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残りの試合をどう闘うのか 第36節 #柏レイソル 戦ワンポイントレビュー #grampus Y0229

シーズン終盤、今季何度目かの「内容は悪くなかった」シリーズである。データサイトによるアタックモーメントは、90分を通して見ると名古屋が優勢の時間も多かった。

前半、ふとX(旧Twitter)で「このシュートで点が入らなくて、先に先制されたらプランが崩れて具合が悪くなりそう。」と呟いたところ、見事にそのような展開となった。

残り2節の想定する戦い方を中心に、大枠のワンポイントレビューを行う。

試合情報

マンツーマンなんだけれども…

フォーメーションが3-4-2-1のミラーゲームになったことで、実況・解説からは「オールコートマンツーマン」というキーワードが聞かれた。

柏サイドは、プレス回避においてGKの小島を含めて最終ラインを4枚にすることで、名古屋の3トップのプレスを避ける形を取る。この展開に対し、名古屋側は左のインサイドハーフ(IH)を下げた3-5-2の形でスタートする。

この布陣では、左のIHが守備戦術の決定権を持つことになる。具体的には、相手のサイドバック(SB)に出ていくのか、それともボランチやIHのスペースを埋めるのか、という役割の二択が左IHにだけ発生するのである。これはガンバ戦でも見られた受け方であった。特にガンバ戦では右が森であったため前向きの守備の決定が早く、左の選手による盤面の配置を通じたリスク管理がより必要であった。

プレスの選択に関して、ミラー対面ではあるが、名古屋は左IHがミドルゾーン(下の図の菊地泰智の位置)から前に出ていくため、プレス対象者(ウイングバック(WB)かセンターバック(CB))までの距離が遠くなる。したがって、相手陣形が定まる前にプレスに行くというよりは、2トップがボランチ、CB、GKの縦のラインを消す形を作りながらプレスのタイミングを探る、という方がしっくりくる形であった。

プレスを掛けるべきタイミングは、柏の2ボランチと小島・古賀(CB)が縦関係(この4人で四角形を作るような形)になり、名古屋側の2トップと2CMF(センターミッドフィルダー)が真っ直ぐ前向きに守備アプローチできる場面である。このような場面では、そのまま縦に押し込んでハメていきたいところであった。(補足:柏のゴールキックで小島が低い位置からビルドアップする場合や、奥を取って跳ね返されたタイミングで名古屋の最終ラインが高い展開の時などは、狙っていく形である。)

そのような中で、名古屋側の工夫としては、永井が右、菊地が左の配置でスタートした点が挙げられる。ガンバ戦は右が和泉であったが、永井は右IHの位置に入ることが多かった。この位置でプレーする選手の名古屋での役割は、前述の通り守備では低い位置のケアを必要とする。今までは永井の走力を利用し、引いた所から出ることで守備のスイッチを入れてきたが、プレス距離が長くなることもあり、「全体で前向きに出るタイミング」がチームの設定ではなく、個人の判断に委ねられていた。そうなると、全体の押し上げや圧縮がチームで連動し辛かった。

しかし、柏戦、ひいては3-5-2で構えてスタートすることを考え出した時期(アウェイの横浜FC戦あたり)から、「前が決める」、極端にいえば右IHと右WBが(プレススタートを)決める、という形に近くなっている。

前向きに行く方向を片側(右サイド)に限定することで守備の指標が定まり、左サイドの低い位置にいる選手たちの「塊」が、「低い位置の選手たちを押し上げるかどうか」という守備の意志決定を集団で行えるようになった。

言い換えれば、相手からすれば「名古屋の左サイドが押し込みやすいエリア」にはなる。柏にとっては押し込みやすいサイドではあったものの、名古屋側にはカウンターのカウンターを狙う機会も生まれる。柏のCB古賀の右脇(名古屋の左サイド)のスペースが空いてくるため、そこへ木村が流れて起点になる場面も増えた。

左IHとして守備をコントロールする菊地のポジショニングと、木村の相方(左WB)としてスプリントを繰り返す選手の選出は、この試合でかなり効いていた。

参考程度に両チームのポジショングラフ↓

出典 Sofascore

構えをずらす形

柏サイドが名古屋のハイプレスを揺さぶるために一番簡単な方法は、「配置から逃げる」ことである。名古屋は2ボランチ(森島、稲垣)を基準に構えているため、柏の2ボランチがその森島、稲垣の所から逃げるのが手っ取り早い。

具体的には、柏は1ボランチ気味にし、森島と稲垣の裏にIHを含めた3人を配置する形を取る。残った1ボランチ(餌)に名古屋の森島or稲垣が食いつくと、森島と稲垣の間で縦のズレが生じる。このように1ボランチを「餌」にして縦のズレを作り、その脇を選手がローテーションすることでプレスを止めていた。(下図は稲垣が食いついてズレができてしまった裏で3:1を創られた状況)

プレスが止まると、柏は名古屋が焦れて出てくるまで待つ形を取る。対する名古屋は、押し込まれた時に押し返したいため、相手の最終ラインがボールを左右に動かしているタイミングで出ていこうとする。しかし、片側サイドがパワーを持って押し出せない展開になると、ボールの取りどころのプランニングが曖昧になり、40分59秒からのジエゴのシュートの場面のように、自分たちが押し返すプランを作れないまま下がらされる展開が起きてしまう。

残り2節の見守りポイント

シーズン最終盤のターニングポイントになった横浜FC戦からの戦い方の「おさらい」である。

  • ミドルゾーンからプレスに出ていく形。これによりIHの(守備)負荷が減る代わりに、相手のボールを受ける(引いて守る)展開が増加した。
  • ゾーンから出ていく形になると、WBの守備のタスク(前に出るか引くか)を決め打ちしづらい。しかし、柏戦のように、中央(IHやCF)がプレスに出てWBが引いて管理する(相手の攻撃をサイドに誘導する)のが、安定択になりそうな雰囲気である。
  • ボールを持った時の配置が、守備から逆算する形(4局面のスタートがそもそも守備から考える)となっている。そのため、ビルドアップやゴールまでの道筋は「相手次第」となる。(柏戦で言えば、相手が押し込んでくれるからこそ、木村や菊地の所から抜け出す展開が生まれた。)
  • IHが低い位置からスタートするようになったことで、センターの二人が「3人目の動き」として(攻撃参加)しやすくなった。就任当初(大島ヘッドコーチ体制)から口を酸っぱくして言われていた「3人目としてスペースに入る動きと、そこにボールを出す動き」が、自然に出るようになってきた。長谷川監督が目指した「(相手を)引き込んで、人とボールで剥がして早く進む」サッカーの完成形を見てシーズンを終わりたいものである。

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