ストーブリーグ
シーズンオフに行われるプロスポーツ選手の契約更改や移籍の動きなどの話題のこと。名称の由来は、プロ野球のオフシーズンである「ストーブの必要な季節に取り交わされるファンの噂話」からきており、英語では「hot stove league」という。もともとプロ野球のみに用いられる用語だったが、他のスポーツにも波及した。
引用元: ストーブリーグとは
いよいよストーブリーグ到来、でもちょっ、待てよ
かつて移籍シーズンといえば、チームを傾けてしまうくらいお金を遣いまくってガンガン選手を獲得していた時代もありましたが、そんなのは2010年の優勝までのお話。
いまは、先日の投稿でも書いたように、今のグランパスは債務超過一歩手前…。
引用元: 名古屋グランパスエイト 売上/利益/業績推移の決算グラフで経営分析 2021
純資産(中央の赤)が21年(20年度の決算)はほとんど線です。貯金ゼロってことを意味します。
それなのに人件費は増えるばかり・・・21年(20年度の決算)では増えに増えたり35億円です。
これは単なる選手年俸の合計じゃありません。グランパスの選手とスタッフの年俸合計、たとえば営業の人やユースのスタッフの年俸も含まれます。それに移籍金や、支払ってる違約金が加わります。
21年では、35億円のうち、以下が違約金・移籍金と思われます。
- ジョーの移籍金(分割3回目):5億円
- 風間八宏前監督の違約金:1億円
引用元: 名古屋グランパスエイト 売上/利益/業績推移の決算グラフで経営分析 2021
ましてや今年はルヴァンカップのタイトルも獲っており、給料アップすることが必須の選手たちも・・・稲垣祥とか稲垣祥とか稲垣祥とか・・・。2022年の人件費が増えてしまうことは必須でしょうね。
1つだけ朗報をいえば、今年(2021年:22年決算)は推定5億円のジョーの移籍金分割金がなくなっていることです。
しかし今年はACLに久々挑戦ということで、かなり派手に使っちゃいました。
- 柿谷曜一朗・長澤和輝・齋藤学の年俸(推定各1億円前後x3)
- 木本恭生の年俸(推定各数千万円)
- 森下龍矢の移籍金+年俸(推定各数千万円)
- ヤクブ・シュヴィルツォクの移籍金(200万ユーロ=2億5千万程度)
- ヤクブ・シュヴィルツォクの年俸100万ユーロ程度(1億3000万円程度)
あわせて8億円くらい使っていますね。
アレ・・・2億円くらい人件費増えちゃってませんか・・・?
スポンサー収入は増えているようですが、たぶん増えた分は全部使い切っちゃってると思います。
どうしてもプロテクトしたい選手にはお金を積むと思います。・・・稲垣祥とか稲垣祥とか稲垣祥とか・・・。
でもプロテクトできない選手は出てきます。絶対に。
そうなると・・・グランパスも、狙われる側になってしまうのです。
では、誰が狙われることになるのでしょうか?
狙われる条件
狙われる条件は、相手によって異なります。
選手が移籍を考える理由
上記記事からの再録になりますが、理由はだいたいこんな感じです。
- 自分のやりたいプレーができるチームでプレーしたい
- プレー機会が多いチームでプレーしたい
- この選手とプレーしたい、という選手のいるチームでプレーしたい
- もっと自分をスキルアップさせてくれるチームでプレーしたい
- 自分が中心になって責任を持たせてくれるチームでプレーしたい
- 自分の好きなチームでプレーしたい
- 将来のキャリアに繋がるチームでプレーしたい(代表、海外)
- タイトルが取れるチームでプレーしたい
- もっとお金を貰えるチームでプレーしたい
このなかで言うと、以下の3つはよっぽどのことがないとなさそうです。
- 理由(9)グランパスの給与水準は比較的高めなので、9が理由になることはあまりなさそうです。
- 理由(8)今年タイトルも獲り、順位もほぼ5位以上が確定しており、終盤までACL圏争いを続けることができています。ですから、8も理由としてはあまりなさそうです。(かつて相馬勇紀と和泉竜司が鹿島アントラーズに移籍したときの理由は、これですね)
- 理由(7)かつてはグランパスにいると代表には行けない、という話もありましたが、今年は稲垣祥と中谷進之介が選ばれ、U-24代表にも相馬勇紀が選ばれました。海外移籍も比較的容認するほうなので、7も理由としてはなさそうです。
J1上位の場合
グランパスから引き抜く目的(1):グランパスの弱体化
この場合、グランパスで戦力になっている主力選手が対象になります。いまのグランパスで主力と言えるのは日本人で言うと中谷進之介、吉田豊、稲垣祥、米本拓司、前田直輝、柿谷曜一朗、相馬勇紀というところでしょうか。
このような戦略が上手いのは鹿島アントラーズ。かつて清水エスパルスから犬飼智也、白崎凌兵、名古屋グランパスから相馬勇紀、和泉竜司、ベガルタ仙台から永戸勝也、横浜Fマリノスから広瀬陸斗、伊藤翔、湘南ベルマーレから杉岡大暉、柏レイソルから小泉慶らを引き抜いています。どの選手も相手チームでは主力、もしくはそれに準ずるような存在でした。
主力ですから実力もある。補強できて、ライバルの戦力を削ぐことができる。さすがマリーシアの国のチームだぜ・・・。
これに対抗するには、年俸を上げる、契約延長をしてプロテクトをする、ということが考えられます。グランパス以上に金を出せる、というと川崎フロンターレ、横浜Fマリノス、ヴィッセル神戸、浦和レッズ、鹿島アントラーズくらいでしょうか。
ただ、これでも止められないのが理由(6)自分の好きなチームでプレーしたいです。
一部のFC東京サポーターが「稲垣祥はFC東京に来たがってる」という趣旨のことを呟いていたりしますが、好きなチームだというのは本人しかわからないはずですが・・・。
一応、ジュニアユースまでFC東京むさしにいた、というのが根拠らしいですが、それをいったらグランパスも下部組織にいたことのある選手は全国に散らばっています。その選手がみんなグランパスに来たがっているでしょうか?そうは思えないので、これは理由としては信用できません。誰か本物の家族が居て、リークしているという可能性も微レ存ですが、あまりなさそうな気がします。
もう1つ、心配なのは理由(1)自分のやりたいプレーができるチームでプレーしたい/理由(4)もっと自分をスキルアップさせてくれるチームでプレーしたい です。サッカーチームには、だいたいの戦術があります。監督によってガラっとかわることもありますが、だいたいそう。グランパスの場合は堅守速攻というのがフィッカデンティ政権下のスタイルです。それに合わないなあって思ってる選手がいたとしたら・・・?
