はじめに
こんにちは、レフェリー・ルール担当のOTC公式(@Gram_Leorep)です。
私は東京在住のグラサポで、「ルール・審判をもっと身近に」をモットーに主に、判定・ルール・レフェリーに関する解説を投稿しています。
さて、今年の最初に言うと、2024年レフェリングスタンダードですが、2023年シーズンとほぼ変わりません。ですので、昨シーズンに引き続き、今シーズン楽しみましょう!!(終)
と、簡単に終わらせてもいいのですが、折角なので、とても丁寧にレフェリングスタンダードを解説したいと思います。とはいえ、レフェリングスタンダード自体、非常に丁寧に解説されています。元国際主審の佐藤隆治さん(愛知県出身)の映像による解説を更に文章で解説するとは非常に恐縮なのではあるものの、一部の方から説明が眠くなるとの声もあるので、文章でも読みたいよ!という方は是非ご一読ください!
さて、以下がレフェリングスタンダードの項目です。
- 競技者の安全を守る
- ハンドの反則
- 得点または決定的な得点の機会の阻止
- オフサイド
みなさん、DOGSOについてはもう大丈夫ですよね?もう耳タコだとおもうので、
今回は省略します。ということで、上記1,2,4について解説していきますね!
競技者の安全を守る~頭部の負傷への対応~
2023年シーズンも説明があったのですが、今回より強調されているのは、
たとえ、どのような状況であっても、競技者の安全・安心を最優先に考えるということです。
例えば、
- カウンターの始まり
- 大きな得点チャンス
だろうが、何だろうが、頭部を負傷したら即時試合を止めましょうということです。
サポーターからしたら、それが得点機会やカウンターだったとしたら、ブーイングしたり、文句言ったりするかもしれませんが、サッカーは競技者の安全が第一に優先されるべきスポーツ。そこは、相手チームの選手だとしてもまずは安全第一ですので、ブーイング等はやめましょう!
なお、2022年の福岡x名古屋のようなシーンは、すぐさま試合STOPになりますので、ご注意ください。
参考:2022年明治安田生命J1リーグ第28節 福岡x名古屋 (映像0:50~頃)
競技者の安全を守る~選手生命を脅かすタックル~
ここで覚えて頂きたいことは、
- たとえ、ボールに行っていたとしても、危険だとNG!!!
- 力任せのタックルは言語道断!!
- 特に、足裏タックル、勢い・スピード・強さを伴うタックルはダメ、絶対!!
です。
主にレッドカードとして扱われるものは、以下のようなプレーです。
レフェリングスタンダードと同じ例を持ってきては、手抜きと思われてしまうので、個人的に100%退場の厳選シーンを貼っておきます。
2023年明治安田生命J1リーグ第12節 C大阪x鹿島 (映像5:15~頃)
2023年明治安田生命J2リーグ第31節 長崎x栃木 (映像3:50~頃)
2023年明治安田生命J2リーグ第1節 長崎x千葉 (映像6:36~頃)
<参考>・レフェリングスタンダード (映像3:40~5:00)
レフェリングスタンダードでは、以下のようなプレーが退場の例として紹介されています。
- 数メートル先から走ってきての足裏のプレー
- 脛以上の部位への接触
- 体を投げ出したタックル
- 脚を伸ばした状態で足裏タックル
滅茶苦茶危険ですね!なので当然退場です。でも、世の中には、「危険なんだけど、退場ともいえるし、イエローカードでも理解はできる」というファウルがあります。
例えば、選手に足裏が入ったとしても、
- 数メートル先から助走をつけて⇔目の前のボールに足を延ばして
- 足の踝や脛、膝、アキレス腱に⇔足の側面付近に
- 脚を伸ばして⇔脚を曲げて
- ファウルを受けた選手は力を逃がせない⇔逃がせる
と、一言で「足裏が入った」としても100%レッドカードか、オレンジ(イエローカード)かは状況によって異なります。そして、主審が何を主に感じて判断するかは、その状況・見たFact・考え方によって異なります。
もし、競技規則に「足裏が入った場合、退場となる」と書いてあればいいのですが、そのような記述はないので、主審としては、「何をもって危険・過剰なプレー」か判断する必要があるのです。
その前提で、こちらのシーンってどう感じますか?
