る清水サイドバックの裏にある広大なスペースを3本の「槍」で突く

試合の展開

はたして試合の展開は予想通りになりました。

清水エスパルスの先制ゴール(18分金子翔太)

18分、丸山祐市がフリーの状態から、清水鈴木と金子の2人に挟まれているシミッチに少しずらしたパスを送ります(※ミス1)。それをシミッチがトラップしきれず(※ミス2)にブロックされ、そのボールが戻ってきていた後藤に渡り、カウンター。後藤に4人いってしまった(※ミス3)ことで浮いた金子翔太がフリーに近い状態でシュート、失点しました。

このシーンでは4つのミスが重なっていたと思います。ズレたパスを収めきれなかったのはシミッチの問題でもあり、「挟まれている状態」のシミッチにパスを出してしまったのは丸山の問題でもありました。

失点シーン、丸山祐市の選択肢
失点シーン、丸山祐市の選択肢

丸山祐市には3つの選択肢がありました。

丸山祐市にバックパスした中谷進之介には、後藤優介のプレスでパスが出せません。その前にボールに触った稲垣祥も後藤優介がパスコースを消しています。

実際に選択した、シミッチに預けるというパスコース1。

この時点では戻ってきていない相馬勇紀か吉田豊を待ってパスを出すというパスコース2。

理想的な選択肢でしたが、実際には失点シーンでも大きく遅れていた吉田豊が戻れる可能性は少なかったはず(※ミス4)。そのためパスコース2は選択肢が採れません。

もっともセーフティなのは、この時点でフリーなランゲラックに戻すという選択肢(パスコース3)です。しかしここで丸山祐市はその選択肢を採りませんでした。シミッチならばキープしきれるという信頼だったのか。名手シミッチであっても、雨中でのトラップをミスすることはあり得る話です。

そしてカウンター時、中谷進之介、シミッチが後藤優介を追うのは良いのですが、丸山祐市がわざわざ後藤優介に寄せてしまい、金子翔太をフリーにしてしまった(※ミス3)のも残念です。

トラップミスをしたシミッチ、無理目なパスを出してしまった丸山祐市、パスコースを意識せず戻れなかった吉田豊、最後に金子翔太をフリーにしてしまった丸山祐市の、4つのミスが不幸に重なった失点でした。

名古屋の同点ゴール(32分相馬勇紀)

名古屋グランパスの狙いは先ほどもいったように、清水の高いラインの裏を突くプレーです。特にサイドは後ろ向きのプレーに弱い傾向が第1節でも見られていたので、サイドの裏を崩してしまおうというのは真っ当な狙いだと思われます。

実際にマテウス>成瀬竣平>マテウスと前後に揺らすことで、簡単にマテウスがフリーになり高精度のキックを蹴ることができました。

ここでもう一つ注目したいのは、相馬勇紀のゴールに繋がるヘディング2回をしたのがシミッチだということです。

身長も高く、ヘディングの精度も高いシミッチが、こういったシーンで相手ゴール前に詰めることも選択肢として持ってくれれば、今後もこういったシーンが増えてくるのではないでしょうか。

名古屋の逆転ゴール(39分オウンゴール)

このシーンも右サイドを崩しての得点でした。やはり右サイドでサイドバックを前田直輝がぶっちぎってオウンゴールを誘います。オウンゴール自体は清水エスパルスの連携ミス的なところもあったかと思いますが、ああやってサイドをぶち抜かれることを繰り返していたら対面の奥井諒も上がりにくくなるはずです。

この試合のGood!(よかった)

  • まず再開初戦を勝利できた
    • しかも苦手清水エスパルス戦・・・!
  • サイドの裏を突くという監督の意図を実践できた
  • 金崎夢生の復帰。82分DFの間で受けてクロス、惜しいシーンを演出できた。
  • 先制されても落ち着いて攻め続けることができた
  • 米本拓司の慣らし運転もできた

この試合のMore!(もっと頑張れ)

  • 3本の槍(前田マテウス相馬)の共存方法がまだ見つからない
    • そもそもハイラインを採用する清水エスパルスには3本の槍でマッチしたが、そこまで裏のスペースのない相手だと、FC岐阜戦のように相馬勇紀が手詰まりになってしまう
    • 山﨑凌吾や金崎夢生、シャビエルを含めた最適解組み合わせを模索していくしかない
  • 相馬勇紀の退場。まったく不要なカードで、次節の選手起用が難しくなってしまった。
    • 熱くなることは仕方ない(自分も熱くなることがあるのでわかる)が、一枚カードを貰っていることを覚えておいたほうが良い
    • 他の方も指摘していたが、この試合、無理目なカットインからのシュートを繰り返していたので、なんらかの焦りがあるのかもしれない
  • 金崎夢生のコロナ罹患の影響がどれだけ次に残っているかが気になる。しばらくは30分程度のプレーを重ねる形か。
  • 前線はFC岐阜戦に比べれば整理された(というかマテウスを右に置いたので問題がなくなった)が、それでもまだ他チームに比べると横方向の選手の位置取りが自由なので、ボールを奪われた後にバランスが崩れてしまっていることが多い(風間八宏監督時代と変わっていない)
    • 清水エスパルス側の後藤優介の守備がものすごく効いていたことと比較してみるとわかりやすいと思う
  • 枠を使い切らなかった。交代機会は3回までなので、前田直輝から山﨑凌吾に代えるときに、いっしょに相馬勇紀をシャビエルに交代させるか、いっそ藤井陽也を投入してもよかったかもしれない。
  • 秋山陽介がジュニオール・ドゥトラに4回のデュエル完敗。ここで堪えられると、チャンスが広がると思われる。
  • 成瀬竣平の怪我。重症ではないようだが、中3日では試合は難しいかもしれない。早く回復しますように。

次もいいゲームになりますように

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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