グラぽ

名古屋グランパスについて語り合うページ

メニュー

スペースを創ることの大事さと風間イズム #喋る机 #grampus

「相手を外す技術を身につけると、相手が全て場所になる。」
「囲まれた相手を抜けば、そこには広大なスペースがある」
風間八宏

編集者:得点シーンから見えてくることをピンポイントで解説します。

マテウスという、強い個を1枚失ったグランパス。そこからどのように点を取るのか。無理なシーンから強引に剥がすことはできない。だとしたらどうしたらいいんだろうな?

うーん、枚数をかけて攻めるとか?

それもあるかもしれない。ただ相手も枚数をかけて守られたら、渋滞になってしまう。
狭いところにつっこんでもなかなか剥がし切れない。
ちょうど風間八宏グランパスの頃の悪い試合はそんな感じだった。

コネコネしているうちに、相手が全部戻ってしまい、結局守備を破れない、みたいな感じでしたねぇ(遠い目

実は今回の得点シーンも、それを想起させるようなシーンだった。

1.密集ができて、ボールを差し込むスキマがない
1.密集ができて、ボールを差し込むスキマがない

藤井選手が持ち上がっていたとき、アルビレックスの守備には目の前だけで4人がいました。名古屋も和泉竜司・野上結貴・永井謙佑・稲垣祥と4枚で狭いところになんと8人もいるような状態ですね。これはボールを出すスキマがない。

藤井陽也も一瞬止まって、出しどころを探すような感じだった。
しかしここで野上結貴がアクションを起こしてくれる。

2.野上が外に膨らんで貰う
2.野上が外に膨らんで貰う

中が混雑しているので、野上結貴が外に出て、ボールを受けました。

本来ならトーマス・デンと田上・高の3人でゴールに近いところにいる永井謙佑と稲垣祥を消している。外で受けている分には割り切ることもできるはずだ。
だが、野上結貴がボールを持って前を向いたことで、田上が野上結貴に引っぱられてしまう。
さすがにフリーでクロスを上げられるのはヤバいからな。仕方ないといえば仕方ない。

3.稲垣祥のマークが空く
3.稲垣祥のマークが空く

田上大地が野上結貴に引きつけられたことで、稲垣祥が自由に動くスペースができましたね。

野上結貴が前を向ける場所で「ボールを引き出す動き」をしたことで、中のマークを剥がしたんだ。こういう風に、フリーの人間は「創れる」

反対側では、ユンカーがDF2人を引きつけることで、森下が「消える」ことができました。これもフリーの人間を創った、ってことですよね?

4.デンを釣り出すことに成功してスペースを創る
4.デンを釣り出すことに成功してスペースを創る

稲垣祥がフリーになったことで、そこにボールを出した。トーマス・デンは稲垣祥に付いていく。
すると、GKにとっては恐ろしい、ゴール前にポッカリとスペースができてしまうわけだ。

高と、その逆にいた渡邉らがスライドして、スペースを埋めないと危険ですよね。
さらに稲垣祥が、よくぞトーマス・デンのプレッシャーに耐えて、数秒時間を作ってくれました。

稲垣祥にアルビレックスDFが引きつけられ、今度はまた別のところにスペースができる

5.十分に引きつけて新たなスペースが創る、
5.十分に引きつけて新たなスペースが創る、

田上とデンが稲垣祥に、野上に小見がついたことで、藤井がフリーで上がってきます。
ゴール前を高・秋山・渡邉が埋めたことで、和泉の前に新たなスペースもできました。

ほんの10秒前くらいには、大きな壁があったのに、グランパスの選手の動きに引き寄せられてアルビレックスのDFはバラバラになってしまった。

稲垣祥が藤井陽也にボールを戻すと、藤井陽也はドフリーの和泉竜司にボールを受け渡します。

6.フリーの和泉にパス
6.フリーの和泉にパス

図らずも、最初と同じ1:4の状況になった。この状況、君ならどうする?

自分なら、枚数の少ない逆サイドにいる永井謙佑や内田宅哉のところに出すかもしれません。

しかし、図で見ると綺麗に並んでいるように見えるが、急いで和泉竜司の前に立とうと→を和泉に向けてこの4人は動いてきている。和泉竜司はトップスピードでその間に入り込む選択をした

7.4枚をドリブルでぶち抜き、フリーになる和泉
7.4枚をドリブルでぶち抜き、フリーになる和泉

和泉竜司に向かってトップスピードで突っ込んで来て、それでかわされてしまったら、もう戻れないですよね。和泉竜司はなんで抜けたんでしょうか?

相手を見て、相手の脚の届かないギリギリのスキマを縫って逆を取った感じだな。サッカー脳の高さでここをぶち抜いた感じだった。

ここで思い出して欲しい。和泉竜司が実質2年目から4年目まで指導されて育てられた監督のことを。

風間八宏さんですか

風間八宏さんのサッカーは、周囲がきちんと連動してないと、最初に言ったようにただ枚数かけて攻めて、結果相手ペナルティーエリア内が渋滞になって相手を打ち破れない状態になってしまう。

ですからこの一連のプレーのなかで、野上だったり稲垣祥が見せた、「相手を引きつけて、フリーの味方やスペースを創り、パスをする」というようなプレーが大事になってくるんですよね。

スペインサッカー用語でいう、ボール保持者の「Fijar (フィハール)」だな。実はこういったプレーと対極にあるのがここで和泉竜司が見せたプレーだ。

参考書籍:サッカー外す解剖図鑑 | 風間 八宏 |本 | 通販 | Amazon

風間八宏のサッカー理論では、「場所ではなく、人を攻略する」という。実際ここでは不用意に寄せてきた高と田上の逆を取って、あの密集を抜けることができた。風間八宏はこれを「外す」という。1人のバランスを崩すだけで守備にスキマができて、攻撃できる余地ができるという意味だ。

ということは、今どきっぽいスペイン風なスペースづくりと、風間八宏のサッカー理論の融合がこのゴールだった、ということですね。

だからこそ、このゴールに俺は感慨深いものがあった。

でもこうしてみると、風間八宏のサッカー理論は和泉竜司クラスのスキルと身体能力がないと実現できないようにも思える。

そこまでスキルフルな選手ばかりではなかったですもんね。

よくサッカーの話ではジャンケンの話が多くなるが、グーだけで勝負しようとすると、とんでもないクオリティじゃないと相手を倒せない。

この日のゴールは、グーとチョキを組み合わせたから崩せた、という感じですかね

そうだな、それだけに和泉竜司の離脱は痛いな。いまとなっては貴重なグーの使い手が離脱してしまった。

でも次節からはパーの使い手?森島司が合流します。

また新しい名古屋を見せてくれるはずだ。期待しよう!

次は良い試合になりますように

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

Leave A Reply

*

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
Hatena Bookmarks
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE