ボールを持つだけで悪役のように浴びせられるブーイングもありながら3発打ち込んでクリーンシートという解答で終わった試合。相手の準備不足とはいえ、最後は自分達で考えたメニュー(構造)で完璧な料理(得点)。選手たちがチームゲームを思い出してもぎ取った勝利。ミッドウィークミニレビューで振り返る。
試合情報
清水は1枚替え、名古屋は5枚替えで挑むこの試合。攻撃をけん引しているイメージの強い清水の2列目の3人にボールを届けられるか?が試合前の印象。
スペースのある中盤
清水は前線3枚で3CBを見る形でスタート。乾がCMFのスペースを埋める形で前線の守備を決める。前半20分台まではサイドに詰まったボールや名古屋の自陣のスローインをきっかけに高い位置までプレスをしていた清水だが、20分頃を境に最終ラインへのプレスが緩くなる。特にハマって無さは感じず、逆にプレスに対して長いボールを誘われる展開やスローインにされる方が厳しさを感じた。しかし、さすがにトップ下の乾だけではCMFのスペースの管理が出来ない為、SHの2人が乾にラインを揃えて北川+SH&OHの4枚でCMFを埋める形に変えた。CMFの脇をSHが埋める方になると大外のスペース。特にボランチの脇が大きく空く。名古屋はこのスペースにボールを預ける所から始める。
WBにボールを預けるとSH、ボランチが外側に釣り出されるのでCMF周りを埋めているブロックが外側に緩んでくる。ここでポイントだったのが清水の外に出ていく守備者の両サイドの歪さ。弓場は外に出ていく事が多かったのに対し、マテウスは外に出ていく事が少なかった。恐らく名古屋の右サイド側は乾が下がる事で解決しようとしたのかもしれないが、弓場とマテウスの外と前に出ていく違い(ビルドアップ制限時の出ていく高さの違い)によってCMF周り(乾とボランチの間)のスペースが大外に当てるだけで作られる事になった。
乾とボランチの間のスペースが広く開いたことで和泉や稲垣、椎橋が清水の2列目の裏でボールを受けやすくなった。18:26~、19:26~の中央を突破する形も乾の周りに3枚が立って簡単に前進出来た。28:00~、32:19~のフィニッシュビルドアップからしっかりフィニッシュまで行けたのも中央のボランチの歪さの所に選手が絡んだ所から。
4231相手だと右CBスライドの名古屋は2トップを作られて2CBー2CMFに対して4ー2で囲む対応を苦手にしていただけにCMFをトップ下一人に任せる形にしてくれたのはどういう意図だったのか知りたい所。
結局WBをどうするの?が決まらないまま稲垣も足が止まったSB-CB間に入って内田もフリーでクロスを上げた。秋葉監督の「身体が動かなかったら頭も動かない」というコメントには大部分賛成だが、明らかに名古屋に対する構造というより、3421に対する守備構造を入れてないが故の動きの迷いが無かった訳ではない。
👍ポイント
前半からカピシャーバの裏がかなりオープンになる。マテウスも和泉も永井もSHの裏(ボランチの脇)に立つ回数が多かったのがGOOD。ボランチの脇からCBーSBの間に走るだけでWBがオープンになるので楽だった。前半からWBのオープンの作り方と右SHの守備の曖昧さが3点目のビルドアップ脱出に繋がった。21:12~のカピシャーバが下がった時の原と内田の対応も見る価値あり、先にボランチラインまでSHに下がられたので内田がカピシャーバを外に出させないように内側に絞って原を外側から押し出す。何気ない入れ替わりだが、大外のWBが余る形の作り方のアレンジを試合の速度に併せられるのもGREAT。
ボールに絡みに行くという事
後半に入ると恐らく前半の20分は前から行こうとしていたように後半の入りはWBの所に誰かが当たりに行く形を取った清水。3点目のシーンはWBでハメるために乾とブエノが三國、稲垣に。内田にはカピシャーバが当たりに行った。ボランチの縦ズレとSHの外釣り出しのスペースで前半を闘った名古屋にとっては水を得た魚だった。和泉がフリーから始まり、原が上がれない代わりにマテウスが外に入って前半の攻めの形(大外のWBフリーの形)を再現。マテウスも壁にさえぎられたが内田が外から役割を引き継ぐ。外の個の能力で殴ったように見えがちだが、全員がチームが決めた構造を再現するためにボールに絡んで行く動き。が味噌だった。
つぶやき
- 和泉、マテウス、永井。最終ラインの駆け引きに加えてしっかりボールに絡む動きが増えていた事がGOOD
- ボランチのズレに対して稲垣、椎橋がマテウスの脇まで入る動きもGOOD
- 3点目が入って内田、原が内側に立てる事を利用してマテウスが外から突破も増えた。3点目まで構造勝負、それ以降は中山、マテウスの個人能力でも!の切りかえは分かりやすかったし、構造勝負で3点入ったのが大収穫。