ポストにシュートが当たった瞬間、世界中のグランパスファミリーが同じ反応をした気がした。アルゼンチンとの2戦目。88分間の相馬勇紀の頑張りを振り返る。
サイドの支配
アルゼンチンはボールホルダーに対して「速く、強く、人数を多く」プレッシャーに来るのは前の対戦で分かっていた。狭いところ、中央で人を釣った後の出口として試合開始直後から相馬は機能。アルゼンチンに対して1人で「外側」を意識させる事に。
相馬は、相手を止めて対面の相手に馬力で勝つ。食いついてきたらファーストタッチで相手の逆を取る。やっていることは至極単純だが、その単純な事が長い期間擦り合わせ出来ないチームにとっては大きな武器となる。
瀬古から林への絶妙なパスからの得点「2人ともスゲー!」となったが、心の中で「相馬が幅を取り続けて横から勝負してくれたもんな…。相手を広げた相馬も頑張った!」と思った方もいるのでは?
一方で難しさも…
相手のプレスを回避しで相馬にボールが渡った際、相馬の速度感、前進についてきてくれる選手がどうしても少ない事。味方がゴール前の相手選手をズラす事ではなく先に自分の横(切り込みたい場所)にフォローに入る事が相馬にとっては少し苦しかったか。
名古屋では相馬やマテウスがカットインするスペースを作るために前線の選手は中央の選手をピン留めやペースづくり、サイドバックの選手は相馬を越えて行ってくれる。一方で、この試合ではボールと人を落ち着かせてから攻撃の形を探す。
そうなると相馬としては前目の選手は動き出す気配はない。横に味方に立たれてるので、カットインしても相手の壁がある。カットインして打つシーンが少なかったのはそんなチーム事情もあったのかもしれない。
確固たる地位を得るために
ナショナルチームで所属するクラブチームで味わえない、様々な強さ、速度、意図のパスが自分に飛んでくる。パスが来るタイミングも相手が国の代表となると難しくても何とかしてくれ。というタイミングでも飛んでくる。ボールを収めて、コントロールする部分ではもう少し頑張れる部分があったかなと感じる。
シュートがポストに当たったシーンも厳しいことを言えば、ファーストタッチがもう少し正確だったらワンフェイク入れて壁をずらせたんじゃないか?とか、受ける前の立ち位置の見直しやパスの匂いの感じ方も変化をつけれたんじゃないか?といった自分のプレーを研究し見直すいい材料は沢山見つけれたはずだ。
この見直しの材料が少なくなった時は、いよいよ名古屋から羽ばたくときかと。
さいごに
相馬としては今やれることをやった上で、同じポジションの選手とは充分に違いは見せ付けれたと思う。ビルドアップの部分でも無謀な勝負せずにセンターバックへ飛ばしたりとリスク管理も出来ていた。
後半最後の方はチーム全体の動きが落ちてきて、3点取ったこともあり「構えて守るのか、ある程度攻撃の意識を持ちながら張ってていいのかどっち!?」状態に一時陥り、守備も部分で浮いたスペースを作ったが、その後しっかりとブロック形成にいそしんでいた。
名古屋のように守備整理はされていない為、守備に関しては「リーグ戦の時より適度に抜いてるなあ」という感想だ。後ろを相手の揺さぶりに釣られずきれいに守ってくれる古賀と組んだのも大きかった。
オリンピックという大きな舞台で2人の若鯱が輝いてる姿が見れたらいいですね!