サッカー選手に大事なものは「フィジカル」なのか「テクニック」なのか、それとも「戦術理解」なのか。これまでどれが一番大事なのか、ということはよく議論のタネにされてきた
もちろん全部揃っていることが理想だが、なかなかそうは言っていられないのが現実だ。
どれかが欠けているとき、どれを許容するのかというところに、そのチームの指導者の趣味趣向というのが現れるのではないだろうか?という小ネタになる
まず見ておいて欲しいのはこの記事。貴田遼河ですら、
名古屋U-18出身の選手のこれまでのメンバー入り状況を見てみると、以下のようになる
多いほうからまとめると、
- 藤井陽也:先発16/メンバー入り16
- 甲田英將:先発0/メンバー入り8
- 貴田遼河:先発0/メンバー入り6
- 石田凌太郎:先発0/メンバー入り5
- 吉田温紀:先発0/メンバー入り2
となる
残念ながら今年登録などの動きがなかった豊田晃大はデータにすら現れていない。
これを分析してみよう。
前述の「フィジカル」「テクニック」「戦術理解」の3点から考えてみる。
藤井陽也はフィジカルで秀でたものがある。DFというポジション的にはまずここが重要視される。ボールを扱うテクニックもある。戦術理解はまだ伸びしろではないだろうか。
甲田英將はテクニックが強みになるだろう。フィジカルは現在強化中のため、ちょうど今身体のバランスが悪い状態になっている。戦術理解はやはり伸びしろになりそうだ。
貴田遼河はバランスが良い。ストライカーがなにをすれば良いのかということを本質的に理解している。フィジカルも高校年代では申し分ないものだ。ボール扱いもなにも問題はない。
石田凌太郎はやはりフィジカルの評価が高いのではないだろうか?サイドで見せる突破は魅力的だ。
もちろん石田凌太郎は天皇杯での得点経験もあり、もはや年次的には4年目と中堅どころに差し掛かりつつあるということもあるだろう。その経験を買っているところもきっとあるはずだ。
さて、問題になるのは吉田温紀と豊田晃大だ。
吉田温紀は今期、一貫してDFラインの中央で起用されつづけている。ルヴァンカップヴィッセル神戸戦で見て貰えばわかるがDFはJ1リーグではアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)のようなほぼモンスター級のフィジカルを持つ選手とマッチアップしなければならない。他のポジションに比べてフィジカルへの要求度はかなり高いものになる。さらに言えば戦術理解の要求度も高い。DF意識が揃っていなければ、どれだけ個の能力が高くてもやられてしまうのはU20ワールドカップの予選敗退に繋がった2つのオフサイド取り損ねからも感じられるはずだ。
豊田晃大も戦える選手だ。ルヴァンカップヴィッセル神戸戦では相手のサンペール、扇原らと十分にやり合うことができていた。榊原杏太といくつもチャンスを作り続けたこともあって、戦術理解も一定水準はあると思われる。
この2人は実力に比して、チャンスが与えられていないのでは?と考えられる
- 石田凌太郎:176cm/71kg
- 吉田温紀:181cm/72kg
- 豊田晃大:170cm/64kg
- (参考)藤井陽也:186cm/82kg
石田凌太郎は、それほど大きいわけではないが、ガッチリとした体格なことがわかる。相手のガチムチの守備陣とも戦ってきた実績がある。
豊田晃大も吉田温紀も、身長が極端に低いわけではない。吉田温紀は中盤ならば大きめの181cmだ。(DFとしてはそれほど大きいわけではないが)
注目して欲しいのは藤井陽也に比べて身長のわりに体重が軽いと言うことだ。これはフィジカルコンタクトの際に不利に働く。藤井に比べて吉田は10㎏軽い。これは線が細いと見なされているのかもしれない。
フィジカルは鍛えることはできるが、戦術理解のようにある日突然ブレイクスルーできるものではない、コツコツと積み上げることが必要なものだ。焦らず腐らず、鍛えていって欲しい。