はじめに
名古屋グランパスサポーターの皆様、はじめまして。サンフレッチェ広島サポーターのかんだ (@syukan13)と申します。
去る12月2日、サンフレッチェ広島に所属していた野上結貴選手の名古屋グランパスへの完全移籍が発表されました。広島には6年半在籍していた選手で名古屋との対戦経験も多くありますが、そうは言ってもどういう選手かわからないという名古屋サポーターの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はサポーターとして6年半見てきた目線から、野上選手の経歴やプレースタイルについて簡単にご紹介させていただきます。
野上選手の経歴
野上選手は1991年生まれの31歳。桐蔭横浜大学を経て2012年に特別指定選手として横浜FCでキャリアをスタートし、2016年の夏に広島に加入しました。2018年は城福監督が採用した4-4-2システムのCBとして完全に定着してチームの2位進出に貢献すると、翌2019シーズンからは3バックの右のポジションをガッチリ確保。中央の荒木、左の佐々木と合わせて広島の鉄壁3バックとしての地位を確立します。
2022年も当初は3バックの右として出場しますが、塩谷の定着により一時はポジションを失います。しかし、8月頃から右ウイングバックとして不死鳥のごとく復活。10月のルヴァンカップ決勝にもスタメン出場するほどの信頼を勝ち得ました。
クラブや監督、ポジションが変わってもそのたびに信頼を勝ち取れている、非常に能力の高い選手であることがうかがえますね。
野上選手のプレースタイル
野上結貴のプレースタイルを簡潔に表すならば、「高い対人能力と足元のうまさで幅広いポジションをこなす守備のユーティリティ」となるでしょうか。
名古屋サポの皆さまは守備のユーティリティと聞くと、広島出身ということも合わせて宮原和也のことを思い浮かべるかもしれません。
野上選手は宮原選手よりは守備的というか、CBタイプの選手と言えるでしょう。宮原選手は4バックだとSBだけど、野上選手はCBというイメージです。3バックの一角として3年間クロスの跳ね返しや1vs1の対応をこなし続けてきた実力は折り紙つきで、ウイングバックとして高い位置で起用されてもその高さや守備力は存分に活かされていました。
また、キック精度やスペースへの侵入のうまさもアピールポイントです。ウイングバックとして高い位置で起用された今シーズンは特にそうした強みが見られる場面が多くありました。豊田スタジアムで行われたルヴァンカップグループステージ、森島の逆転ゴールに繋がったクロスはその代表例と言えるでしょう。
【2022 MATCH HIGHLIGHTS】4/13(水)vs.名古屋グランパス
一方で、純粋なスピードを問われる対応はやや苦手というイメージがあります。今シーズンの広島はより高い位置で守備をする場面が増えたのでより広いスペースを守る必要が出てきて、そこでCB起用が厳しくなったという側面はあるかもしれません。
また、セットプレーの得点源としての期待はそこまで……という面もあります。広島在籍期間のリーグ戦得点数は2019年からの4年間で3点。同じくらいのプレータイムがある荒木(7点)、佐々木(8点)と比べるとやや寂しい数字です。
CKにめっちゃいい形で合わせた野上のシュートがGKの正面に飛んだとか、ポストに当たったとかいう場面は広島サポなら心当たりがあるのではないでしょうか。まあ守備面での総合力の高さがあるのでご愛敬ですが。
【2022 MATCH HIGHLIGHTS】7/10(日)vs.湘南ベルマーレ
野上選手の人柄
僕は知り合いでも何でもないので公式から出てくる映像やインタビューからの印象でしかない訳ですが、基本的にはおとなしいタイプの人なのかなーと思っています。もちろんDFということで球際の激しいぶつかり合いは頻繁にあるわけですが、試合中に相手選手や審判と揉めているようなシーンはあまり記憶にありません。ハードな守備も黙々とこなす、職人タイプという印象です。
試合後や練習では仲が良さそうな柏や柴崎、ポジションの近い佐々木といった選手の隣でニコニコしているというイメージが強かったですね。移籍リリースのコメントでも「人見知りの僕が……」という発言があるので、あんまり外れてはいないのかなーという気がしています。
野上結貴選手 名古屋グランパスに完全移籍のお知らせ | サンフレッチェ広島 オフィシャルサイト
あとは、うさぎが苦手らしいです。
【ぶらサンチェ】ようこそ、「うさぎの島」へ! 柏好文選手、野上結貴選手が、大久野島でうさぎのてなずけ対決!
おわりに
以上、簡単ですが野上選手のご紹介でした。CB、WB、ボランチでハイレベルなプレーができる選手で、今シーズン3バックで闘う試合が増えた名古屋にぴったりハマると思います。きっとこれまでのキャリアと同じように、長谷川健太監督からも信頼を得られるでしょう。
エディオンスタジアム広島で、豊田スタジアムで、スタメン紹介された野上選手を拍手で迎えられる日を楽しみにしています!
おまけ:野上結貴選手のデータ(by編集長)
野上結貴選手のプレーエリア
右WBを主に務めた2022年と、右CBを務めた2021年の比較です。
多少WB化してからは中に入る機会が減っているかもしれませんが、注目して欲しいのは2021年の右CBでのヒートマップを見てください。これだけ前に上がってくれると、チームの重心が後ろにならない可能性が高いと思います。
同じポジション(右CB)の中谷進之介選手のヒートマップです。グランパスのなかでは中谷進之介選手は上がる方ですが、大きく違うのがわかるでしょうか。
ワールドカップの日本も5バックで後ろが重すぎるというのが課題になっていたと思いますが、名古屋グランパスもまったく同じ課題を抱えています。3バックでも点を獲るための改善に本気で取り組み始めたのがわかります。
プレイングスタイル指標byfootball-lab
藤井陽也のデータが際立ちますが、中谷進之介も藤井陽也も、クロスという点で物足りません。森下龍矢から上がってきた中谷進之介に戻しても、そこから直接クロスではチャンスがあまり生まれないということになります。
終盤2試合で中谷進之介中央、藤井陽也を右や左に置いていた理由はここだろうと思われます。クロスチャンス8というのは右CBを任せた際に、新たな展開をもたらしてくれるかもしれません。期待しましょう!
野上結貴 2022 選手データ | データによってサッカーはもっと輝く