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ターンオーバー組の勝利の裏で見えた「約束事の咀嚼」という宿題 第14節V・ファーレン長崎戦マッチレビュー #grampus Y0244

飛行機トラブル、現地の悪天候、そしてターンオーバー組での勝利。結果だけ見れば大きな価値のある一勝だった。

一方で、前半の名古屋はボール保持で苦しむ時間も多かった。

今回はその理由を、「GKを最終ラインに加えた4バック化が、どの場面では機能し、どの場面では機能しにくかったのか」という視点から整理する。

試合情報

V・ファーレン長崎:名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
V・ファーレン長崎:名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
  • 2026年5月3日
  • 長崎 – 名古屋:1-2
  • 天候 / 気温 / 湿度:雨 / 19.1℃ / 89%
  • 主審:小屋 幸栄

GKを加えた4バック化は、なぜ苦しく見えたのか

長崎は5-4-1で構える形と、噛み合わせて高い位置からプレスに来る形を併用してくる。まずは5-4-1から前向きに来る形のときの展開から見ていく。

名古屋は構える長崎に対して、ピサノが押し上げて4枚を作る形で挑む。形としてはFP(フィールドプレーヤー:GK以外の選手)が作る4バックと変わらないが、約束事に「剥がして列を越える」が入っている自チームでは、意味合いがかなり変わる。

長崎から見ると、名古屋のGKが最終ラインに入って4枚になっても、中央の噛み合わせは大きく崩れなかった。 今回はミラーということもあり、センターの噛み合わせは常に良い。長崎の前線と中盤が中央を噛み合わせているため、ピサノが一人剥がして前進しても、その先に安全な受け手を見つけにくい。

そのため、この形ではGKが前進の起点になるというより、最終的には長いボールへ逃がすための出口になりやすかった。

ということは長崎からすれば、サンタナを2度追いさせて、IHは縦向きに名古屋のCBに向かっていけば、GKに逃げてパス選択になる。その際にセンターは噛み合わせが変わっていないことから、3トップのプレスの隙間を下道、つまり地上のパスコースを使って中央を通す必要性は薄かった。 実際、名古屋が4バックにしてプレスをずらしているようで、長崎からすれば、名古屋がGKを最終ラインに加えて4枚にしても、そこへ無理に同時プレスをかける必要はなかった。

中央の噛み合わせは残っているため、ピサノに戻させた時点で名古屋の前進は一度止まりやすかった。

GKを4バックに吸収させる噛み合わせの悪さ
GKを4バックに吸収させる噛み合わせの悪さ

長崎が5-4-1で構える時間帯は、名古屋の中央の選手が前を向いて受ける場所を見つけにくかった。

6分32秒の場面が分かりやすい。

名古屋はサンタナだけを剥がし、長崎の5-4ブロックに対して、サイドから4の脇を使おうとしていた。 内田が配球する形で、小野と永井が長崎の4の脇に立つ。これで長崎のIHが大外に出てこないのが名古屋としては嬉しい。

森が内側へキャリーしてから「逆サイドの2対1に振ってくれ」のやり直し。森のキャリーと永井の絞りで長崎のIHが内側に寄ったため、逆サイドには一時的に2対1ができていた。

1stチョイス組なら、ここで迷わず左へ展開していた可能性が高い。

5-4の攻略で言えば4の脇を使う形で、26分46秒からは小野も永井もIHの脇に出ていくズレを上手く使ったサイドのアタックだった。

構えている相手にはサイドから
構えている相手にはサイドから

約束事を守っている時は…

一方で長崎が前から来るタイミングは、名古屋としては受け身になるような展開である。良い形になる展開は、長崎の前2列(3-2)がプレスで追い込んでくるようなタイミングだった。例えば7分22秒から押し込まれて、内田が最終ラインに吸収された形。

長崎の2センターと右IHは、誰に出るのか、どのコースを消すのかが一瞬曖昧になっていた。 この形が自発的か相手に影響されたのか?が普段出ている選手達との違いであり、この場面も相手の立ち位置がファジーな部分を突けていない。

