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チグハグだった前半のスペースの使い方 2024年J1リーグ第19節 東京ヴェルディ戦マッチレビュー #グランパス #grampus #verdy Y0179

ボロボロの試合じゃなかっただけに余計に気が悪い試合となりました。

Tokyo Verdy vs Nagoya Grampus live score, H2H and lineups | Sofascore

試合情報

1.東京ヴェルディ・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
1.東京ヴェルディ・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ

ポジション名東京ヴェルディ名古屋グランパス
GK(ゴールキーパー)マテウスランゲラック
CB(センターバック)宮原・谷口・林三國(みくに)ケネディエブス・ハ チャンレ・野上(のがみ)
SB(サイドバック)
WB(ウイングバック)翁長(おなが)・松橋中山・山中
CMF(セントラルMF・ボランチ・センター)齋藤(さいとう)・綱島(つなしま)椎橋(しいはし)・稲垣
IH(インサイドハーフ)・シャドー山見(やまみ)・木村森島・永井
WG(ウイング)
FW(フォワード)染野(そめの)山岸
各チームのポジション名と選手名

プレスのスイッチと躱し

DAZNからは終始「ハマるハマらない」のワードが飛び交ったが、ヴェルディはスタートから名古屋の2センターを消す事に注力する。2CBー2CMFに対して、5枚で囲むヴェルディ。囲みを剥がす意味でも、両SBの所に選手を置く選択をする名古屋。

ヴェルディとしては2CBー2CMFに対しては5枚で対応してる事からプレスのスイッチを三國や山中に入る瞬間に設定する。

分かりやすい制限の一方で、5枚で囲む形が崩れるきっかけにもなる。

それにより、ヴェルディのセンターの脇や裏にはスペースが生まれる事となった。

名古屋としてはボールを外に広げる事で2センターの周りから人が剥がれる。形から剥がすことで出来るスペースにボールを入れる事で一枚目の守備網を突破したい算段。

2.ボールを外に広げて中央を空けようとする試み
2.ボールを外に広げて中央を空けようとする試み

広げるだけでは相手のブロックが弛緩していくだけなので、収縮を挟んでから動かしたい。18:43~からの様にセンターに当てて守備を密集させる。この場面では野上が永井を見た事で山中に入る展開がワンテンポ遅れたが、こういった部分を約束にして相手のプレスのスイッチで前進を狙いたかった。

広げる形を見せた後、案の定ヴェルディ側は中の5枚が外側へのアプローチを渋る。すんなりと山中が持ち上がり5枚の裏のスペースで森島、山岸が有利に動けるスペースが出来る。

その場面で山岸がボールを入れるなと指示を出す。19:07~

3.5枚の裏にスペースができ、山岸と森島が浮く状態
3. 5枚の裏にスペースができ、山岸と森島が浮く状態

後ろのボールのコントロールで最終ラインとセンター間のスペースを必死につくったのにも拘らず前からはそれは使わない。という明確なメッセージを伝えられる。

前半のハイライトは明らかにこのズレだった。この瞬間に何人かの選手はセンターの裏のスペースを作っても使わない。と決め打ちに入った。(プレー選択の優先順位の低下)

その後の19:22~、19:45~といった場面でもプレスを誘って空いたスペースに立つフリーの選手に入れずにラインの奥を見る。手前にあるスペースを無視して奥に落とそうとする。といった“自分たちが作ったスペースを使わない現象”が立て続けに起きる。

自分たちが作ったプレー選択の幅を選択しない展開が増えていくと当然選択する判断が遅くなる。この後、三國→森島や三國→中山を選択する際に降りてくるタイミングや状況判断が良くない展開が続く。

(森島が手詰まりで中山の手前に降りて来て、分かりやすくセンターに張り付かれたまま受けるシーン。中山の降りてくるタイミングが遅れるシーンetc…試合時間で言う所の24:55~、30:39~など)

4.スペースの選択の遅れが「詰まり」を演出する
4.スペースの選択の遅れが「詰まり」を演出する

約束事で作った状況に次の約束事を作らなかったり、選手が特定の選択を過剰にしなかったりする事が「保持率は高いが特に何か起こるわけでもない。」に繋がる。

そんな中でピッチ上に出来上がっている状況を冷静に観察していたのが山中、椎橋の2人。

22:33~のような解説が「名古屋がハマってる」と言及する中で、内外の立ち方を自分で変えながら逆サイドで作ったヴェルディの守備の釣り出しの結果によって出来るスペースを使う山中。相手のブロックの弛緩と収縮に合わせて前線の選手が使わなかったスペースに自分から入る椎橋。

