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基本形を見せない駆け引き 第7節サンフレッチェ広島戦マッチレビュー #grampus Y0237

久しぶりのホームでの勝利。雨の平日に理想的で情熱的な試合展開に。

試合情報

  • 2026年3月18日 
  • 名古屋ー広島:2-1
  • 主審:椎野 大地 
  • 天候 / 気温 / 湿度:雨 / 11.2℃ / 90%

基本形を見せない

広島は3-5-2の形でスタートしたため、名古屋は4-1-5の形に明確には変えないビルドアップを選択した。2トップ対3バックの形に対して、広島は藤井と高嶺に木下とジャーメインを当てるようにし、中村を原の対面に押し出して3-4-2-1に近い形で守備の舵を切った。

守備時に中村を原に当てるように左へ押し出す一方で、ボール保持時には、中村がトップ下のように振る舞い中央に陣取ることが多かった。

この攻守の陣形の違いにより、中村はピッチを大きく動くことになった。

名古屋としては、中村がポジションを立て直すタイミングで変化をつけたい狙いがあった。原と甲田の間に稲垣がボールを捌くと、サイドへ展開した先のチェックに広島のボランチ(松本または川辺)が出てくる。また別の場面では、ヴィニシウスがサイドの手前までボールを受けに降りてくるといった変化をつけた。プレスにハマっていない状況で、サイドに人を配置して数的優位を作ることで、広島は「中村を常に外に出しておくか」「ボランチの対応が遅れてでも外に出ていくか」の二者択一を迫られることになった。

中村を外に押し出して3トップ対3バックの状況を作ると、広島のボランチは中央かインサイドのどちらをカバーするかの選択を迫られ、インサイドハーフ(IH)がボランチの脇に降りる展開となるため最終ラインにギャップが生まれる。一方で、中村の外へのスライドが間に合わない場合は、外側からボールを運ぶスペースができ、前線の守備ブロックを簡単に越える展開を作ることができた。

早い時間帯に名古屋の右サイドでズレが生じ、そこからビルドアップを展開できた。そのため、ジャーメインも下がり、左へのボランチのスライドやIHが降りるスペースのケアに入るために低い位置を取らざるを得なくなった。結果として、名古屋は前半を通じて理想的にボールを保持することができたのである。

7分17秒からの場面のように、中村が原に張り付くと、稲垣が高嶺と原の間に降りて4バックを作る形が見られた。3バックで第一波の攻撃を仕掛けた後に4バックの形へ移行し、相手のプレスをずらすことでジャーメインを低い位置に押し下げていることがわかる。デフォルトのシステムを4バックにするのではなく、中村の守備位置に応じて3バックと4バックを使い分けられたことが、これまでとは異なる試合展開を生んだ要因である。

13分42秒からの場面も非常にわかりやすい。攻撃をやり直す際に4バックへ移行しており、森島と野上に対して松本が2度追いをしたことで、川辺の周りにスペースが出来上がっていた。

ピサノ(GK)がビルドアップに参加して4バックを形成した意図も明確である。広島の中盤(IHとボランチ)は、サイドバック(SB)の高嶺やセンターバック2枚に近い距離感を保っていた。そのため、フィールドプレーヤー(FP)を最終ラインに降ろして4枚を作ると、そのまま陣形を圧縮されてプレスを受ける危険性があった。そこで、中央のフィールドプレーヤーを残したままGKを組み込んで4枚を作ることで、プレスを回避しつつ同じ構造を作り出していたのである。