これらの理由に対する対策は、サッカーを変える or その選手を洗脳するしかありません。前者は、いまのサッカーにマッチしてる選手が今度は合わなくなります。だから後者「フィッカデンティサッカーに洗脳する」以外ないのですが、果たしてそんな風に上手く行くでしょうか。そういう選手がいないことを願います。
J1中位の場合
グランパスから引き抜く目的(2):グランパスの質の高い選手を奪いたい
この場合、グランパスで実力はあるものの、出場機会にあまり恵まれていない選手が中心になります。
いまのグランパスで実力の割に出場機会に恵まれていない、というと、怪我などを無視して言えば、GK武田洋平、DF藤井陽也、DF森下龍矢、DF成瀬竣平、MF長澤和輝、MF阿部浩之、FW山﨑凌吾、FW齋藤学といったところでしょうか。だいたいはライバルが凄すぎるっていうのが理由になるんですけどね。
今挙がった選手、だれもがチームによっては不動のスタメンに名を連ねそうです。
これらの選手にとっては、移籍する理由は理由(2)プレー機会が多いチームでプレーしたい です。
これについては対策として若手ならば「使いたくなるように、育て上げる」という方法があります。サッカーチームとしては新陳代謝がどうしても必要になりますから、むしろこれはちゃんとやらなきゃいけない。
問題はベテランです。ベテランが出場機会を求めていて、それを優先することができない、となったら、それは止めることはできません。武田洋平、長澤和輝、阿部浩之、山﨑凌吾、齋藤学あたりがそういった決断をする可能性は十分にあります。
また、これらの選手を欲しいチームはたくさんあるでしょう。
J1下位~J2J3の場合
グランパスから引き抜く目的(3):グランパスの質の高い若手を借りパクしたい。
借りパクとは「借りたまま返却せず私物化すること。借りたと称してパクること。」です。
ここで対象になるのは若手です。グランパスでいえば、現在でもレンタルに出している、GK東ジョン・MF渡邉柊斗・MF児玉駿斗はもちろんDF藤井陽也、DF森下龍矢、DF成瀬竣平、DF吉田晃、MF石田凌太郎、さらには来年加入予定のMF吉田温紀、MF甲田英將、MF豊田晃大あたりも十分に対象になります。
- グランパスとしては若手に出場機会を与えたい
- 相手チームとしては自チームでは獲得できないような優秀な新人を獲得したい
という思惑があります。
しかし、相手チームには最初に書いたように、「あわよくば自チームに取り込んでしまいたい」という裏の狙いがあります。選手としても出場機会をたくさん得られれば、それで愛着が湧いてくることがあります。それを狙っています。
この戦略に長けたチームは多数ありますが、敢えて言うならベガルタ仙台が例に挙げられるでしょう。今年も磐田から上原力也、20年には西村拓真、FC東京から柳貴博、セレッソ大阪から山田寛人、19年にはマリノスから吉尾海夏と期限付き移籍で獲得しています。近年は目の付け所の良い選手を借りる、というところまでは成功していましたが、吉尾海夏も山田寛人もパクることはできませんでした。今年の成績にはそのあたりの戦略がうまくいかなかったことも一因となっている気がします。
借りパクに対する対策には
- 年俸を上げる
- 契約延長をする
- 違約金を高く設定する
があります。
うまく活用すればセレッソ大阪の山田寛人のように主力に成長させることもできますが、グランパスはうまく舵取りできるでしょうか。
本当に怖いのは政治的な移籍
本人の希望というのはもちろんありますが、なかには政治的な移籍というのがあります。
かつてグランパスはある代理人事務所と対立関係になったことがあります。(現在は解消済み)その際はその事務所に所属している選手が軒並み契約解除、ということもありました。
また代理人側から、このチームとはあまりやりたくない、ということで選手を引き上げるケースもあります。これは田口泰士選手が所属していたフットステージの選手がその後すべて移籍してしまったなんていう「ほんとうにあった怖い話」もあります。
直近で言うと、それまで最大派閥だった「スポーツソリューション(稲川朝弘)」は残っているクライアントがレンタル中の児玉駿斗、あとは外国籍のランゲラック・マテウス・シャビエルだけになります。
真相は不明ですが、ジョー関連のトラブルで、スポーツソリューションと名古屋グランパスの関係はこじれているのかもしれません。
シャビエルが報道通りいなくなると、チームに残るのはマテウスとランゲラックだけになっちゃいます。
今現在、ランゲラックはグランパスを気に入ってくれているようなのでいいんですが、ブラジル人が1人になってしまうマテウスは大丈夫でしょうか。通訳の人がいるのでまったくひとりぼっち、というわけではないのですが、ちょっと心配です。