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鹿島の組み立てと、名古屋のアプローチの工夫 2023年JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦 鹿島アントラーズ戦マッチレビュー #grampus #antlers

120分で完結出来たのはU21枠の2人の活躍と、鯱の系譜の選手達の両legでの劇的弾。

120分の激闘を210分の流れで振り返る。

1st legのレビューと併せて読んでいただければ幸いです

基本情報

1.鹿島アントラーズ・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
1.鹿島アントラーズ・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ

人が違う変化と工夫

基本的にはお互い目立った修正は無いが、鹿島は人が変わった所に違いが出る。

名古屋はファーストレグと同じく中央で蓋をする形を選択。

相手サイドバックへのアプローチは“つっかけ役”の森島がいる右サイドのみ厚く行なうような形を取る。

鹿島はファーストレグとの変更点として、仲間を前線に上げ、サイドに松村と樋口が入った。

樋口が入ることで、中央でのボールの引き出しをサイドが担えると踏んだのか、垣田に変わり前進する力の強い仲間が前線へ配置される。

ボールを引き出すために内側に絞る樋口、樋口が空けた大外をあがる安西という右の構図。

一方で、名古屋は自分たちの右を守備時に押し出したいので、自軍の左サイド(鹿島の右サイド)が引く展開はある程度割り切って和泉も永井も引く選択を容認する。

2.割り切った名古屋グランパスの左サイドと、ディエゴ・ピトゥカ番をする中島大嘉、大きく押し上げる右サイド
2.割り切った名古屋グランパスの左サイドと、ディエゴ・ピトゥカ番をする中島大嘉、大きく押し上げる右サイド

樋口が入った所の変更は名古屋が引く場所の決断を助ける形になり、試合開始から特段変化は見られなかったが、徐々に鹿島側の選手に打開案が見えるようになる。

まずはピトゥカのボールを引き出す位置。中島から縦に離れる(距離を取る)事で蓋の意味を薄める。それに加えて中島からも逃げることで楔を打ち込むスペースを作る。

このピトゥカの判断と同時に鹿島は名古屋の右側を早く引き込む選択を行なう。関川をボールの動きの終点として森島を引き出し、その裏にピトゥカが流れる形。

早川も絡むことで関川のボール保持がきつくなること無く、ピトゥカがフリーで受ける形を作る。

3.ピトゥカが引いて、植田・関川・早川・ピトゥカで組み立てを行う鹿島
3.ピトゥカが引いて、植田・関川・早川・ピトゥカで組み立てを行う鹿島

前半のピンチはほぼピトゥカに蓋が出来なかった瞬間。

名古屋も基本的に全員で前から行く形を選択しなかった事により、下がったピトゥカに対して行くのかどうか?中島が曖昧になる場面も見られた。

名古屋の形

名古屋はサイドから“はやく運ぶ”を徹底した。速度が速いのではなく、時間を早くする。

運ぶ様子を見せると鹿島のサイドバックは外に広がり、ハーフスペースにはボランチが1枚入る。早く素振りを見せる事で、広がりとボランチのスペースのケアが早くなり、2列目に穴が空くようになる。

ハーフスペース:サイドバックとセンターバックのスキマのこと

空いた穴に左では和泉、右では藤井が入り鹿島ゴールへ迫る。(吉田へのパスが入れられたのも外の運びがあったから)

前半では森島のヘディングまでの和泉の運び。後半ではターレスが入ってからの大外の運びが名古屋の鹿島攻略方法のいい形となった。

4.サイドに2枚ハーフスペースに1枚かけると、中央が空く
4.サイドに2枚ハーフスペースに1枚かけると、中央が空く

名古屋の蓋を避ける

後半に入り柴崎が投入された。理由は明確で、ピトゥカ以外の楔を打ち込む選手の投入。

ピトゥカand柴崎の中盤コンビになり、中島の蓋を人の工夫でなんとかする必要が無くなった。

出し手が2枚になった事で、佐野が稲垣を引っ張ってこなくても、ボールを動かすだけで角度がついて差し込める。無理なら上を通せばいい。

ビルドアップもセンターバックと中盤、ゴールキーパーで保持が出来るのでサイドが高い位置を取り始めることができた。

5.出し手が2枚になったことで、FWのプレッシャーが無効化されてしまう
5.出し手が2枚になったことで、FWのプレッシャーが無効化されてしまう

かなり意図としてはわかりやすかったが名古屋は苦労した。

出し手を消したい名古屋とかわす鹿島

失点後、キャスパーと前田を入れ3142とした名古屋。

ピトゥカと柴崎にボールを渡さないようにする為にキャスパーと前田で最終ラインを追い込むが早川をビルドアップに組み込む鹿島に対してハマる気配が無い。

早川も高い位置で触らないので名古屋を間延びさせる事が出来た。

こうなってしまうと前線2枚はピトゥカ、柴崎の見張りに回る事になる。

6.キーパーが参加する組み立てに前田直輝・ユンカーが引きつけられ、間延びしてしまう
6.キーパーが参加する組み立てに前田直輝・ユンカーが引きつけられ、間延びしてしまう

前線が引いてくると自然にチーム全体が押し下がり、後半の鹿島の時間を与える事になった。

チームは吉田温紀のシュートにより救われたが、そこまで縦横無尽の働きを見せていたディエゴ・ピトゥカの交代まで膠着状態が続くことになった。

試合雑感

  • 鹿島は延長に入っても“ピッチの課題の修正”を放置した印象。相手を“攻略する為の手段”の選択は的確だったが、自分たちの課題の修正に手が加わってなかった所を突かれたターレス→吉田のプレー
  • 失点シーンは仲間がスーパーで済ましたかったが、名古屋の選手の“個人のリスク管理”が全員平等だったら恐らく防げた可能性は高くなったシーン。役割が明確になり負荷が軽くなった事は他のプレーを考えなくていい事ではない。
  • 3142になると前線の守備の約束も恐らくアドリブ、中盤の選手達の押し引きの約束も決まって無い様子。渋滞を作らないための最善策をようやく見つけた段階なので大変だと思うが構造を変えてからの約束づくりを早めにしたいところ。
  • 中島も「なんで俺にマークなかったのかわからん」という趣旨の発言をしていたが、本当に分からない。中谷が上手く引っ張ったプレーがあったが、中谷と中島がならんでいるのに1枚しかいなかったのは“理屈”を重要視しているイメージのある岩政監督が作るチームからあの状況が出るのは単純に驚き

  • 吉田おめでとう。練習や練習試合では「悩むな、前出ろ!」と先輩たちに叱咤激励を受け、インサイドハーフで活き活きしていた印象があったが、見事にヒーローに。
  • 健太さんからも「守備で動ける」とコメントを貰っているので中盤争い激化必至。

さいごに

あと二つ。

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