9分39秒の場面でも、名古屋は長崎のプレスを逃がすために最終ラインを4枚化した。

小野が降りて来て相手のマークがディレイに切り替わるとき、引いていく選手は制限ができなくなるので、運ぶ、もしくは下道の余裕があるのに、この場面でも上から球を通す。

11分43秒からは、ようやく長崎の守備のファジーな所が無くなった形。名古屋の後ろ2列に明確にマークが付く分、センターの裏のスペースは広大になる。13分2秒からの内田の剥がしを匂わせてから、徳元の代わりにSBとして前抜けを見せたのもGOOD。その後も三國-ピサノ-徳元で、サンタナの2度追いの距離を広げ、IHを前に出してきて野上が浮く配置でずらす形はスムーズに行く。いつもの約束通りの形からのビルドアップでは「上手くいかなかった」という印象は無い。

19分41秒の場面が象徴的だった。

内田が最終ラインに吸収され、名古屋は4バック化する。ここで本来なら、相手の配置を見ながらゆっくり動かし、長崎の守備基準がズレるのを待ちたい。

しかし実際には、ズレが十分に生まれる前に縦へ入れて跳ね返され、次の攻撃では長崎に噛み合わせを作り直されてしまった。

プレスがかかる時の4バックが上手くいく形
プレスがかかる時の4バックが上手くいく形

2度目のやり直しで噛み合っていようが、1対1で剥がせてしまえば問題ないのだが、それができないなら相手のマークが受け渡されている瞬間、あるいは誰が出るか迷っている瞬間。その 「相手がズレている最中の時間」をもっと大事にしたかった。そこで急いだのが、見ている側からは「丁寧にやれていない」ように見えたのかもしれない。

守備修正の難しさ

後半、勝ち越し後の小野の強烈なプレスを見ると、名古屋の2センターは長崎の2ボランチまで出ていきたい意識があったように見える。

ただ、その背後ではサンタナと長谷川が名古屋の中盤と最終ラインの間を狙っていた。

前半からサンタナと長谷川の降りに対してセンターバック組が潰し切れない展開も多く、後半になっても構造として修正が入っているようには見えなかった。守備の対応が入っていない中で、ボール保持に関しても、恐らくこの選手セットでは「ある程度仕方ない」と割り切っている部分もあったのか、長崎の圧を裏返すオープンな試合展開へと持ち込む。

FPのターンオーバー組は、潰しに行く距離感、タイミング、制限する方向など、細かい所で1対1のディテールが気になる時間が増えた。この部分は、チームとして細かく型を決め切るというより、選手個々の判断や対人対応に委ねられている領域だと思うので、仕方ないとはいえ、守備のディテールがしっかり入れば試合に十分に絡める選手達がピッチに立っていた。個人的にはもったいないという気持ちと、このチームに絡んでいく難しさが垣間見える試合に感じた。

実際に昨シーズンに比べて、寄せる距離、身体の向き、相手を外へ誘導する角度、最初の接触の強度、そうした個人守備の細部が曖昧になったことで、1対1で後手を踏む場面も少なくなかったので、ピサノの頑張りの裏での心配の種は大きい。

試合雑感

  • フルターンオーバーで勝利はナイス
  • ターンオーバー組に求めたいのは、単にボールを動かすことではなく、「なぜその立ち位置を取るのか」「なぜその順番で動かすのか」の理解。技術や連携不足というより、約束事の意味をどこまで咀嚼できているかの差に見えた。
  • 暴風も味方に
  • 「取りどころ」が無いと、センター&最終ラインは相手との駆け引きにどうしても遅れてくる。これは1stチョイス組も同じだが、なんとかなってしまうのが1stチョイス組
  • 前半は形に翻弄されて、覗きに来ている永井や杉浦が使えなかった。2センターが吸収されない形なら、縦関係でセンター裏に立っても面白かったと思う

最後に

90分勝利のため、600万円追加。第14節終了時点で、 今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く):5000万円

TIPS:プロ野球選手年俸平均が「5000万円台」だそうである(Jリーグ平均は3000万)

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