2024年 ちばぎんカップ 柏x千葉
X上では、退場だろ!!!と多くのコメントを見ました。
私は、退場も全然アリ。だけど、絶対100%退場ではないのではないかなと思っています。というのも、
- 勢い:数メートル先からスピードをつけてきていない
- 脚:曲げている
- 接触部位:足の横側。踝や脛ではない。
- ダメージ:力を逃がせている
足裏は入っていて、危険なので退場はもちろん十分理解でき、一方で、上記ポイントを丁寧にみてみると、オレンジ→イエローの判断もあり得るのかなと感じています。
つまり、最初の判定がイエローカードだと、判定をサポートしてVARが介入しない可能性があります。
編注:オレンジ色:赤と黄色の中間くらい。人によって判断が分かれる、絶対にレッドとは言い切れないシチュエーションを指しています
このように、判定を細かくテクニカルに見ていくと、100%退場ではなく、どちらでも正解なので、主審によって判定の違いが発生します。サッカーは二度と同じ状況はなく、曖昧なスポーツだからです。
一方、「どちらでも正解」「見解が分かれる」というのは白黒つけたいファン・サポーターにとっては歓迎されないことは理解しているため、このような「オレンジ色」タックルの扱いは、シーズンを通してどのようにアジャストしていくかを注目していきたいですね。
ハンドの反則
実は21/22シーズンを最後にハンドの反則って変更されていないんです。3年目。
普通の事柄は、「石の上にも三年」といって、3年もたてば自然に理解・定着するものです。ところが、何故かハンドだけは理解されない。
そこで、ハンド判定チャートを作りました。
もう説明するよりも、このチャート見た方が早いです!
ひとつだけ解説するとしたら、「意図的なプレー」。いわゆる、「室屋案件」です。
●室屋案件 (5:00頃~)
これ、5年も語り継がれているんですね。
意図的なプレーの後に、たまたま手に当たったとしても、ノーハンドということですね。
意図的なプレーとは、
- ボールをコントロールしようとした、トラップしようとした
- ボールを蹴ろうとした、ヘディングしようとした
- ボールをクリアしようとした
が該当します。一方、
- シュートをブロックしたら、跳ね返りが不自然な位置にある手に当たった
- タックルしようとしたら、偶然、支え手に当たった
は意図的なプレーとは言わないので、ご注意ください!
基本的に、私の以下のツイートをブックマークor画像を保存しておけばOKです!
オフサイド
オフサイドの論点は2つです。1つ目は「インパクト」2つ目は「意図的なプレー」です。
実は、インパクトについては過去にグラポで解説しています。こちらと変更ないので、
過去記事を参照していただければと思います。
ジャッジ解説 オフサイド特集 ~藤井陽也の幻ゴール~ #grampus
過去記事参照が面倒という方は、私が過去に作成したオフサイド判定チャートを張っておきますので、こちらを基に観戦してみてください。
私が今回解説したいのは、「意図的なプレー」です。意図的なプレーも、実は真新しいものではなく、22シーズンからですので、まずはルールの文言を記載しますね。
“オフサイドポジションにいる競技者は、相手競技者が*意図的にプレーしたボールを受けたとき、意図的なハンドの反則を行った場合も含め、利益を得ているとはみなされない。ただし、意図的なセーブからのボールを除く。”
簡単に言うと、「意図的なプレー」なら、オフサイドにはならない ということです。
何が意図的で、何がディフレクションか簡単にまとめました。
意図的なプレー | 意図的ではない (ディフレクション含む) |
・ボールを味方競技者にパスする・ボールを保持する・ボールをクリアする(ボールを蹴る、ヘディングする) | ギリギリのプレー ・至近距離からボールが来た ・体勢を崩した状態でプレーした ・ボールに触れれるかギリギリの状況だった ・判断する時間が短く、とっさのプレーだった |
もっと簡単にいうと、
「そのプレー、ギリギリの状態で何とかプレー・チャレンジしたものですか? それとも、単なるミスですか?」
ということです。
ギリギリのプレーだったらオフサイド、単なるミスだったらNot オフサイドということです。簡単ですね!
参考までに動画で復習してみましょう!
<参考>・レフェリングスタンダード (映像7:40~)
今回はここまで!いかがでしたか?
ルールって難しいし、とっさに出てこないですよね、分かります。
そんなときのために、私のようなレフェリー・ルールに特化したアカウントがあります。
私は、サポーターのルールへのリテラシーを上げることは、チームにとってプラスになると信じています。ルールを知っていれば、理由を知っていれば、不利な判定が発生したときに、エネルギーの矛先をレフェリーに向けブーイングするのではなく、切り替えて自分たちに向けることができるからです。
という訳で、今シーズンもDAZN観戦時はリアルタイムで、現地ではタイミングを見計らって可及的速やかに発信していこうと思っています。また、名古屋の試合以外の判定についても、できるだけ解説しようと思っています!
このような「どうして、この判定?」「この判定、どう思う?」については、私のアカウント(@Gram_Leorep)の質問箱に質問を寄せて頂ければ嬉しいです!(動画で確認できるものに限ります)
では、24シーズン楽しみましょう!