3連戦頑張ってくれた選手が少し空回りしたり、生々しい選手の傷跡が画面越しに見えたりと胸が締め付けられるような試合でしたが過密日程のなかで0-0で九州を離れる事となりました。次のリーグ戦まで中4日。まだまだ苦しい時間が続きますが出来たこと出来なかった事を振り返っていきましょう。
(補足:8月15日01時頃よりDAZNのサーバーが安定せず、試合映像がほぼ見返せない状況となっています。必死に思い出して書いています。ミニレビューになる事、選手の配置等で間違いがある。等ありますがご了承ください)
試合情報
「ハーフスペース」を制す
ピッチを縦に5等分したうちの真ん中とサイドに挟まれたスペースを「ハーフスペース」と呼び、名古屋のトップ下にいる2人の選手はそのエリアでプレーすることが多くなる。今回の試合でも仙頭と重廣がそのスペースでプレーすることが多かった。今回の試合で鳥栖は攻守で「ハーフスペース」を意識していた。
ハーフスペースの解説:戦術用語講座:ハーフスペース完全版#1 | footballista | フットボリスタ
名古屋がボールを持つと鳥栖は守備のブロックをコンパクトにし、名古屋の両脇のセンターバックからシャドー(仙頭、重廣)への縦方向への楔のパスコースを消すように鳥栖のサイドハーフの選手を立たせる。
この形、名古屋が苦しかったのは鳥栖のブロックを「どうやって動かすのか?」が定まってなかった所にあった。例えば中谷から藤井にボールを動かした際や中谷から森下にボールを動かした際。その動かしたボールにどういう意味を持たせるのか?その動かしたボールで鳥栖のどの選手を動かしたくてそれに対して名古屋のどの選手が動くのか?が定まっていなかった。
名古屋の最終ラインがプレスに屈しているように見えたが、鳥栖側が動いてくれるまで待つしかなかったので両脇のセンターバックが下がりプレスを喰らうことで鳥栖の守備ブロックのコンパクトさを広げて中央を空ける。左ではレオを囮に重廣へ直接付ける事や相馬が空いた中央のスペースへ切り込んで来る。右では森下稲垣で脱出を図る動きが見られた。
左では丸山がプレスが来るまで待った意味を相馬、藤井と共有出来ず(その二人がレオに任せた可能性も)ボールを受けれるような動き直しがあまり見られなかったりと苦しい時間が続く。また、右では中谷が少しでも持ち上がり森下と近い距離感を作り鳥栖の選手を引っ張って来ても稲垣が中谷が動いたあとのスペースを埋めるために森下がひたすらにきつくなるという展開もみられた。この一連の動きが名古屋がボールを保持している時のハーフスペースに関わる攻防のポイントだった。
鳥栖は攻撃でも「ハーフスペース」を意識した動きとなる。
鳥栖は最終ラインでボールを動かしながら藤田、福田が「ハーフスペース」に立つ展開。そうすることで稲垣やレオはそのハーフスペースに侵入してきた選手に寄る事となる。センターの選手が寄れば名古屋は中盤ごとスライドし逆のスペースはシャドーの選手(重廣、仙頭)が埋めるのがセオリーだろう。ボールサイドと逆側にいるシャドーの選手の「スペースへの戻り」が鳥栖の狙い所。名古屋のシャドーの選手は相手のビルドアップのやり直しに対するプレスの役割が濃いためにスペースへの戻りはあまり得意ではない。鳥栖はその約束事を突き、最終ラインでのボールの動かしとセンターの選手のスペースへの侵入で名古屋をずらして逆側へ展開してそこから楔を刺す展開が多く見られた。
楔を打ち込まれることもあったが、名古屋のボールの回収ポイントは内側へ侵入してくる選手や楔を受ける選手。レオシルバのボールの取り所の設定がチームでスペースが出来ても何とかなった点だった。丸山、藤井など楔を受けに来る選手にタイトにいけた事もポジティブなポイントだった。岩崎によって森下は守備から攻撃の切り替え時に長い距離をひたすらに走らされることになったのが厄介だった。
後半から
後半からは中盤で枚数をふやす交代を敢行し、前線では快足の永井を投入。稲垣もインタビューで「システムのミスマッチで数的優位ができてボールは回るようになった」と答えた。(明治安田生命J1リーグ第25節 鳥栖戦後 選手コメント①)
途中から鳥栖の足も止まり始め、お互いの選手が判断が遅れて両選手の判断の少しの遅れからお互いが危険なプレーになるシーンや、選手の事を思ってか「走らなくていいよ」と言われてるかのようにプレーを止められてしまった場面なども重なり後半で差し切る展開に至らず。
柿谷や宮原が投入されたものの前半の「楔を打って受ける場所で勝負」という形より「持ち運んで勝負!」といった展開になった為、2人の良さは中々活かされず。交代で入った選手にとっても歯がゆい時間が続いた。
試合後感想
- 鳥栖のボールを動かす意味や目的の量に比べて名古屋のボールを動かす意味や目的の量の少なさは目立ってしまった。
- 重廣は浦和3連戦で出来すぎていた。この試合で天秤が釣り合った形。他の選手がガンバる日だったと割り切るしかない。
- プレスを誘発させた後、前進するぞ!と意気込む最終ラインの意図に対してサイドに流れたキックになってしまったシーン。ランゲラックの彼なりの意図へ対する答え方だったとおもう(緩く長いボールで味方へ落とすつもりだったはず)
- プレスをした後の第2フェーズの守備の仕方や切り替えが止まる瞬間を狙われた。プレスをした後どうするか?を考える時期。
- 岩崎と長沼によってプレーエリアを制限されたウイングバックの2人をどうサポートするか?永木のサイドに流れて相馬を超えていく動きは仙頭が相馬をサポートする時と同じ形。他選手の手札を共有できているのは良き。
- 相馬や森下の1対1の守備時の身体の使い方。レオをボールホルダーへ詰める時の歩幅と距離と緩急に注目してほしい。3人とも疲れている中であのプレー技術は天晴。
- レオがボールを溜めている時に「待つのではなく動く事」を意識してほしい。レオが時間を作った途端に他の選手の足が止まってしまうのは彼が苦しくなる一方。
最後に
まだまだ過密日程。ここからの試合は「生き残るために落とせない試合」が続く。名古屋の夏をホームで作ろう。