こういった選手達が一つ周りに見せるとその直後の23:05〜の様に約束事を思い出していけたのは救いではあった。

ギアを上げた代償と変化

後半に入ってリソースの割き方のギアを上げる。キックオフ直後、前半では手詰まりの状況下でワイドに捌けて来ていた森島が中山と最速でサイドを取る。ここで2対2を作れたら森島はすぐに中に動きなおす形を取る。森島が外れた所に稲垣が侵入してきたのでサイドの奥を取る動きに対してヴェルディの選手4枚が釣り出される事に。2枚で4枚を引っ張った事で森島がフリーとなれた。(45:20~)

「サイドの深い位置を取る為にリソースを割き、取れたら次に動く。」のいい例となった。

逆に言えば、その直後の失点シーンはサイドの深い位置を取るために割いたリソース(選手)がその場に残り続けた。45:20~の性質とは少し違う。前述したエリアと同じエリアでの3対3のような形となったが、深い位置を取れている状況で次に何処を攻略するのか全員が迷った結果、全員がその場に残り続けた。攻略の着地点が見えて無い状態で前に残る為にスローインも曖昧になる負の連鎖が起きていた。

後半は三國→中山が受けるタイミングで森島が抜ける事で中山の右側にスペースを与えて、「受けたら中へ」の形を作る機会が増えた。

センターの脇や裏がプレスで空くヴェルディに対しては選択肢として悪くなかった。

5.右サイドでスペースを作り、使う動き
5.右サイドでスペースを作り、使う動き

こういった縦→縦のミスの場面でネガティブな解説も目立ったが、この試合のタイムラインとして最終ラインから入るボールや受ける選手のタイミングが定まっていないから難しいだけで前半から約束の中に約束を入れていく作業を各選手がしていれば難しい話では無かった。ミス体験で言えば60:35~、63:05~、成功体験で言えば79:30~

(出し手、受け手の基礎技術に依存する部分もあるので選択がネガティブなわけではない。)

4バック化は“手段”か“目的”か

そもそもなぜ4バックにしているのか?名古屋の目的は“効率化”ではなく“手段”であるためにチームタイムラインを追っていないと“非効率”なだけに見えてしまう。

典型的な例で言えば京都戦の椎橋がSBに降りる形。プレスに対して2択を取りたいので降りていった。対戦相手で言えば浦和は名古屋に対して低い位置にSBを置いてプレス回避を試みた。

今回の試合で言えば2トップと2ボランチに稲垣と椎橋が囲まれており、IHも名古屋のセンター囲みに参加している。囲まれているセンターをまずはサポートするために低い位置にサイドバックを置く。サイドバックの縦向きの性質を考えると当然センターの囲みに対してケアしていたIHはある程度サイドバックを見る事になる。そうする事でセンターの狭さがある程度改善してくる。

それと同時にWBはワイドの選手(この試合で言えば中山&永井対WB)を押し込む事でSBとWBの間にスペースが出来る事になる。このスペースはヴェルディとしてはボランチかCBが見張る必要が出てくる為、ボランチならサイドに、センターバックなら縦向きにズレる事になる。

名古屋はセンターの楽さ、サイドのスペース、守備者のズレを作る為に選手を“置く”という選択をしているわけだ。

センターの選手がロドリやクロース、2センタ―バックが世界最高峰のプレイングセンターバックであれば「なぜSBが上がって行かないのか?非効率ではないか?」という疑問は当然出てくるが、現状の名古屋は選手の能力が限定されている中で目的の為の手段として形を選択している事を悪手としてはいけない。

吉田が入って持ち上がっていけたじゃないか!という声も出てくるだろうが、後半ヴェルディの足が落ち、椎橋、稲垣の縦関係への変化や榊原の投入といった要素がかなり大きい為、比較にはならない。

もっというならばボールを捌く役。プレスの釣り出しのスタートを担う役を任されたチャンレがもっと早く三國に捌いていれば充分に運ぶ展開になり得たりとチーム内での共闘が無かった事を指摘すべきである。

試合雑感

  • 「早く広げて早く釣り出す。」に対して、「準備する。」までが連動しなかった。
  • ヴェルディのブロックが相手ベースで締まってるのか緩んでるのか?を見極めたかった。相手ベースで見ないと中々センターにボールが入らないし出てこない。
  • 後半の半分ぐらいを過ぎるまでブロックの裏を意識できなかったのは厳しかった。そのころにはヴェルディも足が落ちてスペースが埋まってた。
  • 椎橋と稲垣の縦関係具合がチームの循環度の指標。お互いが良い位置関係になれてるか?

さいごに

折り返して夏到来。今年は「名古屋の熱い夏」にしたいですね。

この日よくボールに絡み続けた榊原杏太
名古屋の夏のキーマン・この日よくボールに絡み続けた榊原杏太

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