相手のプレスの高さや人数、陣形に合わせて、自分たちで適切な構造を作り出せるようになった点は、チームの明確な進歩と言える。

👍ポイント

中村が中央に残るタイミングでは稲垣のマークにつくため、広島としては森島に対して松本か川辺を寄せて前線からボールを奪う、といった形を想定していただろう。しかし、名古屋がIHにスペースを与えたことで、ヴィニシウスと木村のキープ力と推進力が存分に生きる展開となった。ガウル監督は「スライドや構造への対応のスピード感が遅れた」といった旨のコメントを残していた。しかし実態としては、中村のポジションを中心とした局面ごとの立ち位置の違いから生まれる「虚」のタイミング(攻撃の時のトップ下の振る舞いから守備局面の時の左IHの役割に変化する間の時間)に対し、名古屋にアクションを仕掛けられたことで、広島が後手に回らざるを得なくなったように見えた。

立ち合いの変化とスペース

後半に入ると、広島はシステムを4-3-3へと変更した。選手も入れ替え、はっきりと陣形を変えてオールコートのマンツーマンに近い守備戦術を採用してきた。特に、塩谷が木村を、そしてボランチが森島を激しくマークする姿勢が顕著に見られる展開となった。

この際、広島の両ウイングの役割が名古屋の守備陣を苦しめることになった。中村は甲田の外側から1対1を仕掛ける立ち位置を取る。一方で逆サイドには、サイズのある木下が配置された。木下は外から内側へと入り込み、中山のマークを外して勝負を仕掛けてきた。

一連の流れは、46分30秒からの広島の攻撃シーンがわかりやすい。木下が内側に入って中山の守備から外れると、ポジションを入れ替えて右の外側のスペースを使う。マンツーマンディフェンスを採用したことによる「対面の相手への意識」を逆手にとり、ポジションの入れ替わりを活用する展開が明確に見られた後半の立ち上がりであった。

そのような状況下での失点シーンは、名古屋も後方にマンツーマンの枚数しか残していない中で、藤井と甲田の2人が佐々木にアプローチしてしまったことで守備の枚数が足りなくなったことが原因である。鈴木のマークを外す動きが巧みだったこともあるが、3-4-2-1に対して4バックをぶつけて守備陣に迷いを生じさせるというアプローチは、奇しくも前半に名古屋が広島のプレスを無効化したのと同じ構図であった。これにより、名古屋は60分頃まで守備で面食らう展開を強いられたのである。

名古屋は和泉と森を投入する。和泉には「中央のスペースを意識すること」、森には「大外を抜かれないこと」という明確なメッセージが託されていた。鈴木が巧みにマークを外したように、名古屋も縦へのフリーランニングを増やすことで相手のマークを外していく。広島が1対1の構図を明確にしたことで、木村、和泉、ヴィニシウスの個の打開力(1対1の性能)に、スペースという「プラスアルファ」の要素が加わることになった。

マークを剥がす動きの成果は、2得点目につながるセットプレーを獲得した高嶺のプレーにも表れていた。得点自体はセットプレーからのものであったが、チームとしての約束事を遂行した結果として作り出した機会であることには、非常に大きな意味がある。

試合雑感

  • ウイングバック(WB)の上下動がチームを助ける展開となった。ビルドアップの段階でWBが低い位置に降りている状態でも効果的な攻撃の形を作れていたため、WB自身が「下がって受けても良い」という意識を持てたことが、結果的に守備の安定にも効いていた。
  • 高嶺の前を向いた時の強さ(面に対する強さ)が存分に発揮された試合であった。センターバック(CB)として起用され、中盤での360度からのプレッシャーから解放されたほうが、より高いパフォーマンス(出力)を出せることがよくわかった。25分41秒からの場面に見られたような、「プレスを剥がし、配球し、セカンドボールを回収する」という一連のプレーには、現代のCBに求められる素養が詰め込まれていたように感じる。
  • 開幕からチームの約束事に縛られ、焦りが見える動きが多かった木村だが、代わりにすべての局面で献身的にプレーすることで、今やチームに不可欠なピースとなっている。90分を通じてチームの向かうべき方向(矢印)の質を変えられるのも、他の選手が自身の役割に集中できるのも、現状では木村の存在があってこそである。

さいごに

90分での勝利のため、600万円追加。第7節終了時点で、

  • 今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く): 2400万円

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